酒のツマミ

~side ky~

俺は今 とんでもない試練に頭を悩ませている

俺の愛する人…レトさんのことだ

まぁ一方的にだが

レトさんが誤って 他の人の酒を飲んでしまったのだ

酒に弱いレトさんはやっぱり 1杯飲み干す前に酔っ払ってしまった

そして まるでひっつき虫のように 誰彼構わずハグをする

もはや恒例だ

幸いにも 飲み会をするのはほとんど友人となので ほかの卓に絡みに行かない限り 心配はいらないだろう

そして今回 そのターゲットになったのは 俺だった

俺の腕にしがみつき とろんとした目で見つめてくる

…拷問か？ 新手の拷問なのか？ もはや拷問だろ

いや、いいよ？ 別にこのくらいは…

だがここは居酒屋という名の公の場

つまり知らないやつらに この光景を見せつけている状態

別に見世物でもなんでもないが 俺のだと見せつけたい気持ちもある …恋人同士でもないのに

これじゃあ 天国だか地獄だか区別がつかない

場合によっては ご褒美とも受け取れるが

ほんとにありがたいことだけど 今じゃないんだよなぁ…

それに…

俺の理性とムスコが もうすぐ限界を迎えつつある

平然を装って受け入れている俺を 誰か称えてほしいくらいだ

頬を膨らませ ぶんぶんと首を横に振る

まるでイヤイヤ期の子供みたいだ… なんて言ったら怒られそうなので 心に留めておく

でも…

かわいい

それすらも愛おしく感じる

これがいわゆる 「恋愛フィルター」とかいうやつか

…この姿勢もそうだけど 色々と破壊力が凄まじい

俺のムスコを起こさないよう 必死に冷静を保つ

レトさんにだけはバレたくないので 仕方なく俺はうっしー達に レトさんを預けトイレに行くことにした

なるほど 2人の意味がわかった

くそっバレてたか

運良くレトさんは 聞いてなかったようだ

よかった

レトさんのせいで こうなってしまったことがバレたら 俺も相手もきっと気まずくなるから

そう言って ちょっとだけ前かがみになりながら 無事その場を抜け出すことに成功した

一部にバレたけど

……To be continued