これは、私とあの人の恋の、そして、星の降る夜の話
私は、突然に思った
雪
死のう。
きっかけは、色々ある。
1週間に一度しか帰らない母
私をいじめるいじめっ子
こんなことで死ぬのか?
そう思う人も多いだろう。私が、死にたい本当の理由は、つまらない人生だ。
決まったことをして過ごす毎日
生きてても意味が無い。
私は心の中でずっとそう思っていたはずだ。
それが今日、いじめっ子の
「死ね」
という言葉でハッとした…
星
死のう。
理由は、無い。
僕の家は金持ちで、チヤホヤされる毎日。
周りはいいなと言うが、僕はつまらないと思った。生きていても意味が無い。
僕は、
私は、
立ち入り禁止の札をまたいで山に入った。四山。
雪景色の綺麗な山。
冬に入ると、生きては出られないという山。
なんでも、メイド様が迎えに来るそうな…
雪
!
星
!
星
な、何やってる。
星
ここは立ち入り禁止だぞ。
雪
あなたこそ。
星
【頂上の方を見る】
星
君も、死にに来たのか?
雪
君「も」?
雪
フッ
雪
そう、あなた「も」死にに来たの。
星
僕たち、目的は一緒みたいだね。
雪
そうね。
雪
どうせ、道も一緒だし、二人で行きましょ。
星
まあ、いいよ。
雪
【歩き出す。】
星
【追いかける】
雪
そう言えば、あなた名前は?
星
星って書いて、せいって読むんだ。
星
君は?
雪
雪って書いて、せつ
星
こんなこと聞いちゃいけないかもだけど、
星
なんで死にたいの?
雪
人生がつまんないからよ
雪
いつもいつも、同じことばかりしてる日常に嫌気がさしたの。
星
理由まで僕と一緒か
雪
貧乏な家に生まれたせいで毎日同じことをして暮らしてるのが嫌。
星
ふーん
星
家柄は違うか。
星
僕は、貴族の家柄だ
雪
じゃあ、なんで死のうと思ったの?
星
さっき言った通りだよ。
星
つまんないんだ
雪
親にいえば?
星
親はいない。
雪
え
星
あ、亡くなったんじゃないよ。海外にいる。
雪
そこも似てるね。
雪
私のとこは毎日仕事。
星
僕達、何だか、
雪
兄弟みたいだね
星
アハハ
雪
アハハ
星
…あ!
星
これ、食べられる草だよ!
雪
?
雪
なんでそんなこと知ってんのよ。
星
毎日暇すぎて、裏の山に爺やと行っては色んな野草を見つけたもんだよ!
雪
ふーん。
雪
美味しい?
星
うん!!
雪
でも、私達死ぬために来たのに美味しいやそう探してるっておかしいね。
星
でも、メイド様が迎えに来るのは山の頂上だよ。
雪
!!…知らなかった
星
それに、ちょっとでも幸せな気持ちで死んでみたいな。
雪
それなら食べてみようかな?
星
うん!!そうしよ。
雪
(*´﹃`*)ジュルリ
星
これは、根っこのが美味しいんだけど、水がないな。
雪
どうして水がいるの?
星
さすがに土を洗わないとまずいだろ?
雪
あ、それなら少し登ったとこに川があるはずだよ
星
!
星
なんで知ってるの?
雪
ふふん
雪
聞いて驚かないでよ!
雪
地図を持ってる!
星
…
雪
…いや、そこは驚いてよ
星
わー
星
すごーぃ
星
驚いたー
星
(棒読み)
雪
なんかムカつく
星
プッ
雪
エヘ
星
あははははっ
雪
あははははっ
私達は、
この山ではいつもの毎日より
笑って過ごしていたかもしれない。
星
ほら、手につかまって。
雪
ありがとう
雪
ついに、
星
ついに!!
星
着いたー!
雪
ヤッター!
雪
ついに死ねるのね
星
メイド様が綺麗に殺してくれるといいけど。
雪
そうに決まってんでしょ?
雪
だって、ここまで頑張ったんだから。
星
そうだね。
雪
【ふと空を見る】
雪
わああー❣
星
ん?
星
わああ!!
星
すっごい星空!
雪
きれーい❣
雪
星(セイ)の空だね!
星
アハ!
星
そうだね!
星
あ、…
雪
雪だ❣
星
雪(セツ)の空だね!
雪
うん…
雪
2人の空だ!
星
…?
雪
どうした?
星
あの星、すごい光ってる
雪
ほんとだ…
雪
なんか、大きくなってない?
星
ほんとだ
雪
なんだろ…
雪
なんかわかんないけど、怖い
星
うん…
星
!! あれは…
雪
隕石だ…
その時は、ただただ美しいと思った。
怖くてか、この星に魅入られてか、足が動かなかった。
雪
…ねえ!
星
ん?
星
やっと死ねるね
雪
うん…
雪
でもね、何だか今は死にたいってそこまで思わないの。
雪
何故かわかんないけど。
星
僕もだ…
星の答えを聞いて、私の気持ちは大きく、強いものになった。
雪
…お願い!
雪
私と逃げて!!
雪
2人で生きるの!
雪
同じことををしてもずっと、ずっと飽きない
雪
そんな素敵な人生を送りたいの!
星
うん!!
星
あのさ…
星
こんな時に言うかもしれないけど、
雪
早く!
雪
もう星がすぐそこよ!
星
逃げよ!
雪
もう無理だ…
雪
メイド様からは逃げられない…
星
逃げられる!
星
2人なら!
星
【雪の肩を抱き走り出す。】
雪
きゃ!
星
【雪をお姫様抱っこする】
星
結婚しよ
星
【前を向いて、汗を垂らしながら言う】
雪
うん…!!
雪
【口を抑えて、涙目になる】
↑
上も見てください。
メイド様は星だった。
星と雪の降る夜、私達は死んだ。
死んだら、願いが叶わなくなる。
私達は、会えない。
そこにいるのは分かってる。
分かってるのに、会いたいのに、
会えない。
お願い!!
みんな、死なないで!
死のうとしないで!
私たちのような犠牲は、もう、
…出したくないの…