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紡
紡
それだけで紡の足取りは軽くなった。
紡
車をガレージに停めて寮の入口に手をかける。
イリヤ
紡
紡
紡の体が鍵を持ったまま止まる。 そしてゆっくり振り返る。
紡
壁にもたれ自然すぎる姿勢で立っている。 まるで、ここに住んでるみたいに。
紡
イリヤ
紡
イリヤ
紡
イリヤ
紡
イリヤ
紡
紡
紡は男を改めて見る。整った顔、でもどこか現実味が薄い。そんな印象だった。
紡
イリヤ
紡
紡
笑っていた男は少しだけ真面目な顔になった。
イリヤ
イリヤ
イリヤ
紡
男は紡の反応をじっと見る。 観察する目。
イリヤ
なぜか。 やけに核心を突いてくる予想外に質問に反応が遅れる。
紡
イリヤ
イリヤ
イリヤ
ゾクッ
紡
男は一瞬だけ、「あ」とでも言いたげな顔をする。
イリヤ
イリヤ
紡は完全に睨んでる。先ほどまであった眠気なんてもうなかった。
紡
イリヤ
イリヤ
紡
男は壁から離れゆっくり歩き出す。
コツコツコツ..
イリヤ
イリヤ
そして何事もなかったみたいに去った。 残された静寂。紡はしばらく動けない。
紡
鍵を握りしめる。冷たい金属の感触。現実に戻る。
ガチャ..
紡
部屋の奥から、足音。
カイ
カイは紡のまとう空気をゆっくり深く吸う。
カイ
紡
カイはもう一度吸う。
ドクン..ドクン..
カイ
カイ
カイ
紡
カイ
紡の首元に顔を寄せる。 呼吸を重ねるみたいに。
カイ
紡
カイ
紡
カイ
紡
カイ
紡
カイ
カイの手が伸び紡の腕を掴む。 強くはない。
紡
コン..
ベランダから聞こえる。 カーテンが揺れた。
イリヤ
紡
イリヤは部屋の中を見る。 カイの手が紡を掴んでいるのも。
イリヤ
カイ
イリヤ
イリヤ
紡
紡
イリヤ
カイ
イリヤ
紡
カイ
イリヤ
イリヤ
カイ
イリヤ
カイ
イリヤ
紡
紡
イリヤ
紡
イリヤは紡の不安とカイの嫉妬を残して消えた。
イリヤが消えてから、カイは紡の腕を掴んでいた手を静かに離した。それからの部屋は静かすぎた。
カイ
紡
紡
カイ
紡
カイ
紡
紡
カイ
紡力が抜けるみたいにソファに座る。
カイ
カイは少し迷っていつもより、少しだけ距離を空けて隣に座る。
紡
紡
カイ
紡
カイ
カイ
紡
紡
紡
カイ
紡
カイ
カイ
カイ
紡
カイ
カイ
カイ
紡
紡はそれを聞いて嬉しいはずなのに。胸が苦しかった。
それからどう風呂に入ってどう寝たのか覚えてなかった。紡はただ、あまり眠れなく隣で眠るふりをするカイを見ていた。
紡
紡は何かを考えノイズとしてカイに認識される前に、ベッドから出て洗面所の鏡の自分を見る。
紡
確かめるように鏡の自分に呟いたが、やはり特別なところなど何もなかった。
紡
寝不足の顔。クマ。乾いた目。
紡
カイ
紡
振り向くとカイが立ってる。
カイ
紡
カイ
紡
カイ
紡
カイの中で何かが引っかかる。 でも言葉にならなかった。
カイ
紡
カイ
紡
カイは理解できなくて黙る。 そこに違和感だけを感じた。
カイ
紡
カイ
紡
紡
その言葉はカイの中で何かが音を立ててズレた。
カイ
紡
カイ
紡はドアに手をかけ振り返らない。
紡
ガチャ..
光が差し込む。 外の世界。 普通の世界..
カイ
カイの初めて聞く感情の熱に紡は足が止まる。 しかし振り返らず答えた。
紡
カイ
カイ
紡
紡
ガチャン..
部屋に残る静寂。 カイは理解ができなくて立っていた。
カイ
カイ
カイ
勝手に足が動く。 迷いも理由もなくドアに手をかける。
ガチャっ
カイ
カイ
辺りを見回して視界の端に見つけた。
カイ
分かっていてもカイは紡への加速をやめなかった。
カイ
初めてはっきりと外で名前を呼んだ。
紡
紡
カイは人間みたいに息を切らす。
カイ
紡
紡
カイは分からない。 本当に分からない。
カイ
紡
世界が止まる。そして離れる。 カイは言葉の意味は分かる。しかし変わらず理解が追いつかない。
カイ
紡の目に水が溜まる。
紡
紡
カイの思考が完全に止まる。
カイ
帰れない。それは本来問題のはずだった。
カイ
紡が固まる。
カイ
紡の目から涙が落ちる。
紡
紡
紡
紡
カイは静かに全部聞いた。
紡
紡
紡
カイの中で何かがはっきりする。 それは理解や答えでもない。
カイ
カイは紡が逃げないように、ゆっくり一歩近付く。
カイ
手を伸ばすが触る直前で止める。
カイ
カイ
カイ
紡
紡
紡
カイ
紡
カイ
紡
カイ
紡
カイ
紡は涙は止まったのに、胸の奥に残った熱だけが消えない。何かが終わったようで、でも何も終わってないような、曖昧な感覚。
紡
カイ
帰り道は、やけに静かだった。街の音はいつも通りあるのに、2人の間だけ空気が薄いみたいに感じる。
紡
カイ
アパートの前に着いても、どちらもすぐにはドアを開けなかった。
紡
カイ
紡
カイは首を横に振った。
カイ
ガチャっ
その様子を、少し離れた電柱から見ている影があった。
イリヤ
イリヤ
イリヤは2人が寮に入る前、カイが自然に紡の背中に手を添えるのを見て、目を細めた。
イリヤ
イリヤ
イリヤ
イリヤは、自分の胸に触れた。
イリヤ
イリヤ
イリヤ
"羨ましいのかもしれない"と、ふと思った。
イリヤ
カーテン越しに、ぼんやり2人の影が揺れる。 イリヤはそれを少しだけ見つめて、ふっと視線を落とした。
イリヤ
空っぽのまま立っている自分に、ようやく違和感を覚えた。
イリヤ
イリヤの中に取り残されたのは、答えじゃなくて感情だけだった。
部屋に入ってからも、紡の胸のざわつきは消えなかった。靴を脱いで、鍵を置いて、いつも通りの動作をしてるのに、全部どこか遠い。
紡
カイは何も言わないまま、少しだけ距離を空けて後ろに立っていた。
🚰ばしゃばしゃ..
紡は洗面所で涙のあとを洗い流す。 しかし冷たい水を当てても、さっきの夜が剥がれない。
紡
イリヤの視線。あの言葉。あの空気。 拭いたタオル越しに、無意識に呟いた。
紡
その瞬間、後ろの空気が変わった。
カイ
カイの中で、何かが軋む。 さっきまで静かだった思考が、急にノイズを帯びて理解できない感覚。
カイ
カイ
自分でも、驚いた。音になった瞬間、空気が止まった。
紡
紡も固まった。そしてゆっくり振り返る。
紡
カイは黙ったまま、立っていた。言えた理由がわからない。言えた意味もわからない。ただ、胸の奥がざわついている。
紡
カイ
カイ
カイ
紡
カイは自分の胸に触れた。
カイ
カイ
そこで言葉が途切れる。知らない感情すぎて、名前が見つからない。
紡
カイ
紡
カイ
紡が少し震えたように呼んだ名前を聞いた瞬間、カイの目が揺れた。自分が何を言ったのかようやく実感したみたいに。
カイ
カイ
紡
紡
カイ
紡
紡
ゆっくり手を伸ばす。 触れるか迷って、そのままそっと抱きしめた。
紡
紡
カイ
紡
カイの手が、ゆっくりと迷うみたいに浮いて、空中で止まる。それからぎこちなく紡の背中に触れた。
カイ
紡
紡
カイ
カイ
紡
その言葉は、境界線を溶かすみたいだった。
カイ
紡
カイ
紡
紡
カイ
紡
カイ
紡
カイ
紡
カイは答えない。 でも腕が、ほんの少しだけ強くなる。それが答えだった。
紡
紡
カイは紡を離さないでそのままソファに横になる。
ぼふっ
紡
カイ
紡
カイ
紡
カイ
紡
紡
紡
紡
紡
カイ
紡
紡
紡
紡
カイ
紡
カイ
カイ
紡
カイ
紡
紡はカイの抱擁から一瞬離れる。
カイ
紡
カイ
紡
カイ
紡
カイ
紡
紡
カイ
カイ
紡
カイ
紡
ぐいっ、ぎゅっ
紡
離れた紡をまた抱き寄せる。
カイ
紡
紡
タカ
すっかり健康体になったタカと終業の挨拶をした仕事終わり、いくつかのドアを抜け駐車場へ出るドアを開ける。
イリヤ
紡
紡
紡
イリヤ
近付いてくる足音は軽いのに、距離が縮むと空気の密度が変わる。人間と同じ姿をしているのに、どこか温度が違う。
紡
イリヤ
イリヤが、視線は正面のまま横に並ぶ。
イリヤ
紡
紡
イリヤ
紡
紡
イリヤは紡が話を聞く状態になったのを確認するとふっと笑って話始める。
イリヤ
イリヤ
紡
紡の胸の奥が、ひどく静かになる。
紡
イリヤ
イリヤ
イリヤ
紡
紡はすぐに答えられなかった。
紡
それは果たして恋なのか。好奇心なのか。ただの引力なのか。紡は改めて考えると分かりきれない。
紡
紡
紡
仕事前のカイとの抱きしめ合ってした会話を思い出し、胸が温かくなるのを思い出す。
イリヤ
イリヤのその言葉には沢山の意味があった。
紡
イリヤ
どこかの惑星のような真っ赤で透き通った飴を口から取り出す。
紡
イリヤ
紡
イリヤ
紡
紡
イリヤは距離を詰めた。
イリヤ
イリヤ
紡
ほんの少しの沈黙。 それから、イリヤはとても穏やかな顔で言う。
イリヤ
イリヤ
イリヤ
紡
紡
先ほどまで横に並んでいた2人だったが今ではお互いが向き合っていた。
イリヤ
まるで最初から分かっている目。 紡の指先が、震える。
紡
紡は考えるより先に、腕が動いた。
パンッ!
紡
イリヤ
イリヤの頬がわずかに横に流れるが、痛がらなかった。 ゆっくりと、顔を戻しほんの少しだけ嬉しそうに目を細めた。
イリヤ
紡
紡
イリヤの指先が、叩かれた自分の頬をなぞる。
イリヤ
イリヤ
紡は、数十秒前の自分が何をしたのか理解出来ず何も言えなかった。
紡
イリヤ
イリヤ
空っぽな胸を手で祓いそれだけ言って、夜に溶けるみたいに姿が遠のく。 残ったのは、手のひらの感触。
紡
紡
ガチャ..
玄関のドアが開く音が号令かのようにカイが迎えに来る。
カイ
紡
カイ
紡
カイ
カイの手は紡の顔に触れようと近付いたが、きゅっと空気を握って戻った。
紡
カイ
紡
カイ
紡
カイ
紡の頬に触れたついでに疲労度合いを確かめる。
紡
カイ
ただ触れられただけなのに、その体温が先ほどのイリヤの言葉や全てを引きずり出す。
紡
カイ
カイは頬を開放して少しだけ不安そうに覗き込む。 何も知らない目。疑ってもいない目。
紡
カイ
紡
カイ
カイは嬉しそうに紡の手を引いた。 それはまるで最愛の人と過ごせる喜びを知ってる人間のようだった。
紡
カイ
紡
紡
カイ
紡
タオルドライしただけの髪の毛、大きめのTシャツ、ピッチリとしたボクサーパンツ。ビール片手に寝室からのベランダに立って夜風に当たる紡は大きく空気を吸った。
紡
カイ
紡
カイ
カイはブランケットで紡が風邪を引かないように後ろから包み込む。
紡
カイ
紡
カイ
紡
カイ
紡
紡の持っていたビールと包んだブランケットがカイの手に残る。
カイ
カイ
カイはビールをベッドの近くのローテーブルに置いてブランケットをたたみソファにかける。
カイ
カイ
カイ
カイ
どれくらい思考を巡らせていたか分からないがソファで紡の帰りを待つ。
紡
ぼふっ
紡
カイ
カイ
紡
カイ
カイ
紡
ギシ..
カイ
紡
ちゅ..
紡
紡
紡の日々にちょっと不思議な彩りとカイの人間生活が始まった。