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{wrwrd}ばいばい恋心

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{wrwrd}ばいばい恋心

11 - ばいばい恋心 10話

♥

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2023年07月28日

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杏奈とはゲーム友達だった

だからイルミネーションを見に行ったあの日の深夜

まだ杏奈がオンラインだったから

通話して相談したんや

杏奈

「え、茜のお父さんが!?」

チーノ

…うん

チーノ

あいつこっそり抜け出したって言うてたけど

チーノ

本当はバレてたんやないかって、思って…

杏奈

「あぁ…まじかぁ」

杏奈

「茜のお父さん、怖いもんね」

杏奈

「ごめんね、私が駅前のイルミネーション行ってみなよって言ったから…」

チーノ

そうなんや

チーノ

でもめっちゃ綺麗やったよ

チーノ

あんがと

杏奈

「えへっ」

チーノ

なぁ杏奈

チーノ

俺どうしたらいいんや?

チーノ

もう俺…茜のこと傷つけたくねぇよ

杏奈

「うーん…」

杏奈

「距離置くってのはどう?」

チーノ

……は

チーノ

いや、無理

チーノ

茜と距離置くとか考えられん

杏奈

「でもさ、茜のこと傷つけたくないんでしょ」

杏奈

「もうすぐうちら受験生じゃん…?」

杏奈

「距離置いて、時間が経つのを待とうよ」

チーノ

…距離置くってどんな感じで?

杏奈

「例えば…茜の時間を作ってあげるとか」

チーノ

茜の時間?

杏奈

「そう!」

杏奈

「だってお前ら、行きも帰りも一緒にいるでしょ」

杏奈

「だから茜を1人にさせる時間も必要だよ」

チーノ

茜を、1人に…

杏奈

「どう?」

チーノ

……でも、俺

チーノ

俺が耐えられんかも

チーノ

だって俺、もう茜おらんとホンマに無理

チーノ

受験が終わるまでなんやろ、距離置くの

チーノ

俺そんな……1年も耐えられんて

杏奈

「じゃあその1年の間、私が茜の代わりになる」

チーノ

はあ?

チーノ

抜かしたこと言うな

チーノ

茜の代わりなんていないし

杏奈

「いるよ」

杏奈

「私がいるじゃん」

杏奈

「……なーんつって!」

チーノ

お前な…!

杏奈

「うわ、怒った!」

杏奈と通話が終わってからも

俺はずっと考えた

どうしたら茜との時間も作って、茜ひとりの時間も作れるか

茜を傷つけない方法はないのか

だけど

どんなに考えても

距離を置くことしか解決法は見つからなかった

俺はいつも茜の家まで迎えに行ってたが

今日は行かなかった

…いや、もうずっと行かないかも

おはよ〜

チーノ、おはよっ

可愛い声が教室に響く

そして、学校に着くやいなや、すぐに俺の近くに来た

チーノ

…はよ

ねぇ、朝どーして来なかったの!

そう言った茜は、ほっぺをぷくっとさせた

…可愛いな

チーノ

いや、ちょっと…朝、腹が痛くて

えっホント!?

大丈夫?

チーノ

お、おぉ

チーノ

それより、茜…昨日はホンマにごめん

なんでチーノが謝るの?

誘ったのは私だし、全然大丈夫っ

杏奈

おっはよー!

杏奈、おはよ

杏奈

おや、おふたりは朝からラブラブですねぇ

と、言った杏奈は俺にチラチラ目線を送った

杏奈

(おい、距離置くって言ったのはどこの誰やこら)

チーノ

(置いたよ!朝、茜の家行かんかったて!)

杏奈

(それが距離置くって?学校で接するならいつもと変わらんやんけ!)

チーノ

(学校の時間ならいいやろ!)

杏奈

(ダメ!茜を思うなら勉強に集中させてあげて)

なになに?2人して目、パチパチさせてるけど

杏奈

なぁんでもない!

杏奈

そうだ茜!昨日の宿題終わらせてないから見せて〜

なんやあいつはぁ!

あいつの方が茜を1人にさせてやれよ!

まぁ…でも

杏奈

『茜を思うなら……』

茜を、思うなら…か

そして時間は流れ…放課後

チーノ、一緒に帰ろっ?

チーノ

あ……わ、わりぃ

チーノ

俺、先生のとこに用事あるから先帰ってて

えぇ?じゃあ待ってるよ

あ、ま、まずい

どうしたら……

杏奈

あっかね〜!うちとかーえろっ

おおお、ナイス杏奈ぁ!

えっ?でも杏奈、今日は部活あるでしょ?

杏奈

あぁ剣道部のマネージャー?

杏奈

どうせ何もする事ないから、茜を送ったあとまた学校帰るよ

そんな手間かけなくて大丈夫!

私はチーノ待ってるから

チーノ

っぐ…

チーノ

(おい杏奈どうにかしろ!)

杏奈

(…じゃあ奥の手を使うか)

杏奈

じ、実はさ茜

ん?

杏奈

チーノね、剣道部に入るんだ!

チーノ

へ!?

え!?

チーノ

(おいバカヤロー!なに言ってんだてめぇ)

杏奈

(どうにかしろって言ったのはそっちじゃーーん!)

そ、そうだったの?

チーノ

え?!あ、あぁ…お、う〜ん…うん

チーノ

そう!そうなんよ

そっかぁ…それじゃあ一緒に帰れなくなるね

チーノ

うぐっ

チーノ

(いてぇ、茜に嘘つくなんて…心がいてぇよ)

杏奈

(茜のためだと思ってなんとか耐えろ!)

応援するねっ!

じゃあ私、一人で帰るよ

チーノ

お、おぉ…気ぃつけてな

うん!またね、杏奈、チーノ!

チーノ

おい

杏奈

なに

チーノ

俺これ、ホントに剣道部に入る流れ?

杏奈

…そうですね

そして、本当に剣道部に入った

だけど意外にも楽しくて面白かった

朝練も入ってきて、いよいよ茜との接点は学校の中だけになって

話す機会も、どんどんなくなっていった

そして、中学3年生になった

茜とは別のクラスになって

杏奈と同じクラスになった

話すことも少なくなったし遊びに行くこともなくなった

杏奈を通して、茜の様子を聞くような状態が何日も続いた

茜は毎日塾に行かされて、土日も朝から晩まで塾通いだそうだ

こんな状態じゃ、いよいよ茜と疎遠になっちまう

チーノ、こんなところでどうしたの?

そんな事を考えていると、茜が屋上から出てきた

チーノ

…あ、いや…ただ疲れてただけ

そっか

部活が大変なの?

チーノ

…まぁな

チーノ

茜は?

…うん

私は大丈夫

そう言った茜の目にはクマが出来ていて

無理してるんだって一瞬で分かった

だけど、俺の前だけは無理してほしくなかった

チーノ

大丈夫じゃ、ねぇくせに…?

えっ…?

ポロッと出てしまった本音

チーノ

茜の口グセはいつも「大丈夫」だよな

チーノ

どこが大丈夫なんや

チーノ…?

どうしたの?

チーノ

…わり

チーノ

聞かなかったことにしてくれや

えっ、チーノ?

俺はそんなに頼りないんか

俺ら高校別々になるかもしれんのに

大丈夫じゃないって一言言ってくれれば

俺はもう距離置くなんてしなくて

ずっと茜のそばにいるのに

その日、部活が終わって家に帰っても

ずっと茜の顔が頭から離れなくて外で息抜きしていた

チーノ

…はあ

杏奈

あれ、チーノ?

チーノ

なんだ…杏奈か

杏奈

なんだって何よ

杏奈

どうしたんよ、そんな顔してさ

チーノ

…茜に会いたい

杏奈

はぁ、こりゃ重症だわ

杏奈

家まで送ってよ、話聞いてあげる

チーノ

…うん

チーノ

その荷物なに?

杏奈

あぁ、これ買い出し行っててさ〜こっちは受験生なのにひどいでしょ

チーノ

俺持つよ

杏奈

へっ?

チーノ

あ?なにその反応

杏奈

べ、別に…

そして、俺と杏奈が二人でいるのをクラスの誰かが見てたらしく

『チーノと杏奈が夜、2人で手を繋いで出かけてた』

という噂が、1日で広がった

そしてその噂は、茜の耳にも伝わった

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コメント

2

ユーザー

そういうことだったんだ

ユーザー

え、そんな過去があったんですか!?チーノさんはまぁ、悪くないとして… これって、誰も悪くないのかなぁ… 自分的にはやっぱり、仕組まれているというか、杏奈がまぁ、仕組んだというか、杏奈を、疑ってしまいますね…() その、いきなり距離をおこう!作戦?を決行するのはまぁ、怪しいというか、はい、 あくまで自分的にはです! 今回も面白かったです!! 次回、楽しみに待ってます!

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