ガシャンッ
『アイツ』
『アイツ』
『アイツ』は知らない男を連れて帰ってきてそんな事を言い出した
空のビールの缶を投げつけてくる
俺は弟を連れて逃げるように家を出た
梅雨の午後六時
雨が振りだしそうだ
でも
俺たちに出来ることなんて無い
ひたすら
アイツが何処かへ行くのを
待つだけ
時透 無一郎
無一郎は雑草をいじっている
時透 有一郎
時透 無一郎
猫じゃらしを顔に当ててきた
時透 有一郎
時透 無一郎
時透 有一郎
小学生みたいだ
こいつはまったく変わらないな
俺も変わらないな
時透 無一郎
時透 有一郎
時透 無一郎
時透 有一郎
無一郎の手を振り払った
くすぐったい
ガシッ
無一郎に手を捕まれた
振り払おうとしたが
力が強え
こいつこんな強かったか?
時透 有一郎
時透 無一郎
時透 有一郎
時透 無一郎
知ってた
お前は俺が好きだし
俺もお前が好きだ
時透 有一郎
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