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新海先生
三井が医局前の廊下を歩いていると、前方から黒いスクラブの男が全力で走ってきた。あまりに突然のことに、さすがの三井も数歩後ずさる。
その男は、三井の肩を掴みながら後ろに隠れ、肩で息をしている。おそらくこの場に橘がいたなら、この男は無事に帰ることはできないだろう。
三井先生
新海先生
緋山先生
新海と三井が声のする方を見れば、怒りで顔を引き攣らせた緋山がまたしてもこちらに全力で走ってくるところだった。
緋山先生
新海先生
三井を間に挟み、かなりの大声で言い合いをする二人。『……。』という文字が似つかわしすぎる状況にある三井は、その場で硬直する以外の術がなかった。
お互いに痛いところを突かれた二人は、顔で喧嘩を売りながら、黙りこんだ。
三井先生
漸く口を開いた三井から出た言葉は、それしかなかった。
三井先生
新海先生
緋山先生
新海先生
緋山先生
三井先生
医局の応接間で二人の話を聞き、仲裁をした三井は、目眩を覚えた。目の前にいるのは、脳外科のエース、対してフライトドクター兼産科医……のはずだ。高級とはいえプリン一個で夫側が逃げてくるまでの喧嘩を…?
と、そこに。
橘先生
まぁいずれ来るとは思っていた。救命の部長であり、三井の夫、橘啓輔
橘先生
目をシパシパさせながら、緋山と新海、三井の三人を順番に見ていく。