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〜短編集〜

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〜短編集〜

4 - 全ての記憶が消える時。

♥

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2022年08月31日

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赤、おはようございます!

黄ちゃん!来てくれたの?

はい!赤の顔が見たくて…、

何それw

僕には可愛い彼女がいます。

名前は赤、めちゃめちゃ 可愛いくて優しいです。

赤は体が弱くて 持病を持っています。

僕が変わってあげたいといつも思うんですが、そんなことを呟くと

そんな事言わないで、 逆の立場だったら俺絶対耐えられないもん。だから、俺が病気で本当に良かった。

って言うんです。

赤は僕の自慢の彼女です。

今日は久しぶりに外出許可が 出たので赤とデートに行くことに しました。

久しぶりの外だ〜!!

暑くないですか?

うん、大丈夫!

ありがとう、黄ちゃん!

いえいえ、

これから行きたいところとかありますか?

んー…、

水族館…、行ってみたい!

いいですよ!

行きましょう!!

え、いいの?!

はい、

やったぁ!!!

ありがとう、黄ちゃん!ニコッ

赤の笑顔は世界一可愛い。

しんどいはずなのに、 飛び切りの笑顔を見せてくれる。

その笑顔に毎回救われる。

─水族館にて─

わぁぁ!!!

綺麗!!!

ですね!!

黄ちゃんありがと!!

いえいえ、

あっ!こっちにサメいるよ!!

いこ!!グィッ

赤ちょっと待ってください…!w

僕は今、凄く幸せ。

こんなに幸せでいいのかって いうくらい幸せ。

ずっと幸せが続けばいいのに。

今日はありがと!!ニコッ

楽しかった…ッ!

こちらこそありがとうございました!

楽しかったです!!

次外出許可が出た時は、遊園地行きませんか?

……ッ

赤…?

赤…ッ!!!

ハッ…

何…?黄ちゃん

大丈夫ですか…?

ん、何が?

俺は全然大丈夫だよ!

そうですか…、

あッ…遊園地、楽しみにしてるねッ!

…はい

ねぇ、黄ちゃん…

なんですか?

明日も来てくれる?

もちろん!!

行きますよ!ニコッ

やったぁ!!

待ってる…ッ

はい、待っててください!

面会時間開始と同時に行きますから!!

そろそろ帰りますね…ッ

分かった…、

おやすみ、黄ちゃん。

おやすみなさい、赤

…チュッ

…///

僕はおやすみの kissをして家に帰った。

ただいま…ボソッ

……

はぁ…、

この家は数年前、 赤と同居する為に買った。

だから買った当時は赤が

"おかえり"

と言って、出迎えてくれていた。

でも今は誰も居ない。

僕一人。

この事実を突きつけられる 時間が辛い。

赤の方が辛いから…、

辛いなんて思っちゃいけないのに…ッ

思ったら赤に申し訳ないのに…ポロ

どうしても思ってしまう…ポロ

赤…ッ

帰って来て……ポロポロ

僕は泣きながら眠りについた。

─黄が帰った後─

ごめん…黄ちゃん…ポロ

俺…今日も言えなかった…ッ

本当にッ…ごめん…ポロポロ

俺は一つだけ黄ちゃんに 隠していることがある。

それは、

"俺の命は長くない"

ことだ。

正確に言うと、 俺は余命宣告をされている。

"約3ヶ月前に"

当時の俺の余命は3ヶ月。

つまり、もう時期俺は死ぬ。

でもその事を黄ちゃんは知らない。

言えなかった3ヶ月、 凄く辛かった。

言おうと思った日もあった。

でも彼の笑顔が 消えるんじゃないかって、

彼が悲しむんじゃないかって 思って言えなかった。

明日、言えるかな。

いや、明日言おう。

彼は優しいから、 言わない方が悲しむ。

心臓をバクバクさせながら、 俺は眠りについた。

んん…ッ

周りはすっかり明るくなっていた。

僕ここで寝ちゃった…?!

…硬いところで寝たから体痛いな

てか、今何時?!

慌てて時計を見ると 9時を指していた。

やば!!もうすぐ面会時間…!

早く行こ、

行ってきます!!

慌てて赤に会う支度をし、 家を出た。

本当に最悪…、、

早く行かないと、赤に怒られちゃう…ッ

昨日面会時間と同時に行くと 言ったことを思い出し、 足早に病院へ向かう。

…タッタッタッタッ

信号を渡ろうとしたその時、

"ドンッ"

という大きい音が響いた。

それと同時に僕は意識を手放した。

黄ちゃんまだかな…、、

もう面会時間始まってるし…

寝坊…?

彼が遅刻することなんて 無かったから、

少し心配だ。

<おい!!急患だ!!

<まずいぞ!!早く手術室に!!

何かあったのかな…?

俺は何があったか気になり、 廊下に出て見ることにした。

廊下に出てみると、 少し騒がしかった。

ちらほら病室から出ている 患者さんがいた。

俺は他の患者さんに何があったのか聞いてみることにした。

あの…ッ

患者

ん…?

今、院内騒がしいですが何があったかご存知ですか?

患者

あー、なんか騒がしいよな。

患者

俺も詳しくは知らないけど、急患が来たらしい。

患者

交通事故…、とかだったかな。

どんな顔か、分かりますか…?

患者

流石に顔は分かんないな…、

患者

ごめんよ、兄ちゃん。

全然…、

黄ちゃんじゃないよね…?

俺は交通事故にあった人が 黄ちゃんじゃないことを願った。

黄ちゃんまだかな…、

結局この日、彼がこの病室に 現れることは無かった。

─次の日─

黄ちゃん…、、

昨日から連絡しているが、 既読にならない。

何かあったんだろうか…、

コンコン

はぁい

<失礼します。

医者

赤さん、調子はどうですか?

あまり良くないです…、

医者

そうですか…。

医者

…彼氏さんに伝えることは出来ましたか?

それが…、

まだ伝えられていなくて…

医者

そうですか…、

医者

早めに伝えた方がいいと思いますよ。赤さんの為にも、彼氏さんの為にも。

…はい

あの…、

昨日来た急患ってどんな人でしたか?

医者

…黄色髪の男性だったと思います。

黄色髪…?

医者

はい、

急患の方に会うことは出来ますか?

医者

今、意識が無いですが…、、

医者

いいですよ。

ありがとうございます。

黄色髪…

黄ちゃんじゃないといいけど…、、

医者

こちらです。

……ッ

嘘…、嘘って言ってよ…、

そこには彼が寝ていた。

美しい黄色の髪、細い体型、 綺麗なピンク色の唇。

間違いない、黄ちゃんだ。

黄ちゃん以外居ない。

…ポロポロ

医者

もしかして…赤さんの彼氏さんですか…?

はい…ッ間違いありません…ポロポロ

目は…、覚ますんですか?

医者

…なんとも言えません…、

そうですか…ポロ

医者

一緒に、居てあげてください…、

コクッ…ポロ

医者

では、失礼します。

なんで…、どうして…、

俺が居なきゃこんなことには ならなかったのに…。

いつもそうだ、俺がいると 皆が不幸になる。

俺が居なければ良かったのに…。

…ピクッ

黄ちゃん…?

目を覚ますと、 僕は知らない所にいた。

目の前で泣いてる人が、 分からない。

何故…?

黄ちゃん…?

黄ちゃん…?

僕、会ったことありましたっけ…、

あの…ッ

誰…、ですか…?

え、覚えて…ないの…?ポロ

すみません…

いや…、こっちこそ……ポロ

僕、覚えていることが曖昧で…、

ここは、どこですか…?

ここは病院だよ、ポロ

黄ちゃんが交通事故に会って、ここに来たんだよ…ポロポロ

貴方は…?

俺は赤。ポロ

黄ちゃんの彼女だよ…ポロポロ

彼女…?!

うん…ッ

嘘は、ついてなさそうですね…、

僕、赤さんのこと好きだった様な気がします…!

赤でいいよ…ッ

分かりました、赤!

ちょっと外出るね、ッ

はい、

ガラガラ

赤…、可愛いですね…。

前の僕はどんだけ幸せだったんでしょう…、

…ッポロポロ

黄ちゃん、目覚めて良かった…、ポロ

記憶喪失…してたけど…ッポロ

…俺が生きれる少しの間、黄ちゃんを幸せにしよう…ポロポロ

…それが俺にできることだから。

よぉし!!元気に振る舞わないとね!!

戻ろう。

黄ちゃん!!

なんですか?

何か聞きたいこととかある?

んー、僕達が前、何をしてたのか聞きたいです!

前はね…、

丸一日、赤が思い出を 話してくれました。

─次の日─

おはよ!黄ちゃん!!

誰…ですか…?

え、嘘…、

覚えて…ないの…?

すみません…、

黄ちゃんは、1日経つと記憶が 無くなる体になっていた。

謝らないで、!

黄ちゃんは悪くない。

…優しいですね、

お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?

あ、名前言ってなかったね…、

俺は赤。

黄ちゃんの彼女です…ッ

僕の彼女…?!

前の僕は凄く幸せだったんですね!

…幸せ、だったのかな…ボソッ

…赤?

いや…、ごめん

僕でよければ話、聞きますよ…?

…記憶無いですけど、

赤の力になりたいです…。

ありがとう、黄ちゃん…ポロ

黄ちゃんは記憶無くなっても黄ちゃんだね…ポロポロ

赤…?!

泣かないでください…ヨシヨシ

ありがと…ッ

話、聞いてくれる…?

もちろん。

今まで出会って来た人全員不幸になってたんだよね、

皆、俺絡みで亡くなっちゃったり、怪我しちゃったり、

俺が居なかったら…って何度も思ったんだよね。

黄ちゃんも俺が居たから交通事故に会って、記憶喪失しちゃったし…。

赤…、1ついいですか?

うん…、

赤が居たから皆が不幸になった訳じゃないと思いますよ…!

たまたま、不幸になるタイミングが赤と絡んでた時期なだけで、

…たまたまだって言いたいの?

俺が何度も遭遇した不幸の連鎖を、

…はい、

そんな訳無いじゃん、

そんな何度も遭遇する訳ないじゃん!!

黄ちゃんも思ったんじゃない?

俺が居なかったら良かったって、

俺が居なきゃこんなことにはならなかったって!!!ポロポロ

もういいよ!!ポロ

嫌いって、大嫌いっt…ッポロポロ

パッ…

それ以上喋らないでください…。

どれだけ赤が遭遇してきたか、どれだけ赤が辛かったか、僕は知りません。

でも、前の僕は大嫌いって思ったことなんて一度もないと思うんです。

今回の交通事故だって、きっと僕の不注意ですし、

赤は何も悪くないんです。

それに、僕は赤と出会って本当に良かったと思っているんです。

記憶は無いですけど、そう思うんです。

赤が居てくれたから前の僕はきっと幸せだった。

今の僕も幸せです。

だから、もう自分のこと、責めないでください…。

明日になったら、記憶無くなっちゃいますが…。

僕を頼って欲しいです…。

黄ちゃん…、

ギュッ

安心してください…、

記憶が全てでは無いです。

僕はいつでも赤の隣にいます…。

記憶が無くなってもずっと、隣にいます…ッ

黄ちゃん…ポロポロ

ありがと…ッポロ

黄ちゃんは俺の自慢の彼氏です…ッポロポロ

赤…、そんなに泣かないでください…!!

元気出してください…!!

うん…ッグスン

…ヨシヨシ

黄ちゃんは優しい。

俺が荒れても、抱き締めてくれる。

ずっと一緒に居るって 言ってくれる。

だからこそ、別れるのが辛いんだ。

…余命を告げるのが怖いんだ。

ずっと一緒に居たい…。

─数日後─

俺の願いは叶わなかった。

ハッ…ハァハァ

黄ちゃんと朝のいつもの会話をしていた時、急に苦しくなった。

苦しい…、

まだ、死にたくないのに。

赤…!!

ハァッ……ッポロ

ガラガラ

医者

赤さん!!

あの、赤は助かるんでしょうか…?

医者

…余命宣告を受けていたので…、なんとも言えないです…。

余命宣告…?

医者

はい、3ヶ月前に…。

…そうなんですね、

ハァッッ…ッポロポロ

余命宣告、結局自分の言葉で 伝えられなかった。

医者

赤さん、しっかりしてください!!

…ッポロポロ

黄…ッちゃん……ハァッ

なんですか…?ポロ

ご…めん…ッね…ポロポロ

謝らないでください!!ポロポロ

ピーピーピーピー

あ…か…??

先生…、赤は…?ポロ

医者

残念ながら…、

そう…ですか…ッポロポロ

医者

一緒に居てあげてください。

赤…ッポロポロ

赤のこと、忘れたくない。

絶対に忘れては行けない…。

紙に書けば…、忘れないかな…ポロ

赤…、赤…、

僕の彼女…、大切な人…、

忘れちゃ行けない人…、

絶対に忘れちゃ行けない人…ッポロ

カキカキ…ッポロポロ

僕は、赤の名前を紙に びっしり書いた。

忘れないように、

書き続けた。

ぁ……忘れちゃ…いけ……人…コクッコクッ

コテッ

スースー…

んん、

僕は朝の眩しい光で起きた。

これ…、何…?

目の前にあった紙を手に取り 書いてあることを読んだ。

赤…?

赤って…、

誰…?

『全ての記憶が消える時。』

❦ℯꫛᎴ❧

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