誰もが一度は経験する片思い
片思いの末に実る恋があれば
散ってしまう恋もある
私も何度か経験した片思い
そんな片思いがスレ違い
時にはこんな事件に発展することもある
私がまだ二十歳の頃
地球一周の船旅を経験したくさんの仲間と出会った
約三ヶ月の船旅を終えて日本に戻ってからも
船で出会った仲間達とは連絡を取り合い
時にはキャンプや旅行に出掛けることもあった
三歳年上の長谷川純一(ハセジュン)は
率先してキャンプ場や宿の手配などをしてくれていたが
帰国から約三年後に温泉旅行を計画した時
突然、幹事を放棄する宣言をした
ハセジュン
アラ子
ハセジュン
ハセジュン
アラ子
アラ子
ハセジュン
突然の放棄宣言に驚き
焦りつつもなんとかホテルを探し
見つけたホテルに二泊することになった
私が見つけたホテルはちょっと高めではあったものの
プールなどの設備が充実していて
決め手となったのはウォータースライダーだった
アラ子
ハセジュン
ハセジュン
なんともいい加減なハセジュンの態度に困惑しつつも
なんとか全ての手配を終えメンバーに連絡
今回参加するメンバーは
一番年上のアッキー
アッキーの次に年上のハラさん
優しいお姉さんの奈保子ちゃん
そして幹事を放棄したハセジュンと
急遽、幹事になった私の五人
その五人のうちの二人
ハラさんと奈保子ちゃんは二日目からの参加となった
旅行初日
途中の駅でハセジュンとアッキーと合流し
ハセジュンの車でホテルへと向かった
ホテルの部屋は和洋室タイプで
一つの部屋に仕切りがあり
ツインのベッドルームと和室が分かれているタイプだった
必然的に女子二人でベッドを使うことになり
その日は三人でビリヤードをしたり
久々の再会と言うこともあって思出話にも花が咲いた
夕食後
三人で大浴場へ向かうことになり
アラ子
アラ子
アッキー
そんな話をした後
準備をして大浴場へ
その時はまだ一人だったため
アラ子
そんなことを考えていた
お風呂から上がり部屋に戻ると
アッキーはどこかに行っていて
ハセジュンと私の二人だけに
ハセジュン
アラ子
ハセジュン
アラ子
アラ子
突然の告白に驚き動揺したが
私は直ぐにその告白を断った
船旅から帰国した後
私は密かにハセジュンのことを思っていた時期があった
なんとか二人で会う機会を伺っていたが
ハセジュンから相手にされることはなく
告白をすることもなく終わっていた
それから二年半以上が経過した今
ハセジュンに対する気持ちはもうなくなっていた
今の私にとって
ハセジュンは船旅を共にした仲間で
それ以上の気持ちはもうない
アラ子
アラ子
ハセジュン
アラ子
ハセジュン
その後アッキーが戻ってきて
すっかり別の話題へと切り替わり
眠気が限界に達するまで語り明かした
夜が明け迎えた二日目の朝
私は妙な違和感で目を覚ました
アラ子
ハセジュン
目の前にはハセジュンの姿が!
しかもハセジュンの右手が私の寝巻きのズボンの中に……
アラ子
ハセジュン
ハセジュン
アラ子
少し離れた和室ではまだアッキーが眠っている
私は焦りながらも
アラ子
アラ子
そう言ってなんとか応戦し
数分後
ハセジュン
ハセジュンはベッドから出ていった
あまりの衝撃に心臓がばくばくして
その後アッキーが起きて三人で朝食を食べに行ったが
ハセジュンのしたことが頭から離れず
脳内は少しパニック状態に陥ってた
朝食を終えてしばらくすると
二日目から参加の奈保子ちゃんが到着
アラ子
奈保子ちゃん
アラ子
奈保子ちゃんとの再会にテンションが上がり
そこから更に数時間後にはハラさんも合流し
全員でプールに行ってウォータースライダーで遊びまくり
凄く楽しい一時を過ごし
全員で夕食を食べて部屋に戻った
ハラさん
ハセジュン
ハラさん
ハラさん
アッキー
アラ子
ハラさんの提案で温泉街に行くことになり
全員でハセジュンの車に乗ることになったのだが
この時、ハセジュンは何故か少し機嫌が悪く
部屋を出てからずっと気だるそうにしていた
ハセジュンが運転席に座ると
続けて助手席にハラさん
後部座席にアッキーと奈保子ちゃん
そして私が乗ることになり
後部座席の左にアッキーが座り
続けて私が座り
最後に奈保子ちゃんが乗ろうとした瞬間
突然ハセジュンが車を発進させた
ほんの少し車が動いた直後
奈保子ちゃん
奈保子ちゃんの叫ぶ声が聞こえた
後ろのドアは開いたままで奈保子ちゃんが乗り遅れている
アラ子
アラ子
直ぐにブレーキを踏んで止まった車に奈保子ちゃんが乗り
何事もなかったかのように再び車が発進
温泉街へと向かった
アラ子
アラ子
温泉街には有名な湯畑があり
生まれて初めて見る湯畑に感動しつつ
無料で入れる共同浴場へ
あまりのお湯の熱さに私は入ることができず
洗い場で足にだけお湯をかけたりして
アラ子
アラ子
奈保子ちゃん
その後も五人で夜の温泉街を少し観光
アラ子
ハセジュンの姿を見失いキョロキョロしていると
奈保子ちゃん
奈保子ちゃん
アラ子
アッキー
奈保子ちゃん
アラ子
アラ子
アッキー
ホテルから車に乗る際
ハセジュンはまだ奈保子ちゃんが乗っていない状態で車を発進させた
その時
車の後輪があろうことか奈保子ちゃんの足の上を通過していたのだ
あの時、奈保子ちゃんが叫んだのは
足を轢かれて物凄く痛かったから
アッキー
奈保子ちゃん
ここで私も昨夜と今朝起きたことを打ち明ける
昨日の夜に告白されたこと
そして今朝……
アラ子
アッキー
奈保子ちゃん
アラ子
一気にハセジュンへの不信感が募る
しばらくして
ハセジュンとハラさんが戻ってきた
ハラさん
アラ子
奈保子ちゃん
ハセジュンは気だるそうにあくびをしながら歩いてくる
そのままホテルに戻ることになり
あまり会話もなく駐車場で車に乗り込んだ
その後
改めてお風呂に入ることになり
奈保子ちゃんと共に大浴場へ
アラ子
アラ子
奈保子ちゃん
奈保子ちゃん
アラ子
奈保子ちゃん
アラ子
アラ子
お風呂から上がり部屋に戻り
お酒を飲みつつ談笑し
しばらくした後に就寝
今朝のことがあったためなかなか寝付けなかったが
なんとか眠りについて朝を迎えた
三日目の朝
ハセジュンが潜り込むこともなく無事に目覚め
みんなで朝食を食べる
その時、ハセジュンの携帯が鳴り
ハセジュン
アッキー
部屋に戻って記念撮影をして
ハラさん
ホテルの玄関でハセジュンを見送り
本格的に帰り支度を開始
チェックアウトを済ませ
今度は奈保子ちゃんの車で再び温泉街へ
少し観光した後
ハラさんも用事があって帰宅することになり
最寄りの駅でハラさんを見送って
残った三人でお昼を食べた
奈保子ちゃん
奈保子ちゃん
奈保子ちゃん
アラ子
アラ子
アッキー
旅行を終えしばらくして奈保子ちゃんに連絡をしたが
轢かれた足は特に痛みもなく
普通に歩いたり走ったりできていると聞いてホッとした
その後
日帰りの集まりを企画した際にはハセジュンには声をかけず
あの旅行から五年ほど経って企画した旅行ではハセジュンにも声をかけたが
旅行を数日後に控えたある日
そのハセジュンから連絡が入り
ハセジュン
アラ子
ハセジュン
アラ子
ハセジュン
アラ子
ハセジュン
なんとハセジュンは二回目の授かり婚をすることになり
旅行は不参加と言うことになった
ハセジュン
アラ子
アラ子
そんな気持ちを抱きつつ
企画した旅行を無事に終えた
あの旅行からもう10年以上が経過したが
ハセジュンは数年に一度、連絡してきては
ハセジュン
アラ子
ハセジュン
ハセジュン
アラ子
面倒なのであまり相手にはしていない
告白を断られて不機嫌になったのかもしれないが
事故を起こすのだけはやめてほしい
そう思った出来事だった
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