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剛田先生がこの列車を降りてからどれくらい時が経ったのだろう
ここは真っ暗な夜の中
彷徨う人を乗せる列車が走る
車掌さん
ずっと夜だと時間の流れが分からなくなりますね
少女
暇だな〜
車掌さん
外でも見てはどうですか
少女
真っ暗だよ
車掌さん
仕方ありません
車掌さん
ここは夜ですから
少女
なんでお昼にならないのよ
少女
明るい方が好きーー
車掌さん
彷徨う人は何かしら事情があります
車掌さん
それも死に関するものです
車掌さん
明るかったら雰囲気が台無しでしょう？
少女
でも明るい方がいい
車掌さん
列車の中は明るいですよ
少女
列車じゃだめーーー
少女
お客さん来ないかな〜
少女は窓の外を見ながら言う
少女
お客さんの記憶私も見たい〜
車掌さん
お客様の記憶を見せるわけにはいきません
車掌さん
一応個人情報ですから
少女
ここに個人情報とかあるんだ
車掌さん
それとお客様がここに来ないことは良いことなのですよ
少女
でも暇だよー
少女
面白い話して〜
車掌さん
何もありませんよ
少女
して〜
車掌さん
…分かりました
車掌さん
では少し昔の話をしましょうか
車掌さん
私が生きていた頃の話を
車掌は少し嫌がりながらも話し始めた
車掌さん
私は普通の人間でした
少女
フツウ？
車掌さん
はい
車掌さん
小中高大と順々に学校に行き
車掌さん
その後は会社員としてそれなりに真面目に働いていました
車掌さん
妻と子もいました
車掌さん
懐かしいですね
少女
ここにいるってことは死んだんだ
車掌さん
はい、
車掌さん
事故死でした
少女
…
少女
車掌さんもみんなと同じで未練があるの？
車掌さん
そういう感じですね
車掌さん
どうですか
車掌さん
面白かったですか
車掌は嫌になり無理やり話をやめた
少女
全然
車掌さん
だから話すのが嫌だったんですよ
少女
大丈夫暇つぶしにはなったから
車掌さん
結構ひどいことを言いますね
ガタッ！
少女
！
車掌さん
駅につきましたね
少女
久しぶりだったからびっくりした〜
車掌さん
私もです
少女
どんな人が来るかな〜
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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