『 今日も来てくれてありがとな‼ 』
夏風 ののか
「 尊い、、、。 毎日の癒しだわぁ、、、。 」 私はこの男性VTuberを10年以上前のデビュー当初から推し続けている古参である。 彼の配信を見て毎日の疲れを癒すのが揺るがない私の日常。 といっても外に出ていないからそんなに疲れていないが。 勿論、彼のあだ名企画で考えてもらった【のの】という名前のアカウントで のの→[ 毎日配信ありがとうございます! ] というコメントも欠かすことはない。
『 ののさん今日も配信来てくれたんだな ありがとう。 』
夏風 ののか
「 え、今推しが私に感謝してた!? え、今なら死んでもいいぐらい幸せなんだが!!! 」 古参ということも相まってファンサを貰ったことは何回かあるが、 慣れることはない。 あまりスーパーチャットを送ってあげられないという負い目もある分、 ファンサ、それに加えて感謝されることは凄く嬉しいことなのだ。 「 ぁ、また新しいグッズ出るんだ、、、。 」 スーパーチャットの件もそうだが、私は働いていないからお金を貢いであげることはできない。 だから新しいグッズなどのお知らせは辛く感じてしまうので避けたいものだが推しが喜んでいる反面、あまり遠ざけることはしない。 別にグッズの量=愛というわけではないのだ。
りんご→[ ランダムグッズ全種類制覇します! ]
夏風 ののか
コメントしているりんごさんも私と同時期から彼を推している古参。 関わったことはないが、こうやってよくコメント欄で見かけるので名前は覚えていた。 この人はいわゆる強オタである。 新しいグッズが出るたび、全種類を集めているのだ。 どうせ今回も散財するつもりなのだろう。 「 この人あんまり好きじゃないんだよなぁ 」 話したこともない人を嫌うのはよくないと自覚はしているが、 お金を使えない側からすると違うと分かっていてもマウントだと感じてしまうのだ。 「 もう少しお小遣いをくれれば買えるのになぁ。 」 心の中で悪態をつく。 これでも働いていない分お小遣いを多めにもらえているため口には出さないが、欲は少なからず出てしまうのだ。
夏風 ののか
コンコン
夏風 ののか
母
夏風 ののか
母
「 うわ、またこのパターンだ、、。 」 お母さんは定期的にこうして話をしにくる。 かれこれ十数年毎回同じ内容でやんなっちゃう。
母
夏風 ののか
母
夏風 ののか
無理やり部屋から追い出し、鍵をかける。 私が何をしたっていうのだ。別に大きな迷惑をかけているわけではない。 、、まぁ金銭的な面を除いてだけど。 「 就職かぁ。 」 別に仕事が嫌なわけではない。 ただ単にコミュニケーションをとるのが苦手なのだ。 一度だけ就職したことがあるが、会社内で馴染めず結局は居づらくて辞めてしまい、その後はこうして何年も実家住まいだ。 家にいるほうが自分に合っているのである。 なのに親は就職就職、、、。かれこれ10年以上言われ続けている。
夏風 ののか
以前は言ってこなかったのに。 やっぱり 【 私が46歳なのがだめなのかな。】
〈 解説 〉 ののかは推しである男性VTuberを応援するのが趣味で、毎日配信に顔を出すほど熱心な古参オタク。 そんな彼女には、 「お小遣いが少ないから推しに貢げない。」 という悩みもあるようで。 これだけ見ると、ありきたりな学生の悩みにも思えますが、話を読み進めていくにつれて大人であり、実家住まいということが明らかになっていきます。 実は彼女は46歳。 立派な大人ながらニートの実家住まいである。 世間から見ると相当マズイものの、彼女自身にとっては ある程度幸せな状態だ。
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