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僕は、あれから大人になった。

僕は今、莉犬の墓にお参りに来ている。

この場所に来るたび、僕はあの夏の日を思い出す。

僕は、今も今でも歌ってる。

君をずっと探している。

君に言いたいことがある。

墓参りも終わり、僕は立ち上がった。

るぅと

…くしゅんっ

莉犬の墓から少し離れたとき、くしゃみをした。

九月の終わり頃にくしゃみをして、六月の匂いを繰り返す。

…君が死んだのは、九月の初め頃だっけ。

そして、いじめが始まったのが六月。

…確か、六月がいじめが一番多い時で。

九月が、自殺者が一番多い時だっけ。

僕たちは随分と長い逃避行の旅をしていた。

2回も金を盗んだ。

でも、だんだん、旅に疲れてきた。

だから、死のうと決めたんだ。

でも、死ねなかった。

警察に、止められたんだ。

帰ってきてから、周りは変わった。

お母さんは昔のように優しくなった。

クラスの奴らと話すようになって、友達ができた。

でも、僕は、足りなかったんだ。

君の笑顔を、君の無邪気さを思い出すたび、

頭の中を、あの夏が飽和する。

誰も何も悪くないよ。

君は何も悪くはないから。

もういいよ。

投げ出してしまおう。

るぅと

…そう言って欲しかったのだろう?

るぅと

…なあ?

あの夏が飽和する。

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