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バチンッ!!!

シャオロン

え…

ショッピ

に、兄ちゃん…!!

破裂音が玄関に響き渡る

ジンジンと痛み始める頬は、徐々に熱を出し帯びていった

熱い、痛い

だけどそんな痛みより、重要なことがある

彼女の母親が俺の頬を引っぱたいたのだ

陽菜乃母

あなた…頭おかしいんじゃないの?

陽菜乃母

娘が幽霊になってるって?

陽菜乃母

冗談も程々にしてよ!!

陽菜乃母

こんなの、死者への冒涜だわ!

頭おかしい、か

俺だって頭おかしいなって思ってたよ

これは長い長い夢なんだろうなって思ってたよ

…でも信じたいやんか

彼女がいるって事実はちゃんとあるんだから

シャオロン

俺の、話を聞いてください

陽菜乃母

いいえ結構よ

陽菜乃母

今回来たのは、私たちの息子にこれ以上変なことを吹き込まないでと伝えに来ただけよ

陽菜乃母

お願いだから…わたしたち家族を傷つけるのはやめてちょうだい

シャオロン

本当に、いるんです

ショッピ

兄ちゃ…

シャオロン

いるんです、前川は…ちゃんと

陽菜乃母

あなたまだ懲りてないの?

陽菜乃母

陽菜乃はもういないの!

シャオロン

いるんです!!

ショッピ

陽菜乃母

…!

俺の声に驚いた彼女の母親は、1歩、2歩と下がった

それと同時に…

彼女の気配がして、俺は後ろを向いた

陽菜乃

…ママ

シャオロン

前川…

ショッピ

ショッピ

姉ちゃん…?

シャオロン

あぁ、いるよ

陽菜乃母

…もうやめて

陽菜乃母

私の娘がいるなんて冗談、もうやめて

陽菜乃母

からかっているの?

シャオロン

からかってなんていません

シャオロン

俺は真実しか言ってません

陽菜乃

ママ、あたし、ここだよ

彼女は俺の横に立って、涙声でそう言った

陽菜乃

ホントだよ…ホントなんだよ、ママ

陽菜乃母

呆れた…、本当に頭がおかしい子だったのね

陽菜乃母

もう私たち家族に関わらないで!

ショッピ

あ、兄ちゃん…!

彼女の母親は涙を浮かべながら、弟くんの手を引っ張って家を出ていこうとした

ショッピ

兄ちゃんを信じてるよ!

ショッピ

姉ちゃんはちゃんといるって、俺は信じてるから!

別れ際に弟くんはそう言ってくれた

だけど玄関の扉は虚しく閉まる

しーんと静まり返る玄関に、俺は座り込んだ

陽菜乃

ごめん、うちのママが…

シャオロン

いやええよ

シャオロン

どの親も、死んだ娘が幽霊としているなんて知ったら

シャオロン

嬉しいより怖いの方が強いやろ…

陽菜乃

ほっぺ、痛くない?

シャオロン

いてぇよ

陽菜乃

ごめん…

シャオロン

陽菜乃

ごめんね…

シャオロン

それは、なにに対してのごめん?

陽菜乃

……

シャオロン

前川の母さんが俺をぶったからごめん?

シャオロン

それとも

シャオロン

…俺の告白に対するごめん?

陽菜乃

……っ

彼女は何も答えてくれなかった

そんなの分かりきっていたのに

……

このままじゃ、ダメだろ

俺も、彼女も

シャオロン

分かった

シャオロン

俺は俺がしたいようにするから

シャオロン

前川も前川で母さんを説得させるために考えてや

陽菜乃

……

陽菜乃

あたしのこと、見放さないの?

シャオロン

は?

陽菜乃

あたしの未練に無理やり付き合わされてるんだし、さ

陽菜乃

無理って思ったら、その……

シャオロン

俺が見放すわけないやろ

陽菜乃

シャオロン

死んでも前川は前川だろ?

シャオロン

俺の好きな女なのは変わりないんや

陽菜乃

…そういうとこ、なんでバカ正直に言えんのかな〜

彼女は困ったように笑ってくれた

次の日から、俺は毎日彼女の家に行った

ピーンポーン……

陽菜乃母

…はい

いつものようにインターフォン越しに応答してくれた

シャオロン

あの、シャオロンです!

シャオロン

娘さんのお話を…

陽菜乃母

私たち家族に関わらないでと伝えたはずよ

そう言うと、彼女の母親はインターフォンの応答を切った

こんな状況が続いて1週間が経つ

奇跡的に彼女はあれから、姿が消えるような現象は起こっていない

ただ彼女は……

俺が彼女の家に行くたびに姿を消して、どこかに行っていた

シャオロン

はぁ…今日もダメ、か

シャオロン

しゃーねぇ、そろそろ行くか…

夕暮れのカラスが鳴く時間

自分の影を見つめながら、俺はいつも行く公園に向かった

…あ

シャオロンさん!

シャオロン

お、やっぱ来てたんか

杏奈

えっへへ、当たり前ですよ〜

この子は妹の茜の友達だ

父親と衝突したときに、この公園に行ったらこの子が泣いていたのがきっかけで

それからここで会うようになった子だ

杏奈

……

杏奈

なにか、ありました?

シャオロン

へ?

杏奈

またお父さんとケンカしてしたんですか?

杏奈

うーんそれにしては…怒りというより悲しさ、とか…?

この子は勘が良い

笑顔の裏をよく知っている

シャオロン

はは、大丈夫やって

杏奈

そう言ってまた笑って!

杏奈

いいですか〜?

杏奈

よく笑う人は、嫌なことや悲しいことがあっても決して表に出そうとしない人ですよ!

杏奈

あとは嘘をつくとか!

シャオロン

嘘をつく?

杏奈

そうです

杏奈

真実とは真逆のことを笑って誤魔化しながら言うのも、よく笑う人の特徴ですよぉ

シャオロン

真実とは、真逆……

杏奈

なので、嫌なら嫌とはっきり言うべきです

杏奈

…私が言うなって感じですけど、ね

シャオロン

そうか…

シャオロン

ありがとな

ひとしきり今日の出来事を聞いたあと…

元気に手を振りながら帰って行った

2人目の妹って感じで、癒しをもらった

陽菜乃

ありゃ完全にシャオロンのこと好きな顔だわ

シャオロン

!!!

シャオロン

びっっ……くりした…!!

シャオロン

前川…急に現れんなって!

陽菜乃

ひどいな〜シャオロンってば

陽菜乃

まさか年下の子を垂らしこむなんて…

シャオロン

た、垂らし込むぅ?!

陽菜乃

あの子絶ッ対シャオロンのこと好きだよ

シャオロン

「好き」という言葉に一瞬、ドキッとしたが

俺はすぐに我に返った

シャオロン

んなわけねぇだろ

陽菜乃

え〜?逆に気づかないの才能だわ

シャオロン

それより今までどこ行ってたんやあほ

陽菜乃

あほとは失礼な!

陽菜乃

修行をしてたんだよ

シャオロン

修行〜??

陽菜乃

うんうん!

陽菜乃

とりあえず家近くの海に来て!

彼女は急に上機嫌になり、俺の数歩先を早足で歩き始めた

チラチラッと後ろの方を見ながら

俺が遅く歩いていると、「は〜や〜く!」と急かす彼女がまぶしく見えた

彼女は海辺につくやいなや、しゃがみ込み何かをしていた

シャオロン

シャオロン

何してるん?

陽菜乃

みーないで!

そう言う彼女を時々横目で見ながら、波の音を聞いていた

陽菜乃

…できた!

2、3分が経って、ようやく目を移すと……

シャオロン

と、ヨレヨレの字が書かれていた

陽菜乃

どーよ!

シャオロン

……これ、ほんとに前川が?

陽菜乃

そうだよ〜

陽菜乃

ずーっと修行してたんだー

陽菜乃

最初に気づいたのは葬式の日、ショッピと話したあとなんだけどね

陽菜乃

なんか「ふんっ」ってしたら葉っぱがかすかに動いたの!

陽菜乃

そうしたらもう簡単

陽菜乃

木の棒で文字を書くのを練習してたの

陽菜乃

これで……!

陽菜乃

……

陽菜乃

シャオロン?

シャオロン

……っ

陽菜乃

泣いて、るの?

シャオロン

……っあれ

シャオロン

え、あ、

シャオロン

えぇ、俺泣いてたん?

シャオロン

やばあ、まじか

俺はなぜか涙を流していた

きっと潮風に当てられたんだ

それか風と一緒にゴミが目の中に入ったんだ

シャオロン

マジ…かぁ

だけど

泣かずにはいられなかった

夕暮れの日の光が彼女の体をはっきりと映して

波が光を反射して

彼女を照らしている

生前よりずっとずっと綺麗だ

本当に綺麗だったんだ……

そんな姿を見ていたら、涙を流していた

陽菜乃

どうした…?大丈夫?

シャオロン

…おう

シャオロン

ただ目に砂が入ったんだわ

これなら、彼女は自分の言葉で想いを伝えられるかもしれない

俺はそう信じながら

前川家に電話をかけた

{wrwrd}天国に愛をささぐ

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コメント

3

ユーザー

前川ちゃん大進化したね。 もはや大神化だよw

ユーザー

シャオちゃん...頑張れ

ユーザー
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