そらる
まふまふ
そらる
まふまふ
そらる
まふまふ
そらる
いつまでも焦らすそらるさん
まふまふ
まふまふ
フワッとそらるさんを抱き締めようとした
でも
そらる
まふまふ
そらるさんが僕を拒んだ
まふまふ
まふまふ
そらる
いつもは、眠そうな顔で見つめてくるくせに。
いつになく、真剣な目をしてるじゃないですか…
まふまふ
自分が想像している言葉と、違う言葉がそらるさんの口からこぼれるのを願う
そらる
そらる
泣きそうな瞳で、僕を見た
まふまふ
まふまふ
まふまふ
目の前が真っ暗になった気がした
貴方がいない生活なんて…
考えられない。
そらる
そらる
…違う。
僕は、あなたの懺悔の声が聞きたい訳じゃない。
まふまふ
嫌い、なんていくらでも言っていいから。
几帳面で、ドアが1センチ開いてて文句言うところも
味付けにうるさくて、塩が薄いとか砂糖が甘すぎるとか言うところも
全部許すから
まふまふ
まふまふ
そらる
そらる
……だから
まふまふ
怒鳴るように僕が言うと、ハッとあなたは顔をあげた
藍色の綺麗な瞳が、僕を拒んでいた
まふまふ
そらる
震えた声で、あなたは言った
まふまふ
返事をする僕の声も、震えていた
そらる
そう言って、あなたは目をそらした
そらる
まふまふ
まふまふ
あなたは嘘をつく時、目を反らすから。
嘘をついてまで、別れなきゃならない理由がある…
そらる
そらる
降参したように、そらるさんが言った
出会ってどれだけ一緒にいたと思ってるんですか。
まふまふ
そらる
まふまふ
早口で僕は言った
あなたの為なら、傷ついたって、心が折れたって、
…死んだっていい。
そらる
そらる
まふまふ
あまりにもあっけらかんと言うそらるさんに絶句した
そらる
肺癌、ステージ4。 癌が転移した。 首、骨、手。
まふまふ
そらる
まふまふ
まふまふ
咄嗟に出た言葉
そらる
そらる
まふまふ
まふまふ
そらる
必死にあなたは言った
だけど。
まふまふ
叫んだ。そらるさんの、心に届くように。
そらる
そらる
まふまふ
まふまふ
いつか、そらるさんが言った言葉を放つ。
そらる
ふにゃっとそらるさんが笑った
そらる
悲しそうにそらるさんは下をむいた。
まふまふ
まふまふ
まふまふ
まふまふ
僕は、ふわりと笑った
すると、つられたようにそらるさんも笑った
それから僕たちは、色々な事をした
『死ぬまでにしたいことリスト』
・二人で映画 ・二人で遊園地 ・二人で海外旅行 ・二人でバーベキュー ・二人で交換日記 ・二人で海 ・二人でお化け屋敷....
やりたいことの半分が終わった頃、そらるさんが倒れた
まふまふ
まふまふ
そらるさんの返事はない。
もう丸一日意識がない
まふまふ
そらるさんの手を取った
…暖かい。大丈夫、生きてる
そらる
そらる
まふまふ
そらる
まふまふ
そう言って僕は、病室を出た
そらる
ピコーン,ピコーン,ピコーン,ピコーン
まふまふ
無機質な機械音が鳴り響く
呼ばずとも、医師達が病室に来た
医師
看護師
医師
看護師
そうしてまもなく
そらるさんは
息を引き取った
一週間後
葬儀もお通夜も終わり、周りでは平穏な日常が流れようとしている
まふまふ
僕はまだ、受け入れきれていなかった
まふまふ
毎日、遺影の前で泣き続ける日々
ピンポーン
玄関のチャイムが鳴った
天月
申し訳なさそうに、天月くんが立っていた
まふまふ
まふまふ
僕は、家に入るように仕向けた
天月
友人のはずなのに、なんとなくよそよそしい。
僕は、涙で濡れた袖をそっと隠した
天月
まふまふ
天月
まふまふ
天月
まふまふ
天月
まふまふ
天月
まふまふ
天月
僕の袖を見て言った。
まふまふ
天月
また目頭が熱くなる。
鼻がツンとする。
視界が滲む。
まふまふ
泣いた。子供みたいに。ダムが決壊したように。
天月
そう言って、僕の手を握った。 あの時の、そらるさんの手みたいに暖かかった
いっぱい泣いた後、遺品を整理しようと天月くんが言った
天月
なんて彼が言うから少し、笑ってしまった
天月
天月くんの手には、両手ぐらいの大きさの箱がひとつ
まふまふ
天月
そっと箱が手のひらにのった
まふまふ
パカッと箱を開けると、綺麗な藍色のネックレスが一つ
それと、小さな紙
天月
僕は、小さな紙を見た
まふへ
これを読んでいる、ということは、俺は死んでるのかな。 余命3ヶ月と宣告されてから憂鬱な日々を過ごすと思ったら人生で一番、ってくらい楽しかったよ。
ネックレス、気に入ってくれた? それ、21グラムなんだよ。
21グラムって、魂の重さなんだって。
だからさ、それを俺だと思って…生きて。 俺の魂と共に、生きて。 そしたら、まふも泣かないでしょ?
今日から俺のことで泣くのは禁止。 これが、俺との最後の約束。
いつかこっちに来たら、こんなに笑って、幸せになったよ、って、自慢してよ。 これが、俺の最後のお願い。
まふの周りには、沢山頼れる人がいるから。絶対まふは立ち直れる。
じゃあ、バイバイ……は寂しいから、……またね。
そらる
僕は、藍色のネックレスをつけた。
天月
僕の胸で、藍色が光る。 ちょうど心臓の辺りで。
……そらるさん。
ネックレス、ありがとうございます。 大切にしますね。あなたの魂だから。
僕、あなたをずっと…
まふまふ
夕焼け染まる空の下、そらるさんに聞こえるように呟いた
コメント
17件
泣いてもいいですか?(もう泣いていますが)
ありがとうございます!
感動しました!