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優
そう願いを胸に抱き、くじを引いた。
高3の秋
最後の席替え。
優
智
最後の席替え
田崎優
地獄の日々になりそうです。
窓際の席で後ろから二番目
最高にいい席なのに…
問題は後ろの席
智
大野智。
この学校の王子。
なんだけど、
性格がとにかくヤバい
っていう噂。
見た目は、髪の毛の色は金髪で制服は、シャツ出し、腰パン。
まさに、不良
よく聞く噂は、
毎日女をとっかえひっかえして、喧嘩ッ早くて、ヤバいグループの一員だとか…。
他にも数えきれないほどの彼の噂を聞いてきた。
こんな地味で冴えない私にとっては、
地獄の日々になりそうです…。
授業中、
いきなり後ろから、消しゴムが転がってきた。
これって…、
もしや…
机の右側を見ると、床に転がってる消しゴム。
完璧後ろから転がってきた消しゴムだよね?
拾ったほうがいいのかな…。
しょうがない!
拾わないと、命がないかもしれないし!
恐る恐る消しゴムを拾って、後ろを振り向いた。
優
大野くんは、金髪の頭を私に向けて机につっぱしって寝ていた。
もしかして…、
間違えた?
一応、大野くんの机の上のはっしこに消しゴムを置いといた。
一息をついて、
緊張感から解放された私
大野くんが起きていたなんて、知らずに…―
なんとか平和に過ごせた1日。
智
後ろから聞こえた声。
大野くんだ……。
窓を見ると、
ちょうど私の窓のところだけが開いていた。
私は、
ゆっくりと窓を閉めた。
おそるおそる後ろを見ると
大野くんが口をポカンと開けて、こっちを見ていた。
あ……
もしかして
優
緊張しすぎて
うまく話せない。
どうしよ…。
怒ったかな…?
すると
大野くんは紙になにかを書き始めた。
優
書き終わった紙をきれいな手で、丁寧に四角に折っていく。
なに書いたんだろ…。
疑問に思いながら見ていると
突然きれいに折った四角い紙を私に向かって差し出した。
優
これって…、私に?
もらおうか迷っていると、大野くんの唇が尖っていた。
智
金髪の彼には似合わない顔をしていた。
恥ずかしがる子どものような…
そんなような顔をしていた。
差し出した四角い紙を、丁寧に受け取った。
まさか…
決闘状とか言わないよね…。
紙を受け取ったら
大野くんは急いで帰ってしまった。
丁寧に折ってある紙を丁寧に開いたら
そこには
意外なものが
書かれていた…。
書いていたものは
綺麗な字で
ありがとう
って書いてあった。
ありがとう…。
あの大野くんから、ありがとうなんて……。
あの大野くんが…
私に?
私は、誰もいない教室で優しく紙を抱きしめて座りこんだ。
あの大野くんが、私にありがとうって…。
本当は
大野くんは心優しい人なのかもしれない。
いつも1人の大野くん。
見た目は、金髪で恐いかもしれないけど…。
本当は優しい人なのかな…。
これがきっかけで、私は大野くんへの印象が
少し変わった瞬間だった。
次の日の授業
いつものように、受けていると
後ろから
消しゴムが転がってきた。
まただ…。
今は三時間目だけど、一、二時間目のときも転がってきた消しゴム。
机の横に転がった消しゴムを拾って、大野くんの机の上に置いた。
毎回思うんだけど
寝てるのにどうして消しゴムが転がってくるんだろう…。
机の上には
筆箱のみ。
消しゴムなんて使わないのに、どうして転がってくるんだろう。
太陽の日差しに当たる金髪の髪を見つめながら、思った。
優
そう小さく呟いた。
智
いきなり伏せていた顔を上げた大野くん。
優
びっくりした…。
ドキドキしてる…。
だって、起きてるなんてしらなかったし…。
しかも
なに…
何であんな優しく笑うの?
Satoshi.side
高校最後の席替え。
オイラは
初恋の人の席の後ろになった。
名前は、優ちゃん。
小柄で、可愛い子。
性格も優しい。
純粋な子…。
こんな金髪なオイラでも、優しかった…。
2年前...
高校入学したときは、まだ金髪ではなかったオイラ。
だけど
なぜかみんなは
オイラに怯えた表情をして避けていく。
そんなにオイラが嫌いなのか…?
そう思ったとき
優ちゃんが声を掛けてくれたんだ。
優
オイラのことを、心配してくれたんだ…。
それがものすごい嬉しくて。
本人は覚えていないだろうけど、オイラは忘れられない出来事だった。
優ちゃんとは、クラスが離れたから
どうにかしてオイラのことを知ってほしくて、金髪に染めた。
だけど…
同じクラスになった
今
優ちゃんには
避けられていた。
智
だけど
さみぃって言ったオイラに対して、優ちゃんは窓を閉めてくれた。
やっぱり優しい子だった…。
なんとかして
喋るきっかけがほしくて、オイラは授業中にわざと消しゴムを落とした。
だけど
なかなかうまく話せない。
だから
いつも寝たふりをするんだ…。
オイラ
こう見えても恋なんかしたことないから
わかんねぇ…。
女をとっかえひっかえしてるなど…
だけど
今日も消しゴムを落として、寝たふりをしてたら
優
って優ちゃんが言ったんだ。
オイラ
嬉しすぎて
そのあとのことなんか覚えていなかった。
放課後
誰もいない教室で私は、窓から部活をしているグラウンドを1人見つめてた。
頭によぎるのは
大野くん
大野くんって呟いただけで、何で嬉しそうに笑ったのかな…。
あんな表情…
初めて見た…。
ガチャン…
後ろで机が倒れる音がして、振り向いたら…
優
机を慌てながら、元に戻している大野くんがいた。
智
見た目には合わない、ぎこちないしゃべり方。
そんな彼が可笑しくて
優
思わず笑みがこぼれた。
大野くんって
こんな人だっけ?
智
顔を真っ赤にして、声が段々掠れていく彼に…
なぜかドキドキしていた…
大野くんのことを、じっと見つめてみる…。
智
顔が真っ赤になっている彼を見て、また笑ってしまった。
優
ちょっとまだ怖い印象を持っている私は、喋るのにカタコトになってしまう。
智
優
思わず敬語になって喋ると、大野くんはどこか寂しい顔をしていた。
なんか……
何年前かに
喋ったことがあるような…
そんなことを思いながら、大野くんを見つめていた。