メインストーリー

俺が小さい時から言われ続けた言葉がある

『お前は病気のお兄ちゃんを支えるんだよ』

そう両親から言われ続けてた

兄の名前は確か『颯汰』だった

小さい時から病気がちだった

ﾊﾞｼｯ

そんなこと小学生に言ってどうなるんだ

物心ついた時からずっとこう

兄貴は少しできると溺れるくらいの褒め言葉をかけられる

俺は成功してとしても、褒め言葉なんか一滴もない

小学5年の時

隣にとある家族が引っ越してきた

暁さんの子供は三人姉弟らしい

未来くんの下にもうひとりいるらしかった

この子達は、人形みたいな雰囲気だなと思った

お姉ちゃんの方が公園までの道のりでずっと喋ってた

俺と同じ学校に通う予定だから色んなところ案内して欲しいってお願いされた

そりゃ不思議だよな、近所に挨拶に行ったはずの子供が知らんやつに連れられてるんだもん

幸せそうな家族だな

最初の印象はそんな感じだった

まぁ、俺には関係ないって思ってた

そこから未来の家族とはなんだかんだ関わりがあった

未来の家族はみんな仲がいいなってずっと思ってた

正直羨ましかった

だって俺の家族はロクでもないから

中3くらいの時のこと

ｶﾞﾁｬ ﾊﾞﾝ

こんな感じ

兄の病気は俺が中学に上がる頃には完治してた

でも、あいつは自分が甘やかされてるのに気づいていたから治ってないふりをしていた

俺の家なのに、俺の居場所はほとんどなかった

高校に上がってからは、2日に一回くらいしか家に帰らなくなった

帰らない日は親からの不在着信が10件超えたりしてた

家に帰っても

兄貴ばかり甘やかす両親

俺のものを平気で盗むし雑用扱いする兄

世間体を気にするから外ではいい顔してるけど、家の中に入ったらクズでしかない

俺は高校にいる時にも大した居場所はなかった

いや、喋りかけてくるやつはいた

猫なで声で喋りかけてくるやつと

少し憎悪がこもってるやつ

モテるから

それだけの理由で関わるの嫌だった

ｶﾞﾝｯ

ｶﾞﾝｶﾞﾝｯｶﾞﾝ

恐い

そう思った

普段ぶりっ子してる人が、人の事利用して、恐喝してるっていうのも

俺がそういう人に狙われてるのも恐怖だった

高3くらいになったら、ひとりでぼーっと過ごすことが多かった

人と関わることを避けてた

でも

この子達だけは平気だった

帰るってどこに？

俺の家だろうな

嫌だな、あいつらのところなんか行きたくない

居場所なんか無い

帰っても邪魔なだけ

というより……

とにかく嫌だ

そんな場所にいたくない

だから、俺に帰るべき場所なんか

正直未来の家が心地よかった

理由は分からないけど

恐くない

こいつだけはいやだったかもしれない

なんで顔みた時に毎回舌打ちされてたんだ

大学に入ったあたりに、未来の両親から話があった

ｶﾞﾁｬ

バシッ

なんで俺こんなヤツらのために頑張ってたんだろ

今の俺にとっては未来達の方が大事なのに

もう……

頑張んなくてもいいか…

全部全部、今日で終わりにしよ

もう、こいつらのためなんかに生きたくない

ﾊﾞﾀﾝ

自分が言うのは気が引けるけど

ずっと言いたかったこと

まぁ、そういう反応だよな

男同士だし

ましては、ほぼ家族みたいな間柄のやつだし

大事な人のためなら、人はどこまでも変われるから

今までの俺とかおさらばだ

じゃあな、過去の何も出来なかった弱い俺

終わり

NEXT→♡15or 次のリク