雷門中合宿所
野坂
…
僕は目を開けたまま眠る彼を見つめながら頭を抱えた。
どうして彼が、
なぜ彼なんだろう、
いっそ僕の方が…
野坂
あの時、フェイくんが言ってた事故って、君たちの事だよね。
野坂
…僕はどうしてなにも出来ないんだろう。
野坂
だってこんな…君が頑張ってたのに…
西蔭
失礼します。
野坂
西蔭…
西蔭
ど、どうしたんですか?
野坂
どうしたって…?なにがだい?さ、もうこんな時間だよ。早く寝よう。
西蔭
待ってください野坂さん!!
西蔭
じ、自分は何の役にも立たないかもしれませんが…
西蔭
どうぞ…
布団に潜ろうとした僕に西陰はハンカチを差し出してきた。
野坂
え…
いつの間にか僕は目から大粒の涙を出していた。
急いで袖で目を擦る。
西蔭
野坂さん!汚れてしまいます!
西蔭は僕の手を止め目もとを優しくハンカチで拭いてくれた。
野坂
…
野坂
ごめん…
西蔭
どうして謝るんですか?
野坂
いや…ふふ、どうしてだろうね。
西蔭
?
野坂
もう少し起きていようか。
野坂
ある可能性についても話しておきたいし。
西蔭
可能性…?
フェイ
みんなお待たせ!
天馬
ヨネさんのご飯が美味しくてつい〜
野坂
いいよ。それより天馬くんに話があるんだ。
天馬
はなし?
野坂
君は雨宮太陽というオレンジ色の髪の少年を知っているかい?
天馬
え!!と、友達です…太陽がどうかしたんですか…?
野坂
彼は今、サッカーをできるかい?
天馬
はい。前まで病気で思うようにできなかったんですけど、今はすごく調子よくて!…って、なんで野坂さんは太陽のことを…?
野坂
僕ね、病気でアメリカの病院に入院してた時があって、その時に太陽くんと出会ったんだよ。
天馬
へえ…
野坂
そこで、彼をこのチームにスカウトしたいんだけど。
フェイ
確かにそれなら豪炎寺さんの負担も減ります!彼は化身を出せますから!!
野坂
へえ…なかなかやるようじゃないか…
豪炎寺
俺もまだ化身に慣れていない。是非ともそいつに教えてもらいたい。
フェイ
わかった!彼をスカウトしよう!
天馬
じゃあまずは僕の世界線に行こう。それから太陽をスカウトして、一星くんのいない世界にフリークを探しに行く。
フェイ
OK!じゃあみんな!乗って!
西蔭
さすがです野坂さん。
野坂
僕はただ、彼を信じただけだよ。
野坂
「雨宮太陽」。一体彼はどんな力を持っているんだろうね…?
ワンダバ
天馬の世界線へ、
フェイ
たいむじゃ〜〜んぷ!!
太陽
先生!
?
お、太陽か。
?
最近どうだ?無理してないか?
太陽
大丈夫です!新しい必殺技も覚えたし…化身もだんだん強くなってきて…
天馬
太陽〜!!
太陽
あ!天馬!
天馬
太陽に用があるんだ!来てくれないか?
太陽
用?いいけど…
?
俺も行っていいか?天馬くん。
天馬
え?は、はい…いいと思いますけど…
?
ありがとう!
天馬
(…なんかこの人誰かに似てるな…)
天馬
みんなー!太陽いたよー!!
太陽
で、天馬?これはどういう…
太陽
もしかして、また変なことに巻き込まれてるなー?
天馬
まあその通りなんだけど…
円堂
お前が雨宮太陽か!よろしくなっ!
太陽
うぇ?!え、円堂さん?!?!
太陽
ま、またタイムリープ?!
フェイ
何度も付き合わせてしまってすまない。君の力が必要なんだ!!って…その隣の人は…?
?
あ、俺か?ごめんごめん。何事かと太陽について来たんだよ。
?
俺の名前はーー
野坂
!!
一星。一星 充だ。
続く