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胎児よ
胎児よ
何故躍る
母親の心がわかって
恐ろしいのか
幼き頃の久作
ボクは時計の針の音で目が覚めた。
白い部屋に白いベッド
何もかも身に覚えがなかった。
その時、突然大きな声が響いた。
女
耳がキーンとするような大きな声…
その声とともに走ってくる音が聞こえる
春夫
そう言ってボクに笑顔で駆け寄ってくる
鳥のようなものが描かれた黒い軍服…
春夫
春夫
そう優しく教えてくれた。
ボクはキョロキョロとあたりを見渡して
幼き頃の久作
春夫
幼き頃の久作
春夫
幼き頃の久作
春夫
幼き頃の久作
春夫
春夫
たくさん色々なことを聞かれた
幼き頃の久作
春夫
春夫は、考える素振りを見せたあと
春夫
春夫
幼き頃の久作
春夫
春夫
春夫
春夫
幼き頃の久作
その日から春夫は、ボクの大切な”お兄さま”になった。
ボクはお兄さまの部屋で過ごすことになった。
お兄さまは18歳だけど、実力だけで大将まで登ったらしい。
凄いよね!
お兄さまはよく、ボクに武術や体術を教えてくれた。
ボクは「飲み込みが早くて偉い」と、よくお兄さまに褒められた。
あと、お兄さまは「夢野」って苗字に「久作」っていうお名前をくれたの!
「鳳凰隊」についても聞いたことがあった。
この日本で起こっている日本紛争…
その発端となった大五家の誰にも肩入れをせずにこの紛争を止めようとする軍事警察?みたいなものなんだって!
幼き頃の久作
春夫
幼き頃の久作
春夫
春夫
そう言ってお兄さまはボクの頭を撫でた。
その時、お兄さまが苦そうな顔で笑っていたのを覚えている。
それからおおよそ3ヶ月後…
ボクはもう二度と「戦場に行きたい」なんて言葉は使わないと心に決めた
数ヶ月後…ボクが身体年齢だけなら5歳だった時………
ボクはお兄さまのもとに生まれてから1ヶ月後に”能力”があることに気が付き、その能力と持ち前の身体能力を活かして
精神年齢がおよそ生後3ヶ月の頃には敵兵を殺戮していた。
お兄さまはよくボクに「戦争に征くのはやめてほしい」と言っていたが
ボクはどうしても行きたかった。お兄さまの役に立ちたかった。
そう言うと、お兄さまは渋々OKしてくれた。
ボクの能力・「ドグラ・マグラ」
人形を作り出して心臓を抉る。なんて簡単な”お人形遊び”なんだろう
涙石病に関しても分かっていた
目に痛みはなく、ただ様々な種類の宝石の涙を流すだけの病。
それでも、お兄さまはボクのことを心配してくれた。
春夫
久作
そして”運目の日”の1日前…
その日は星が綺麗な日で、お兄さまが戦場へと赴く日だった。
久作
春夫
久作
そう言ってボクは宝石を差し出した。
ダイヤ、ルビー、サファイア、トパーズ…
色々な種類の宝石が30粒ほどボクの手にはあった。
春夫
久作
春夫
そう言ってお兄さまは笑顔でボクの頭を撫でた
その次の日
お兄さまの部隊があまりにも帰ってこないと、ボクを含めた鳳凰隊で探しに行った。
その時、ボクの目はお兄さま…陸軍大将を捉えた
久作
お兄さまは
吊るされて動かなくなっていた
なんでなんだろう
どうして動かないんだろう
寒いのかな?
昨日まで元気だったのに…
久作
大人達
久作
ボクの意識はそこで途絶えた
次に目を覚ますと、そこは暗い部屋だった。
手足が鎖で繋がれ、あの時のお兄さまのように磔にされ、吊るされている。
大人達
…「殺しの天使」…それは戦場でのボクの異名だった。
大人達
そんな、ボクに関する会話が次々と頭の中に入ってくる
でも…そんなことどうでもいい………
今はただ………眠い………
だけど、そんな眠気はある一言によってどこかに飛んでいった。
大人達
大人達
「文治様」
その時、兵隊の後ろからお兄さまと同い年くらいの人が現れた。
文治
そう言いかけて
文治
大人達
その指示に従い、続々と兵隊は部屋から出ていく。
部屋に兵士とボクと文治だけになった瞬間、口を開く
文治
文治
久作
久作
久作
男
男はそう怒鳴ってボクの顔に何かを吹きかけた。
刹那、ボクの目に耐え難い激痛が走る
久作
久作
ボクの目から宝石が零れ落ちる。
文治
痛みで悶え続けるボクに対してそのスプレーを指さす
文治
文治
文治
文治
その声を聞いた途端、ボクは痛みでも怒りでもなく、何より失った哀しみで涙を流さずには居られなかった。
久作
久作
久作
久作
久作
男
暴れようとする男を文治が手で制する。
文治
文治
文治
文治
文治
文治
文治
久作
文治
男
男は地面に落ちた宝石を拾い上げ、そそくさと部屋をあとにする
続いて出ていこうとした文治に、ボクは投げかけた。
久作
文治
文治
文治
そう言って彼は部屋をあとにした。
…催涙ガスをかけられ、痛みに耐え、涙を流す…
嗚呼…やっとボクは分かった
戦場で常に笑顔だった理由、自らが「快楽殺人者」と言われていた理由…
それを”楽しい”と、それを”遊び”だと…
そして、ボクが壊す対象が”人間”ではなく”人形”だと思わなければ…
ボクはきっと壊れていた
…ボクの精神が、環境に合わせて無理矢理変わっていたんだ…
…そこでようやく分かった。”兵隊さん”なんて全くカッコよくない。
…嗚呼、なんてつまらない…哀しい人生なんだろう…
そんな生活が1、2年程続いたある日…
何やら外が騒がしい…いつもならこの時間に来るはずの兵隊達がボクの元に来ない…
そんなことを考えていたその時…
勢いよく扉が開いた
敦
見知らぬ人…
怖い
怖い
助けて
…お兄さま…
敦
そう言ってボクの鎖に爪をかけ
鎖を壊した
敦
久作
そう言ったとき
男
いつもの男の声がした
男
そう言ってボクの腕を掴もうとした
すると、敦はその男の腕に爪を立てた
男
男がボクから離れると、敦はボクを守るように男に立ちはだかった。
敦
男
男
男はそう言いかけてやめ、ニヤリと笑った
男
敦
男
敦はボクをちらっと見た
…どうせこの人も欲に負けてボクを引き渡すんだろうなぁ…
…そう、思ってたのに…
敦
久作
ボクはひどく驚いた
何故ならボクは、鳳凰隊を出てからは、まるで人間の扱いを受けていなかったし
それが当たり前だと思っていたからだ。
敦
敦
男
男
敦
敦
男
兵士は敦を掴もうとした。
敦
その時、兵士の腕が消えた。…いや、斬られた。
男
白虎
爪の長い男の人…
この人の鋭い爪が先程の兵士の腕を斬り落としたのだと、すぐにわかった。
敦
白虎
刹那、白虎の躰は光の粒となってヒトガタの中に入り込んだ
敦はボクの手を握りしめて、外へと連れ出そうとする。
男
男
敦
敦
敦
僕が”正しい”と思っていたことでも
周りの圧力に負けて”それ”に従ってしまったこと…
僕は自分がしたことについて後悔したことはないけれど、
自分がしなかったことについては、いつも後悔を感じていた。
敦
敦
兵士にそう言い捨てて敦はボクを連れて牢をあとにした。
ボクは敦に連れられて森を歩いているときに陰陽師について色々なことを聞いた。
ボクの能力の発動条件は、かなり制御が難しい「貼付型」だってことも
難しい順番としては「貼付型」「掲示型」「式神型」「変換型」らしい
すべての型は例外なく、「主が危なくなると主の意思に反して札が動く」けれど…
「貼付型」は「貼る」だけでなく「触れる」ことでも発動するため
もしも瀕死に陥ったりパニックになると周りの仲間まで巻き込む恐れもあるらしい…
それに、周りから見たらボクはどうやら少し刺激されただけでもパニックになることがあるらしい。
だから、「もしも知らない人に連れて行かれそうになったりパニックになったら、どんな状況でも先に脚をナイフで刺す」ことを敦と約束した。
鴎外さんは、ボクの家族についてたくさん調べてくれた。
どうやらボクは、1、2歳の頃から涙石病が発覚していたらしく、
「気持ち悪い」と親から罵られてお蔵の2階の牢屋みたいなところに閉じ込められていて
ボクを差別せず、ご飯を持ってきてくれたのは、家族の中でもお祖母ちゃんただ1人だったんだって。
それに、牢屋の中は衛生状態も悪いし、窮屈だし温度管理も酷かったみたいだから
ボクは何度も何度も世を儚んで
”自殺”しようとしてたんだって
…そんな記憶、一切ないのになぁ………
太宰
久作
………まさか、こんなところでも兄の………文治の名前を聞くとはな………
久作
太宰
久作
久作
久作
久作
太宰
久作
久作
太宰
太宰
太宰
太宰
久作
いつも楽しそうな久作だけど………
この時ばかりは
哀しそうな目をしていた
その目は
宝石のようにキラキラと美しく輝いていたように見えた。