TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

本棚に並ぶ単行本の隙間に、足りなかった23巻を挿し込むと勇也は照れ臭そうに振り向いた

上原 勇也

な、なんか…ごめんな

上原 勇也

部屋に連れ込むようなことしちゃって////

平澤 由佳里

えっ?!

平澤 由佳里

う、ううん、大丈夫だよ、私は

平澤 由佳里

あの…

平澤 由佳里

今は家族の人たち、留守なの?

上原 勇也

あぁ、親は2人とも仕事で夜まで帰らないし…

上原 勇也

俺、一人っ子だから兄弟もいないんだ

平澤 由佳里

そうなんだ…

上原 勇也

し、心配すんなよ…

上原 勇也

だからと言って、変な気起こしたりなんてしないからさ////(笑)

平澤 由佳里

…ひえ?!

平澤 由佳里

そ、そそそんなことっ…

平澤 由佳里

私もまったく考えてなんかないからっ、大丈夫っ!

上原 勇也

…そう?

上原 勇也

じゃ、コーヒー淹れてくるからちょっと寛いでてくれる?

平澤 由佳里

あ…うん!

勇也が部屋を出て行った後、由佳里は深く深呼吸をした

平澤 由佳里

(落ち着け落ち着け…!)

平澤 由佳里

(こ、これはただのお見舞いなんだからっ…!)

平澤 由佳里

(で、でも…)

平澤 由佳里

(こんなふうに部屋に入れてくれるなんて…)

平澤 由佳里

(上原くんも私のこと…って、勘違いしちゃいそうだよ…)

平澤 由佳里

(上原くんには、あの宮坂さんがいつもベッタリで近付く隙もなかったから…)

平澤 由佳里

(学校で少し話せただけでもドキドキしっ放しだったのに)

平澤 由佳里

(こんな状況、夢にも思ってなかったよ…!)

平澤 由佳里

(ど、どうしよう…!)

平澤 由佳里

(何か雑誌でも見て、気を紛らわさなきゃ…!)

本棚の下の段にだけ掛けられたカフェカーテンをめくると、成人向け雑誌がズラリと並んでいた…

平澤 由佳里

こ、これって…

平澤 由佳里

グラビア雑誌…?

平澤 由佳里

(上原くん、こんなの見るんだ…)

平澤 由佳里

(うわ…AV女優の特集なんかもあるっ…)

平澤 由佳里

(男の子…なんだよね、上原くんだって)

平澤 由佳里

(ふ、普通のこと…なんだよね)

ガチャッ

上原 勇也

ごめん、お待たせ

平澤 由佳里

あっ…

慌ててカフェカーテンを戻す

上原 勇也

うわ…見ちゃった?それ(笑)

平澤 由佳里

な、何も見てないよっ!

平澤 由佳里

あっ、ありがとねコーヒー!

上原 勇也

姫川のことは、俺も実は気になってたんだ

上原 勇也

最近特に、みんなのやることがエスカレートしていってる気がするし

平澤 由佳里

うん…

平澤 由佳里

私、イジメって許せないよ

平澤 由佳里

おとなしい姫川さんに寄ってたかって

平澤 由佳里

聞こえるように悪口言ったり、無視したり…

平澤 由佳里

こないだなんて、机の上にわざとゴミが置かれてて…

上原 勇也

…ひどいな

平澤 由佳里

うん…

平澤 由佳里

だからね、私…姫川さんを助けたいし、一緒にイジメをなくせたらいいなって思うんだ

上原 勇也

え?

平澤 由佳里

姫川さんは、自分と仲良くすることで私までいじめられるんじゃないかって心配してくれてるんだけど

平澤 由佳里

私、たとえ自分までいじめられたって絶対に負けないから

上原 勇也

…平澤って強いんだな

平澤 由佳里

あっ…

平澤 由佳里

そ、それはね、上原くんのおかげでもあるんだ

上原 勇也

…俺?

平澤 由佳里

うん

平澤 由佳里

こないだ、学校のパソコンで私にメールくれたじゃない?

上原 勇也

……学校のパソコン…?

平澤 由佳里

ほら、イジメと闘うって言ってる私に、上原くんは『いつでも力になる』って言ってくれたでしょ?

上原 勇也

……あ、あぁっ…

上原 勇也

そ、そうだよ

平澤 由佳里

だから私…すごく励まされたし、今まで以上に勇気が持てたんだ

平澤 由佳里

ありがとう、上原くん…

上原 勇也

………

目を泳がせると、勇也は由佳里の隣に座り込んだ

平澤 由佳里

う、上原くん?

上原 勇也

なぁ、平澤…

上原 勇也

姫川のことも大事なことだけど、もっと大事なことを伝えたいんだ

平澤 由佳里

な、何…?

上原 勇也

俺…

上原 勇也

平澤のこと、ずっと好きだったんだ

平澤 由佳里

………え?

心臓が、瞬く間に鼓動を速めていく

平澤 由佳里

う、うそっ…?

上原 勇也

本当だよ

上原 勇也

1年の時から、可愛いなって思ってて…

上原 勇也

今回のイジメの件で、姫川に対する平澤の優しさとか見てて…

上原 勇也

もっと好きになっちゃったよ

平澤 由佳里

上原くん…!

上原 勇也

平澤は…俺のこと、ただの友達としか思えない?

平澤 由佳里

わ、私は…!

平澤 由佳里

……私もっ…

平澤 由佳里

私もね、1年の時からずっと…

平澤 由佳里

上原くんが好きだった…!!

上原 勇也

本当?!

平澤 由佳里

う、うん…////

平澤 由佳里

し、信じられないよ…

平澤 由佳里

まさか上原くんも私のこと…なんて…

上原 勇也

…これで信じられる?

平澤 由佳里

…え?

次の瞬間、一気に引き寄せられてキスをされた

平澤 由佳里

……!!

上原 勇也

…ご、ごめん!

上原 勇也

嬉しくて、つい…////

心臓がバクバクと跳ね、みるみるうちに由佳里の顔が真っ赤に染まる

上原 勇也

ごめん、イヤ…だったよな?

平澤 由佳里

そ、そんなことっ…!

上原 勇也

………

恥ずかしそうに目を逸らす由佳里の顔を見ると、勇也はフッと笑った

上原 勇也

平澤、こっち向いて…?

平澤 由佳里

えっ?……あっ

またキスされて、今度は押し倒された

平澤 由佳里

う、上原くんっ?!

平澤 由佳里

ちょ、ちょっと待って!

上原 勇也

ごめん、変な気起こしたりしないって言ったのに…

上原 勇也

でも、俺だって男だから…

上原 勇也

好きな子と両思いになれたうえに、こんな状況なんて我慢できないんだ…!

平澤 由佳里

で、でも…

平澤 由佳里

いきなりこんなことって…ダメだよっ…!

平澤 由佳里

わ、私たちまだ高校生なんだしっ…

上原 勇也

…好きなんだっ!

上原 勇也

平澤のことが…!

平澤 由佳里

上原くん…

健気に抵抗していた全身の力が、徐々に失われていく

上原 勇也

平澤…初めてなの?

平澤 由佳里

う、うん…!

平澤 由佳里

き、キスだって、初めてだったよ…

上原 勇也

…そっか

平澤 由佳里

初めてが上原くんだなんて…

平澤 由佳里

すごく嬉しい…っ

上原 勇也

俺、優しくするから

上原 勇也

痛くないように…

平澤 由佳里

…上原くんは、初めてじゃないんだね

上原 勇也

えっ?

上原 勇也

いや、俺も初めてだよ…

上原 勇也

いつも、グラビア雑誌見ながら一人でするしかなかったから////

平澤 由佳里

そ、そっか…

上原 勇也

好きだよ、平澤…

平澤 由佳里

あっ…上原くん…!

上原 勇也

一人で帰れる?

上原 勇也

途中まで送ってこうか?

平澤 由佳里

ううん、大丈夫だよ

平澤 由佳里

一応、病人なんでしょ(笑)

上原 勇也

ま、まぁね(笑)

平澤 由佳里

今日は…あ、ありがとう

上原 勇也

…俺の方こそ

平澤 由佳里

じゃ、また明日…

上原 勇也

あ、平澤っ

由佳里の腕を掴むと、勇也は名残惜しそうにキスをした

平澤 由佳里

……////

上原 勇也

風邪、うつっちゃったらごめん(笑)

平澤 由佳里

き、気にしないで

平澤 由佳里

じゃあ、また明日…学校でねっ

上原 勇也

うん

バタン

上原 勇也

………

上原 勇也

……ふぅ

由佳里の姿を見送った後、勇也はスマホを手にした

上原 勇也

平澤、今帰ってったよ

宮坂 樹里

お疲れ、仮病詐欺師さんっ♡

宮坂 樹里

…で?

宮坂 樹里

告白はうまくいったの?

上原 勇也

あぁ、まぁな(笑)

上原 勇也

てか、お前さぁ

上原 勇也

学校のパソコンなんか使って平澤にメールしたの?

上原 勇也

俺のふりなんかして

宮坂 樹里

あぁ、そんなこともあったかな

上原 勇也

そんなの聞いてなかったから、話振られた時は焦ったわ(笑)

上原 勇也

だからごまかすために焦ってキスしちゃったし(笑)

宮坂 樹里

ごめん、言うの忘れてた

宮坂 樹里

てか、キスしたの?

上原 勇也

仕方ないだろ?

上原 勇也

知ったかぶりして怪しまれると思ったんだからさ

宮坂 樹里

ふーん

上原 勇也

お前の言うこと聞いてやったんだから、約束の金払えよな

宮坂 樹里

わかってるよ

宮坂 樹里

この後のことも、わかってるよね?

宮坂 樹里

ちゃんとやってくれないと、後でお金返してもらうからね

上原 勇也

はいはい、わかってますって

上原 勇也

でも、なんで俺が平澤に対してここまでする必要があんの?

宮坂 樹里

わからないの?

宮坂 樹里

平澤が勇也のことを好きなことは調べがついてたし

宮坂 樹里

その勇也と両思いになれたっていう天国から、一気に地獄に落としてやるんだよ

宮坂 樹里

だから、平澤がいじめられててもあんたは間違っても助けたりなんてしないでね

上原 勇也

上原 勇也

まぁ、俺ってそーゆうのには元々無関心だし

上原 勇也

でも、俺のスクールライフに悪影響及ぼすようなことはするなよな

宮坂 樹里

わかってるよ

宮坂 樹里

勇也には迷惑かけないから…

人に優しくしたら、自分が壊れた。

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

56

コメント

2

ユーザー

((((;゚Д゚)))))))

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚