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『青い涙と春の笑顔』

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『青い涙と春の笑顔』

2 - 2話『青い涙と春の笑顔』彼方視点

♥

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2023年07月05日

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〜そらる side〜

「いつか絶対4人でプロになろう」

中学の頃、同級生3人とそう約束して、 クリスタリアルスカイは結成された

このバンド名は、いつも空を見上げる ことが癖だった俺が考えたもの

いつかみんなで、 あの夜の星空みたいに輝こう

音楽好きで集まった4人の中では、 きっと俺が、この約束と名前に 一番真剣に向き合っていたと思う

……いや、違うな

本当は、元から俺だけだったんだ

4人で同じ高校に入って、当時は 無かった軽音を、半ば強引に設立した

入学早々部活を作ろうとして、 相当先生達を困らせてたっけ

でもあの頃は、本当に楽しかった

毎日朝と放課後、必死に練習をして、 文化祭のステージにも立って……

──こんな時間が、 ずっと続けば良いのに

俺達の活動は順調で、 将来は明るいと思っていた

真っ直ぐに前だけ、 未来だけを見据えていた

……だからこそ、背後の 陰りに気づけなかったんだ

2年前

文化祭が終わって、冬がやってきた

今年は例年より寒くて、 外では雪が降っているほど

その日の放課後も、俺らは集まって、 いつも通り練習をしていて……

ジャーンッ!!

一ノ瀬彼方(そらる)

(今の、結構良かったな……けど……)

一ノ瀬彼方(そらる)

秀夜、Bメロはもう少し遅めのテンポでいいと思う

バンドのリーダーとして、 いつも通りメンバーのミスを指摘する

秀夜

…………

一ノ瀬彼方(そらる)

焦るのは分かるけど、ドラムはリズム命だから。そこ気をつけて……

秀夜

っあぁもう、うるせぇな!

一ノ瀬彼方(そらる)

っ!?

朝日

ちょっおい、うるさいって何だよ? 彼方はただお前のミス指摘しただけじゃん

夕斗

そうだよ、どうしたんだよ急に?

秀夜

大体なぁっ!!

秀夜

お前ら、こんなんで将来飯食っていけると思ってんのかよ!

秀夜

流石に夢見すぎじゃねぇの!?

夕斗

なっ、はあ!? 元々みんなで有名になろうって約束したんだろ!?

夕斗

秀夜もその時いたじゃねぇか!

秀夜

はぁ?? お前ら、まさかアレ本気で言ってたのかよ!?

朝日

本気じゃなかったら何だよ! お前こそ冗談で約束してたのか!?

秀夜

そんなん当たり前だろ! 本気な方がどうかしてる!!

音楽で生きていくなんて、 無理に決まってるだろ!!

一ノ瀬彼方(そらる)

っ……!?

一ノ瀬彼方(そらる)

は……? え、いやっ……秀夜? お前、冗談も程々にしろよ……?

朝日

……? 彼方……?

一ノ瀬彼方(そらる)

だって、あの時4人で……。

一ノ瀬彼方(そらる)

絶対、プロになろうって……!

一ノ瀬彼方(そらる)

……俺達、4人でっ……。

一ノ瀬彼方(そらる)

っ……約束……したよな……??

ギターのネックを握る左手が震える

秀夜の言葉は、当時の俺の心に 相当深く突き刺さって

秀夜

『冗談は程々にしろ』? こっちのセリフだよ!!

秀夜

朝日、夕斗! お前らだって本当は思ってんだろ!?

秀夜

音楽なんかやるだけ無駄だって!!

朝日

っ……!!

夕斗

い、いや、そんなわけ……

秀夜

現に今迷ってんじゃねぇか! それが証拠だよ!

一ノ瀬彼方(そらる)

……朝日……? 夕斗……?

一ノ瀬彼方(そらる)

(なんで……なんで答えに躊躇うんだよ……?)

秀夜

そら見ろ! 結局、音楽をマジメにやってんのはお前だけなんだよ!!

秀夜

勝手に約束取り付けて、リーダーヅラして!

秀夜

俺らの将来まで勝手に決めつけんじゃねぇよ、音楽バカが!!

一ノ瀬彼方(そらる)

──っ!?

そう吐き捨てて、荷物をまとめて 部室から出ていった秀夜

夕斗

あっ、おい!

夕斗

っ……何なんだよあいつ……!

朝日

か、彼方、俺達は……

一ノ瀬彼方(そらる)

…………。

一ノ瀬彼方(そらる)

っ……今まで、迷惑かけたな

朝日

っ……!!

夕斗

っ……ごめん、俺先帰る

朝日

あ、ちょっ、夕斗!

一ノ瀬彼方(そらる)

(……俺は……ずっと、1人で先走ってた……?)

一ノ瀬彼方(そらる)

(みんなのこと、振り回して……。)

一ノ瀬彼方(そらる)

(……本気で音楽やってたのは、俺だけ……?)

一ノ瀬彼方(そらる)

(あの約束も、全部嘘だった……?)

無音になった部屋に、 1人取り残される

元々独りだったらしい 俺には、ぴったりだと思った

一ノ瀬彼方(そらる)

っ……。

一ノ瀬彼方(そらる)

……なんで……。

一ノ瀬彼方(そらる)

なんでだよ……!

自分の惨めさと、仲間に裏切られた 事実が、波のように心に押し寄せる

何でこんなことになった?

……今まで頑張ってきた結果が、 この破滅なのか?

一ノ瀬彼方(そらる)

(こんなことになるんならっ……)

音楽なんて、しなきゃよかった──

あれから1年

メンバーの3人とはクラス替えでも 完全に別れ、全く会わなくなっていた

実質的なバンド解散、そして廃部

俺自身、ギターに触ることも、 歌うことも無くなっていた

……音楽と関わることが、怖くなった

一ノ瀬彼方(そらる)

(……そういや、家に帰る時間も早くなったな……。)

一ノ瀬彼方(そらる)

(前は、もっと暗い時間に、みんなでコンビニとか寄って……)

一ノ瀬彼方(そらる)

っ……

一ノ瀬彼方(そらる)

(……嫌なこと思い出した)

♪〜

一ノ瀬彼方(そらる)

……?

いつもの駅前を歩いていると、 不意にどこかから、ギターの音色と、 誰かの歌声が聞こえてきた

つい、その音のする広場へ足を向ける

相川真冬(まふまふ)

♪〜

一ノ瀬彼方(そらる)

(あれって……うちの制服……?)

こんな寒い冬空の下、 負けじと歌っている、 俺と同い年くらいの白髪の青年

しばらくその場で聞いていると、 ヒット曲のカバーだけでなく、 オリジナルらしき曲も歌い始めた

一ノ瀬彼方(そらる)

(……立ち聞きしてる人、かなりいる……)

もしかして、いつもここで 路上ライブをしてるのか?

一ノ瀬彼方(そらる)

(……俺も前は、同じように頑張ってたっけな……)

去年の今頃を思い出しながら、 そそくさとその場を離れる

一ノ瀬彼方(そらる)

(俺らみたいにはなるなよ……)

きっともう、彼の歌を 聞きに来ることもないだろう

音楽はもう嫌いなんだ

自分がすることなんて、尚更──

そう、思ってたのに……!

新学期

クラス替えで再び変わった クラスのメンバーとの、最初の1日

一ノ瀬彼方(そらる)

(なんか、ずっと一個前の席のやつにチラチラ見られてるけど……)

特に気にはせず、昼休みなのもあり、 カバンから弁当を取り出す

相川真冬(まふまふ)

あ、あのっ!

一ノ瀬彼方(そらる)

……? え、俺?

相川真冬(まふまふ)

は……はいっ!

突然、例のチラチラ見てくるヤツに 話しかけられた

男子にしては珍しく、ブレザーの 代わりにピンク色のカーディガンを 羽織っている、白髪の生徒

一ノ瀬彼方(そらる)

(……? そういやこいつ、どっかで見たことあるような……)

相川真冬(まふまふ)

あの……良かったら一緒にお昼食べませんか?

彼……相川真冬は、何故か俺の名前を 知っていて、俺と話がしたいとの ことで、お昼も兼ねて屋上へ来た

相川真冬(まふまふ)

いい天気〜!!!

今日の空は、嫌なほどに晴れている

一ノ瀬彼方(そらる)

…………。

一ノ瀬彼方(そらる)

で? 話したいって、何?

相川真冬(まふまふ)

あ、そうだったw

広げていたお弁当をつまみつつ、 真冬の話を聞くことに

真冬は、俺達が2年前の文化祭に やったライブを見て、それに憧れて 路上ライブを始めたらしい

目を輝かせながら、そう熱弁された

一ノ瀬彼方(そらる)

(路上ライブ……。)

一ノ瀬彼方(そらる)

(あぁ……そういや、去年の冬にやってるのを一度見たっけな……)

一ノ瀬彼方(そらる)

あ〜……ありがとう……

ぼんやりと思い出しつつ、 そう返事をする

一ノ瀬彼方(そらる)

(……あのライブ、こいつには、そう見えてたんだ)

俺だって、あの時は何も知らず、 路上ライブをしていた真冬みたいに 楽しくやっていた

一ノ瀬彼方(そらる)

(っ……もう忘れよう)

俺はもう、音楽は嫌いなんだ

一ノ瀬彼方(そらる)

でもごめん……実は俺達……

適当に話を切り上げる為にも、 すでに解散したことを伝える

“俺に憧れた”って……それが何だよ

一ノ瀬彼方(そらる)

(もう……純粋に喜べない……)

相川真冬(まふまふ)

……ってことは……。

相川真冬(まふまふ)

じゃあ今……彼方さん誰ともバンド組んでないんですか?

一ノ瀬彼方(そらる)

(……?)

一ノ瀬彼方(そらる)

うん……組んでないよ

いまいち、質問の意図が読み取れない

何が言いたいんだ……?

相川真冬(まふまふ)

じゃあ……彼方さん……

一ノ瀬彼方(そらる)

なに?

相川真冬(まふまふ)

僕とバンド組みませんか?

一ノ瀬彼方(そらる)

……は?

予想外の問いに、思わず固まる

相川真冬(まふまふ)

だから、僕とバンド組みませんか?

俺と……バンドを……?

一ノ瀬彼方(そらる)

(っ……もう……バンドは……!)

一ノ瀬彼方(そらる)

ごめん……ちょっと無理かな……

できるだけ何も悟られないように、 柔らかく答えを返す

相川真冬(まふまふ)

え? 何でですか?

一ノ瀬彼方(そらる)

今はちょっと……音楽をやる気にはなれないから……

俺とバンドを組んだって、 何もいいことがないに決まってる

音楽は……もう、嫌いなんだよ……

相川真冬(まふまふ)

音楽が嫌いって、どうして……

一ノ瀬彼方(そらる)

……っ……。

一ノ瀬彼方(そらる)

……ちょっと、色々あってさ……。

一ノ瀬彼方(そらる)

じゃあそろそろチャイム鳴るから……

教室に戻ると告げて、 足早にその場を去る

一ノ瀬彼方(そらる)

っ……

音楽はもう、二度と やらないって決めた

誰かと一緒になんて、以ての外

……怖いんだ

一ノ瀬彼方(そらる)

……ごめんな……

もう、真冬と関わることは ないと思っていた

なのに……

こんなにしつこいなんて、 聞いてないんだけど……!?

とある朝……

相川真冬(まふまふ)

彼方さんおはようございます!

一ノ瀬彼方(そらる)

おはよ

相川真冬(まふまふ)

ところでバンド組みませんか?

一ノ瀬彼方(そらる)

いや、だから俺断った……

相川真冬(まふまふ)

組みませんかっ!?

一ノ瀬彼方(そらる)

っ組まないから

相川真冬(まふまふ)

そうですか……

一ノ瀬彼方(そらる)

ほら、それよりHR始まるよ

廊下ですれ違った時も……

相川真冬(まふまふ)

あ、彼方さんじゃないですか!

一ノ瀬彼方(そらる)

あぁ、真冬……

相川真冬(まふまふ)

ここで会ったのも何かの縁ですね!

相川真冬(まふまふ)

ってわけでバンド組みません!?

一ノ瀬彼方(そらる)

いやここ教室の前だし会うの当たり前だろ……

相川真冬(まふまふ)

組みませんか!?

一ノ瀬彼方(そらる)

っ、組みません!

昼休みも、何故か誘われて……

相川真冬(まふまふ)

彼方さん、一緒にお昼食べましょ!

一ノ瀬彼方(そらる)

いいけど……

相川真冬(まふまふ)

あ、そうだ。今日僕教科書忘れちゃって。後で貸してくれませんか?

一ノ瀬彼方(そらる)

いいけど

相川真冬(まふまふ)

ところでバンドも組みません??

一ノ瀬彼方(そらる)

いいけ……。

一ノ瀬彼方(そらる)

って危な、しれっと会話に差し込むな!

相川真冬(まふまふ)

いいじゃないですか、組みましょうよ!

一ノ瀬彼方(そらる)

組みません!!

挙げ句の果てには帰り道まで……

相川真冬(まふまふ)

あっ、彼方さーん!

一ノ瀬彼方(そらる)

(げっ……)

一ノ瀬彼方(そらる)

あー……こんなとこで何してんの?

相川真冬(まふまふ)

これから路上ライブするんです!

相川真冬(まふまふ)

いつも僕、この時間にここでやってるんですよ

一ノ瀬彼方(そらる)

(あぁ、そういえば初めてこいつのこと見たのもこのくらいの時間帯だっけ……)

相川真冬(まふまふ)

あ、せっかくですし歌っていきません?

一ノ瀬彼方(そらる)

俺はいいよ、真冬のライブなんだし

相川真冬(まふまふ)

いいじゃないですか! ほら、特別ゲストってことで! 一緒にやりましょ!

一ノ瀬彼方(そらる)

だから俺ははいいって……

一ノ瀬彼方(そらる)

(っていうか嫌な予感……)

相川真冬(まふまふ)

そしてこれを機にバンド組みません!?

一ノ瀬彼方(そらる)

組まないっての!!

2日後

相川真冬(まふまふ)

あ、そらるさんおはようございます!

相川真冬(まふまふ)

っていうか、昨日の帰り確実に逃げましたよね!?

一ノ瀬彼方(そらる)

っ……それは悪かったけど……

一ノ瀬彼方(そらる)

(いや、それより本当に『そらる』って何……??)

相川真冬(まふまふ)

いやそれよりバンド組んでください!

一ノ瀬彼方(そらる)

(いつの間に“ください”になったんだ……)

一ノ瀬彼方(そらる)

だから無理だって……

相川真冬(まふまふ)

えぇ〜、いい加減組みましょうよ〜!

一ノ瀬彼方(そらる)

いい加減にするのはそっちだよ……

キーンコーンカーンコーン……

相川真冬(まふまふ)

あ、じゃあまた後で誘いますっ!

一ノ瀬彼方(そらる)

誘わなくていい!

その日の昼休み、何故か真冬は、 いつもより強引に昼ごはんを 食べようと誘ってきた

相川真冬(まふまふ)

ほら、そらるさん! こっち座りましょ!

柵の側に座って、俺を手招きする真冬

一ノ瀬彼方(そらる)

(また『そらる』……)

一ノ瀬彼方(そらる)

……あのさ

相川真冬(まふまふ)

なんですか? そらるさん

一ノ瀬彼方(そらる)

前から思ってたんだけど、その『そらる』って何……? 俺の事?

相川真冬(まふまふ)

そうですよw そらるさん以外に誰がいるっていうんですかw

一ノ瀬彼方(そらる)

なんでそらるなの?

純粋な疑問をぶつけてみる

相川真冬(まふまふ)

それは……そらるさんの瞳の色です

一ノ瀬彼方(そらる)

瞳の色……?

相川真冬(まふまふ)

はい。ここ数日、そらるさんと話してて気づいたことがあって……

「そらるさんの瞳って、 なんか青くて澄み渡る『そら』って 感じがして綺麗だから」

「あとそらるさんは、 よく空を眺めてるので」

一ノ瀬彼方(そらる)

(……澄み渡る空……。)

一ノ瀬彼方(そらる)

(そんな綺麗なもんじゃないと思うけど……)

一ノ瀬彼方(そらる)

『る』は? どっから来たの?

相川真冬(まふまふ)

『る』はなんとなくですw

一ノ瀬彼方(そらる)

ふっ、なんだそれw

真冬と話していると、 何故か少し気が楽になるな

そう思いながら、真冬の隣に座る

相川真冬(まふまふ)

そらるさん……僕とバンド組みませんか?

すると、やっぱりいつもの セリフが出てきた

一ノ瀬彼方(そらる)

だから……何度も言ってるだろ、無理だって……

相川真冬(まふまふ)

……なんでそんなに嫌なんですか?

一ノ瀬彼方(そらる)

(なんでって……)

一ノ瀬彼方(そらる)

だから前にも言ったろ、音楽が嫌いになってるって……

相川真冬(まふまふ)

それ……嘘ですよね?

一ノ瀬彼方(そらる)

……は?

音楽嫌いが……嘘……?

相川真冬(まふまふ)

本当はまだ……音楽、好きなんじゃないですか?

一ノ瀬彼方(そらる)

(っ……俺が……まだ……?)

一ノ瀬彼方(そらる)

なんで……

相川真冬(まふまふ)

だってあの時……『音楽が嫌いになってる』って言った時のそらるさん……。

相川真冬(まふまふ)

すごく……悲しそうな顔してました

一ノ瀬彼方(そらる)

っ……!!

相川真冬(まふまふ)

それに……あの時のそらるさんは、とても楽しそうにライブをしてた。

相川真冬(まふまふ)

あんなに楽しそうにライブをしてたそらるさんが、そんな簡単に音楽を嫌いになるなんて……。

相川真冬(まふまふ)

僕はどうしても思えないです

一ノ瀬彼方(そらる)

……っ……

一ノ瀬彼方(そらる)

(違う、そんなわけないっ……!)

心の中で、真冬の言葉を全て否定する

一ノ瀬彼方(そらる)

(っ……じゃないと……)

相川真冬(まふまふ)

本当は……音楽がしたい。

相川真冬(まふまふ)

でも、昔に何かがあって……それがずっと引っかかって、音楽がしたいって、言えないんじゃないですか……?

相川真冬(まふまふ)

……例えばバンドが解散したこととか……

一ノ瀬彼方(そらる)

っ!!

相川真冬(まふまふ)

そのことがあって、それでわざと音楽を嫌いになろうとしてる……。

相川真冬(まふまふ)

そうじゃないですか?

一ノ瀬彼方(そらる)

それはっ……

相川真冬(まふまふ)

バンドで何かあったんですか?

相川真冬(まふまふ)

……教えてくれませんか?

一ノ瀬彼方(そらる)

…………。

一ノ瀬彼方(そらる)

……っ……

ダメだ

一ノ瀬彼方(そらる)

……なんで分かったんだよ……

ダメだ……

一ノ瀬彼方(そらる)

そうだよ……俺はまだ……

閉じろよ、俺の口……!!

一ノ瀬彼方(そらる)

(本音を話したら……また音楽がっ……。)

一ノ瀬彼方(そらる)

(っそれに、こいつに言ったところで……!)

一ノ瀬彼方(そらる)

……だったら、もうバンドなんか組まないで、音楽もやめた方が……

相川真冬(まふまふ)

そらるさん

そう呼ばれたと思ったら、 突然手を取られる

一ノ瀬彼方(そらる)

何……?

相川真冬(まふまふ)

『俺』はそんな思いさせませんよ

一ノ瀬彼方(そらる)

え……?

相川真冬(まふまふ)

俺はそらるさんにそんな思いさせません!

相川真冬(まふまふ)

そんな想いさせないって、約束します!

一ノ瀬彼方(そらる)

っ……そんなの分かんないじゃん……

相川真冬(まふまふ)

俺の事、信じてください。

相川真冬(まふまふ)

絶対! 絶対にさせません!

さながら、告白のような真冬の言葉

一ノ瀬彼方(そらる)

なんでそこまで……

相川真冬(まふまふ)

そらるさんの音楽が好きだからです!!

一ノ瀬彼方(そらる)

……っ!!

相川真冬(まふまふ)

俺は……そらるさんの音楽が好きだから……!

一ノ瀬彼方(そらる)

俺の音楽が……好き……

相川真冬(まふまふ)

だから辛かったことで……音楽をやめて欲しくない……。

相川真冬(まふまふ)

嫌いになって欲しくないんです!

一ノ瀬彼方(そらる)

っ……

涙が出そうになるのを、 必死に抑える

相川真冬(まふまふ)

辛いことがあっても、それでもがむしゃらに続ければ、楽しいことや嬉しいことだってある!

相川真冬(まふまふ)

俺は今まで……そうやって、ここまで頑張ってきました!

相川真冬(まふまふ)

だから、俺がそらるさんに、そのことを証明してみせます!

もしかしたら……俺はずっと、 この言葉を待っていたのかもしれない

一ノ瀬彼方(そらる)

証明……

相川真冬(まふまふ)

絶対に! 絶対に!

相川真冬(まふまふ)

もうそんな……辛い思いなんか、させません!

相川真冬(まふまふ)

だからっ……

俺の為に、こんなに必死に、 言葉をかけてくれている

「もう一度音楽をやってもいいんだ」 って、言ってくれているみたいに

一ノ瀬彼方(そらる)

まふ……ゆ……

相川真冬(まふまふ)

お願いします……。

相川真冬(まふまふ)

俺とバンド組みませんか……?

いつもはあんなに自信満々なのに、 今は弱々しく聞いてくる真冬

それでも、赤い瞳は真っ直ぐ、 俺を見据えていて……

一ノ瀬彼方(そらる)

(……そこまで、言われたらな……)

一ノ瀬彼方(そらる)

……はぁ……分かったよ

相川真冬(まふまふ)

っ……!! ほんとですかっ!?

一ノ瀬彼方(そらる)

でも、無理だと思ったらすぐにやめるからな

これは、ただの負け惜しみだ

一ノ瀬彼方(そらる)

(まさか、俺が折れることになるなんてなぁ……)

相川真冬(まふまふ)

ありがとうございます!

相川真冬(まふまふ)

大丈夫ですよ! そんなこと思わせないですからw

いつもの笑顔に戻った真冬が、 今度は自信げに言ってくれる

一ノ瀬彼方(そらる)

ふーん……期待してる

相川真冬(まふまふ)

はいっ!

そうして俺らは、 バンドを組むことになった

この時の俺がまふまふとバンドを 組もうと思ったのは、こいつの言葉を 信じてみようと思ったから

昔見た路上ライブ、そして後に聞いた まふまふの今までの話で、こいつの 音楽に対する強い気持ちを知って……

「真冬とならやれるかもしれない」

そんな確信めいたものを感じたんだ

一ノ瀬彼方(そらる)

(……こんなの、恥ずいし本人に言うわけないけどな)

次の日

そうして晴れてバンドを組むことに なり、まずは第一歩として廃部状態の 軽音部を2人で復活させた

相川真冬(まふまふ)

ここが軽音の部室……!

一ノ瀬彼方(そらる)

(ここに来るのも、もう2年ぶりになるのか……)

部屋は少し埃を被っていて、 まずは掃除からだな、なんて 思いながら全体を見渡す

一ノ瀬彼方(そらる)

ようこそ、軽音へ

相川真冬(まふまふ)

あははっ、なんですかそれw

一ノ瀬彼方(そらる)

まぁ、一応部長だったから?w

相川真冬(まふまふ)

じゃあ……そらる部長!

相川真冬(まふまふ)

これから1年間、お世話になりますっ!

そう言って、ぺこりと深く お辞儀をしてきた

一ノ瀬彼方(そらる)

……ん。よろしく、『まふまふ』

相川真冬(まふまふ)

はいっ! ……って、え?

相川真冬(まふまふ)

今、『まふまふ』って……!

一ノ瀬彼方(そらる)

っ、お前がそらるって呼ぶなら、俺だって呼び名つけてもいいだろ

相川真冬(まふまふ)

……!! はいっ!

相川真冬(まふまふ)

ちなみに、なんで僕『まふまふ』なんですか?

一ノ瀬彼方(そらる)

えー……クラスの奴らに『まふ』って呼ばれてるから?

相川真冬(まふまふ)

なるほど……って、それだけ?

一ノ瀬彼方(そらる)

それだけ

一ノ瀬彼方(そらる)

(……ほんとは、俺だけ特別感持たせたいからって理由もあるけど)

相川真冬(まふまふ)

え〜……この白髪とか、瞳とか……あっ、素が声高いし、ハイトーン得意です!

一ノ瀬彼方(そらる)

何急に……??

相川真冬(まふまふ)

ほらっ、この特徴で何かあだ名思い浮かびません?

一ノ瀬彼方(そらる)

…………。

一ノ瀬彼方(そらる)

……まぬんちゃん?

相川真冬(まふまふ)

えっ、なんですかそれ!? っていうか『ちゃん』付け……!?

一ノ瀬彼方(そらる)

とにかくお前はまふまふ! 俺にネーミングセンス求めんなっ

そして活動を始めて、まず 最初の目標は、1週間後にある 新入生歓迎会に設定された

部活紹介で曲を披露して、 部員集めをするのも目的

一ノ瀬彼方(そらる)

お邪魔します

相川真冬(まふまふ)

いらっしゃいませ〜!

そんなわけで、曲作りの為に、 今日はまふまふの家に呼ばれていた

高校に入ってからは一人暮らしを しているらしく、学校から 徒歩で通える近い距離だった

一ノ瀬彼方(そらる)

すごいな、高校で一人暮らしって……

相川真冬(まふまふ)

実はうち、ちょ〜っと厳しくて……うちの親、ボクが音楽で生きていくことに反対向きだったんですよ。

相川真冬(まふまふ)

だから、親とはもう縁を切ること覚悟で、実家から遠いこの場所に飛び出してきて。

一ノ瀬彼方(そらる)

え……それって、全部音楽の為に?

相川真冬(まふまふ)

はい。そうでもして、僕は音楽をやりたかったんです。

相川真冬(まふまふ)

それに、そのおかげでそらるさんにも会えましたからね!

……どうやら、こいつが音楽に 懸ける熱量は、並大抵じゃないらしい

一ノ瀬彼方(そらる)

(でもこいつは、それだけ本気で音楽と向き合ってるんだ)

そのことを知れて、少し嬉しくなる

一ノ瀬彼方(そらる)

じゃあ、尚更頑張らないとな。

一ノ瀬彼方(そらる)

早速曲作り始めるか

相川真冬(まふまふ)

はいっ!

相川真冬(まふまふ)

あ、でも……1週間で1曲作って、さらに練習って、流石に難しいですよね……?

一ノ瀬彼方(そらる)

あ〜……たしかにそうだな……。

一ノ瀬彼方(そらる)

……じゃあ、とりあえず今はワンフレーズだけ作って、また今度続き作ることにしたら?

相川真冬(まふまふ)

なるほど……じゃあ、今はそれで行きますか

相川真冬(まふまふ)

そらるさんは、どんな曲やりたいっていうのありますか?

一ノ瀬彼方(そらる)

どんな……やっぱり相手は新入生だし、明るい感じの曲じゃない?

相川真冬(まふまふ)

たしかにそうですね〜……

まふまふがカバンからノートと筆箱を 取り出して、メモをしていく

相川真冬(まふまふ)

明るい曲かぁ…………あっ!

一ノ瀬彼方(そらる)

どうした?

相川真冬(まふまふ)

いい感じのフレーズが浮かんできて……ちょっと聞いててください!

すると、ギターケースからギターを 取り出して、弾き始めたまふまふ

♪〜

一ノ瀬彼方(そらる)

……!

明るい中に、僅かに寂しさも 感じるような、そんなメロディ

一ノ瀬彼方(そらる)

(すごいな、即興って……)

相川真冬(まふまふ)

……って、こんな感じのフレーズどうですか?

一ノ瀬彼方(そらる)

いいと思うよ。じゃあ、それを軸にして……

3日後……

曲作りを始めてからは、 俺もギターを持ち寄って、まふまふと 一緒に弾きながら作っていた

一ノ瀬彼方(そらる)

(……あの時、ギター捨てなくて良かったな)

♪〜

相川真冬(まふまふ)

……ふふっ

一ノ瀬彼方(そらる)

なに?

相川真冬(まふまふ)

ギター弾いてるそらるさん、やっぱりいつ見ても楽しそうだなぁって思ってw

一ノ瀬彼方(そらる)

えー……そう?

相川真冬(まふまふ)

はいっ!

相川真冬(まふまふ)

そういえばそのギター、どこで買ったんですか?

一ノ瀬彼方(そらる)

これは、駅前の楽器屋で……

あの3人と、バンドを組む前…… 星空みたいなデザインに惹かれて、 このギターを買ったんだっけ

一ノ瀬彼方(そらる)

っ……

一ノ瀬彼方(そらる)

(また嫌なこと思い出した……)

相川真冬(まふまふ)

……? そらるさん?

一ノ瀬彼方(そらる)

……え? あ、なに?

相川真冬(まふまふ)

その、浮かない顔してたから……。

相川真冬(まふまふ)

…………。

相川真冬(まふまふ)

……そらるさん。前のバンドで、何があったのか……聞いてもいいですか?

一ノ瀬彼方(そらる)

……!

真剣な顔で、そう聞かれる

一ノ瀬彼方(そらる)

(……たしかに、まふまふには、話しておいた方が……。)

一ノ瀬彼方(そらる)

(っ……けど……)

一ノ瀬彼方(そらる)

……いや、ただの認識のズレっていうか、そういうのでちょっといざこざがあって

相川真冬(まふまふ)

認識のズレ……?

一ノ瀬彼方(そらる)

そ。ほら、早く作り終わらないと練習に時間取れないよ。

一ノ瀬彼方(そらる)

お前は毎日ライブしてるだろうけど、俺は2年のブランクあるから

相川真冬(まふまふ)

あ……はい。そうですね

一ノ瀬彼方(そらる)

(っ……まだ、話すのは……怖い……)

そうして、新入生歓迎会の日は あっという間に訪れた

相川真冬(まふまふ)

♪〜

一ノ瀬彼方(そらる)

♪〜

時間ギリギリまで、 部室に篭って練習をする

相川真冬(まふまふ)

ふ〜……。

相川真冬(まふまふ)

……あっ、もう時間!

一ノ瀬彼方(そらる)

えっ? ……うわっ、あと10分!

相川真冬(まふまふ)

やっばい! 急げ急げ〜っ!!

ギターやその他諸々の機材を 2人で抱えて、急いで体育館へ来る

1年生

部活何入る〜?

1年生

ん〜、運動好きだしテニスとか?

1年生

発表ってどんなことするんだろう?

1年生

吹奏楽部すごそうじゃない?

舞台袖から覗いてみると、1年生達が こんな会話をしているのが聞こえた

相川真冬(まふまふ)

うわっ、いつものライブの倍くらい人いる……!

一ノ瀬彼方(そらる)

今年の1年は例年より人数多く取ってたらしいよ

相川真冬(まふまふ)

へぇ、知らなかった……でも、これだけ人いれば、軽音に興味持ってもらえる可能性も上がりますよね!

一ノ瀬彼方(そらる)

だな

……この景色、何だか2年前の 文化祭を思い出す

一ノ瀬彼方(そらる)

(っ……今は、あの時とは違う……)

相川真冬(まふまふ)

……そらるさんっ!

一ノ瀬彼方(そらる)

なに?

相川真冬(まふまふ)

今日、一緒に頑張りましょうね!

一ノ瀬彼方(そらる)

っ……!

一ノ瀬彼方(そらる)

うん。よろしく、まふまふ

司会

次は、軽音部の発表です!

相川真冬(まふまふ)

あっ、行きましょ!

楽しそうに、ステージの上へと 駆けていくまふまふ

それを見ると、自然と俺も 楽しくなってきた

相川真冬(まふまふ)

1年生の皆さんこんにちは!

ギターのチューニングを済ませると、 まずはまふまふが話し始める

一ノ瀬彼方(そらる)

軽音部部長の3年、一ノ瀬彼方と、

相川真冬(まふまふ)

同じく軽音部3年、相川真冬です!

相川真冬(まふまふ)

今日は、今回の為に作ってきた新曲を披露します!

一ノ瀬彼方(そらる)

まだ未完成ですが、聴いてください

「セカイシックに少年少女」

1.2.3.4……と、 カウントで息を合わせる

♪〜

相川真冬(まふまふ)

♪常夜の下……

緊張で手が強張って、一瞬でも 気を抜くとミスりそうになる

一ノ瀬彼方(そらる)

♪アーチの上……

声も震えるし、昔より下手に 聞こえるかもしれない

……まだ少し、怖い気持ちはある

一ノ瀬彼方(そらる)

(けどっ……!)

今は、信じるって決めたんだ

一ノ瀬彼方(そらる)

(だって俺は、まだ音楽が……。)

一ノ瀬彼方(そらる)

(……いや……今までも、これからも、ずっと……!)

一ノ瀬彼方(そらる)

(音楽が、好きだから……!!)

パチパチパチパチ……

一ノ瀬彼方(そらる)

ありがとうございました!!

相川真冬(まふまふ)

僕らはいつも部室で練習をしているので、もし興味があったら、いつでも見学に来てください!

拍手を浴びながら、2人で お辞儀をして、舞台裏へと戻っていく

相川真冬(まふまふ)

あ〜っ、終わった〜!

一ノ瀬彼方(そらる)

お疲れ様

相川真冬(まふまふ)

お疲れ様ですっ!

相川真冬(まふまふ)

……あれ? そらるさん、なんかスッキリした顔してません?

一ノ瀬彼方(そらる)

そう?

一ノ瀬彼方(そらる)

何だろ……久しぶりのステージで吹っ切れたのかな

相川真冬(まふまふ)

きっとそうですよ、そらるさんめちゃくちゃ楽しそうだったし!

一ノ瀬彼方(そらる)

それはお前もなw

一ノ瀬彼方(そらる)

ともかく、これで部員が増えるといいな

相川真冬(まふまふ)

そうですね! 誰か来てくれるかなぁ……!

そんな俺らの杞憂は、 すぐに打ち消されることになる

歓迎会の次の日の放課後、いつもの ように練習をしていると、1年生の 男子3人が、部室へ押しかけてきた

軽井沢楽(かるいざわがく)

失礼します!!

軽井沢楽(かるいざわがく)

あの、ここ軽音部っすか!?

相川真冬(まふまふ)

えっ、う、うん。そうだけど……

春希詩音(はるきしおん)

ちょっと楽、まず名乗らないとでしょ

軽井沢楽(かるいざわがく)

あ、そうだった……

神楽湊音(かぐらみなと)

すみません、突然押しかけてしまって

一ノ瀬彼方(そらる)

大丈夫だよ。それより3人は……

軽井沢楽(かるいざわがく)

俺、1年の軽井沢楽っす! で……

神楽湊音(かぐらみなと)

ぼくは神楽湊音です

春希詩音(はるきしおん)

俺は春希詩音です

軽井沢楽(かるいざわがく)

俺達、昨日の先輩達の曲聴いて、感動して……!!

軽井沢楽(かるいざわがく)

あの曲、めっちゃ素敵でした!!

現在……

一ノ瀬彼方(そらる)

……って、3人が押しかけてきて……そこからはみんな知ってる通りだよ

軽井沢楽(かるいざわがく)

お〜!

神楽湊音(かぐらみなと)

一ノ瀬先輩から見た相川先輩、想像以上にしつこい誘い方してますね……

相川真冬(まふまふ)

あ、あれぇ……? そんなんだったかなぁ……?w

春希詩音(はるきしおん)

逆に一ノ瀬先輩に呆れられなかったってのがすごいですよw

相川真冬(まふまふ)

うっ……2人とも先輩に向かってそこまで言わなくても……。

相川真冬(まふまふ)

っていうかそらるさん、結局僕の誘いに乗った理由、語ってなくないですか?

一ノ瀬彼方(そらる)

……別に? お前がしつこく誘ってきたから、仕方なく乗ってやっただけ

相川真冬(まふまふ)

えっ、それだけ!?

一ノ瀬彼方(そらる)

いや、流石に嘘だけどw

軽井沢楽(かるいざわがく)

じゃあ結局、一ノ瀬先輩が相川先輩とバンド組んだ理由って、何だったんすか?

一ノ瀬彼方(そらる)

それは……。

一ノ瀬彼方(そらる)

…………。

一ノ瀬彼方(そらる)

…………いや、やっぱ秘密

まだあの過去を、誰にも…… まふまふにも話せていない

一ノ瀬彼方(そらる)

(……いつか話せるようになったら……その時は、教えてやってもいいかな)

一ノ瀬彼方(そらる)

ほら、俺らの昔話より、今は大事なことがあるだろ

秋の文化祭に向けて、もうすぐ来る 夏休みに計画していることがあるんだ

『青い涙と春の笑顔』

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