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コメント
3件
読ませていただきました〜!第3話、双子の名前決めのシーンすごく好きです。冷夜と大誤、その由来の歌詞が切なくて綺麗で…。「冷たい夜があっても乗り越えられるように」って願いがじんわりきました。仁子さんがすやすや寝ちゃうところも可愛かったです🥀 厘さんの存在や異界の話も気になって、もっとこの世界観に浸りたくなりました。続き、楽しみにしてますね🌙
アカリ
アカリ
アカリ
アカリ
太朗
病室までの道を、息を整えながら歩く。 ついさっき知らせが入ったのだ。
双子が生まれた、と。
指定された病室の前に立ち、名札を確認した。 「 静風 様」 …合っている。 静かに扉を空けた。
静風 仁子
静風 仁子
太朗
あからさまに元気のない、…妻。
太朗
静風 仁子
太朗
そういえば仁子には言ってなかったっけ。心配かけたくなくて黙ってたの、忘れてた。
静風 仁子
太朗
疲れているんだろう。いつもとは話し方が明らかに違う。 いつもはこう、もっと…オラオラしてるのに。
静風 仁子
しばらくの沈黙の後、発せられたその言葉に、しばし目を瞬かせた。思考停止。脳内が疑問符で埋め尽くされる。
太朗
静風 仁子
とっさに飛び出た言葉に対しどす黒い気配が病室に充満する。
太朗
こういう時の対処法は一つだけだ。
ひたすらに謝る。
頭を下げながら気配が落ち着くのを待った。 だが今回は特例なようで、数分経っても一向に気配は引かない。
静風 仁子
「なまえ」。言われて真っ先に思いついたのは、一つの唄だった。
静かな声を思い浮かべた。もう誰の声だかわからないが、おれのことをまともに育ててくれた人間など一人もいないことを考えると、思い浮かぶのはヤツだけである。
うた?
なぜ覚えているのかはわからない。ただそいつは、特別うまいわけでも、下手でもなく、意味不明なリズムで、変な音程で、つまらない言葉を連ねていた。 何処かから取ってきて、ただそこに並べただけみたいな調子で。
うん…
ねん、ねん、ねむれや、よいこはさ…
きつねも、たぬきも、おねむりよ
ひとつ、そのひに、いっていた
おまえは、おおきな、あやまちと
それすら、なくなる、くらやみで、
ふたりは、たがいの、めをみてた。
ねん、ねん、ねむれや、よいこはさ…
しづかな、かぜが、ほおをなで
つめたい、よかぜが、いっていた
あなたの、こころは、あたたかだ
ひとつは、ちいさな、ひかりのなかで、
ふたりは、ひとりに、なでられた。
太朗
太朗
すると仁子はふわりと笑った。
静風 仁子
静風 仁子
太朗
その先を待っていたら、仁子の顔から笑みが消えた。
太朗
何かあったかと心配になる。まさか、気に食わなかったとか…
などという感情は不要だった。
静風 仁子
仁子は、寝ていた。
太朗
太朗
もう何十年も口にしていなかったような呼び名を口にして、書き置きを残して病室を出た。
家に帰ると、厘─俺たちの育ての親みたいなもの─が出迎えた。
厘
こいつは俺を育てた。俺の父親も、祖母も、代々こいつに育てられているらしい。
太朗
因みに、この顔と体付きで男である。ややこしい。
寝室をのぞくと、海留はまだ寝ていた。
太朗
厘は笑顔のまま答えた。
厘
太朗
休みたいのは山々だが、最近見つかった物質について実験しなければならないことがたくさんある。
何より、海留の分の粥なんぞ食べたら後で仁湖に殺されるのが目に見えている。俺は厘にもう一度留守番を頼み、異界へ出かけた。
厘の
厘
という問いに、
太朗
なんて返してから。
アカリ
アカリ
アカリ
アカリ
アカリ
アカリ
アカリ
アカリ
アカリ