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恋のかたち

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恋のかたち

13 - P.11「親友のかたち」

♥

24

2021年08月02日

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~選択~

11月23日

___________________

感じたことのない感覚の名を

俺は知っていた。

恋であると……

___________________

吉田椿樹

和雪

吉田椿樹

俺はね

吉田椿樹

お前のことが

鈴木和雪

……

吉田椿樹

す……

花巻彩

委員長!!

吉田椿樹

スキューバダイビング!!!!

鈴木和雪

吉田椿樹

え!!?

ええええええ!?

なんていいタイミング!

花巻彩

どうしよう!

花巻彩

はぁ……はぁ……

びっくりして!

意味わかんないこと叫んだよ!?

今言えそうだった……

花巻彩

ごめんなさ、あの……

花巻彩

休憩になったばかり……

花巻彩

なの、に……

ま、待て冷静になったら

人がいるとこで告白する?

……セーフ

助かった花巻さん。

吉田椿樹

だだだ大丈夫だヨ

吉田椿樹

花巻さんオチツイテ?

鈴木和雪

お前が落ち着け

鈴木和雪

2人ともしんこきゅー

めっちゃ恥ずかしいじゃん。

聞かれたかな……

完全にそうゆう空気にしちゃった。

花巻彩

あのね……!

花巻彩

衣装が……!

吉田椿樹

え?

花巻彩

破かれてたの

衣装ってあの衣装?

花巻彩

大道具以外は全部っ……

花巻彩

教室に置いといたじゃない?

花巻彩

鍵は閉めて返したつもりだったけど

花巻彩

忘れ物取りに戻った子が……

花巻彩

大変なことになったって……

嘘だろ……?

花凜に手伝ってもらって

作った衣装が……?

花凜になんて謝ろう……

花巻彩

ごめんなさい、わたし

花巻彩

鍵閉めたつもりで

花巻彩

閉まってなかったかも

花巻彩

ごめんなさい……!

いや、花巻さんは悪くない

俺のせい……?

花巻彩

衣装の他も酷くて……!

花巻彩

そっちはもうとりかかってるんだけど

花巻彩

衣装は委員長がやってくれたから

花巻彩

どうしていいかわからなくて……

花巻彩

委員長ばかりに押しつけてごめん

花巻彩

人手も足りないし

花巻彩

どうしよう、委員長……

吉田椿樹

っ……!

何かした、俺……

どうしよう……?

どうする?せっかく……

せっかく勇気出して

夢に1歩近づいたと思ったのに

鈴木和雪

椿樹

また遠ざかってく……

初めて俺がデザインした服を

誰かに着てもらえて

人目に触れると思ったのに。

鈴木和雪

椿樹……

鈴木和雪

椿樹!!

吉田椿樹

はっ……!

鈴木和雪

落ち着け、大丈夫だ

吉田椿樹

かず……

かずはいつも冷静。

いいな……

俺はすぐ感情的になっちゃうから。

鈴木和雪

お前のせいじゃない

鈴木和雪

誰のせいでもない

そうだ、落ち着け。

自分を責めて何になる?

落ち着け。

鈴木和雪

絶望するにはまだ早いだろ?

吉田椿樹

絶望……

鈴木和雪

まだ時間はある

鈴木和雪

どうにかする方法ならいくらでもあるはずだ

鈴木和雪

お前ならそれを見つけられる

ああ、好き。

好きなんだ、俺。

大事な夢なんだ。

鈴木和雪

デザインした服見てもらいたいんだろ?

鈴木和雪

嬉しそうに俺に言ったじゃねえか

鈴木和雪

"夢目指して見ようかな"って

鈴木和雪

その"1歩目"だって

鈴木和雪

諦めるのか?

諦めたくないよ。

何もかも。

でも、間に合うかな……

ほぼ花凜に手伝ってもらったのに……

鈴木和雪

下向くな!

鈴木和雪

こっち見ろ!!

吉田椿樹

え、なっ……!?

鈴木和雪

約束したはずだ!

鈴木和雪

忘れたのか!?

吉田椿樹

な、にを……

鈴木和雪

"俺は椿樹の味方だ"

鈴木和雪

"何があっても必ず助ける"

鈴木和雪

"だから少しは頼れ"

吉田椿樹

……

鈴木和雪

いつ相談すんだよ!

鈴木和雪

いつ頼るんだよ俺を!!

そうだ、そんなこと言った

そう言ってくれた……

いつもふざけてばっかなくせに

俺の気持ちを汲み取って

優しく、強く声をかけてくれたのは

誰だっけ?

鈴木和雪

どうしたい?

鈴木和雪

どうする?

鈴木和雪

話なら後で聞くから

鈴木和雪

今!

鈴木和雪

選択しねぇと後悔するのは

鈴木和雪

椿樹自身だぞ!

俺の好きな人だった。

大丈夫じゃん。

不安なんてないじゃん……

なのに俺はいつも逃げた。

適当な言い訳作って避け続けた。

でももう逃げない。

好き、大好きだ。

だから

吉田椿樹

助けて……かず

親友のままでいさせて。

"親友"としてお前を頼らせて。

鈴木和雪

ああ、任せろ

恋か夢か……

それとも家族?友情?

吉田椿樹

花巻さん!

花巻彩

は、はい!

吉田椿樹

ミシンのある教室の使用許可を

花巻彩

うん!

俺はどうしたい?

何を選択する?

吉田椿樹

かずはいし君がどっかにいるから

吉田椿樹

連絡とって買い物に行ってきて

鈴木和雪

よしきた

吉田椿樹

買うものは連絡する

鈴木和雪

了解

花巻彩

あの、お金は

吉田椿樹

お金なら俺が全部負担する

花巻彩

え、それは

吉田椿樹

責任は全部俺がとるから

吉田椿樹

今日の公演には間に合わない

吉田椿樹

明日の公演には間に合わせたい

吉田椿樹

いや、間に合わせる

俺の手は全く動かないわけじゃない。

やっと気づいた。

俺を助けてくれる

救ってくれる友達がいる。

花巻彩

委員長……

吉田椿樹

かってに取り乱してごめん

花巻彩

……

吉田椿樹

頼むよ、副委員長

花巻彩

私使用許可もらったら

花巻彩

公演後に回してもらえるように

花巻彩

頼んでくる!

吉田椿樹

ありがとう

なら、ずっと前から

答えはひとつじゃないか。

鈴木和雪

連絡とれた

鈴木和雪

車回してくれるってから

鈴木和雪

行ってくる

吉田椿樹

おう!

鈴木和雪

椿樹も早くいけよ

鈴木和雪

平井のところ

吉田椿樹

うん……!

鈴木和雪

じゃあ後で

俺が選ぶのは

恋も夢も

全部正直に生きること。

吉田椿樹

後で好きだって伝えにいく

吉田椿樹

その前にまずは

吉田椿樹

夢と向き合ってくるな

もう迷わない。

全部、全部ちゃんと大切にする。

過去にばっかり縛られない。

時間がかかったけど

きっと遅すぎることはない。

過去の俺

ようやく覚悟は決まったよ。

___________________

本当に救いたかったのは

花凜じゃなくて

花凜に重ねた自分だったな。

~希望~

11月23日

___________________

答えって何だろう。

あたしがあなたの夢を追う理由……

恋人のふりしなくても

一緒にいる理由を探した。

___________________

正直、文化祭をなめてたわ。

今日まで怒涛の日々だった。

クラスメイト

かりんちゃん〜

クラスメイト

交代しよー

平井花凜

え?まだ時間じゃ

クラスメイト

いいのいいの!

クラスメイト

1番頑張ってくれたんだから

クラスメイト

これくらい

クラスメイト

ね、委員長?

平井花凜

……ありがとう

クラスメイト

お疲れさま〜

椿樹のことについては考えたけど

返事する暇なく文化祭迎えることに

しょうがないので

終えたらすぐって話になったけど

文化祭終わっても絶対忙しい……

吉田椿樹

花凜!!!!

平井花凜

え、椿樹……?

鈴木と回るって聞いてたのに

どうしたのかしら。

平井花凜

どうしたの椿樹

吉田椿樹

文化祭が終わったらって話……

吉田椿樹

今、ここで答えを出してくれないか?

平井花凜

今、ここで?

何かあったのかしら……

別れた噂のあるあたし達が話してるって

異様な光景よね……

そもそも椿樹がいるだけでかなり目立つ。

平井花凜

とりあえず落ち着いて?

平井花凜

ここには人も多くいるし

吉田椿樹

時間がないんだ

吉田椿樹

お願い……!

平井花凜

わかった

平井花凜

元々文化祭前って話だったしね

平井花凜

まず話を聞くわ

かなり注目されてるけど

時間がないなら仕方ないか。

何があったかわからないけど。

吉田椿樹

考えてほしいって話してから

吉田椿樹

俺も考えてたんだ

吉田椿樹

考えた

平井花凜

ええ

吉田椿樹

考えて……

吉田椿樹

やっぱり

吉田椿樹

好きなんだ

まさかの告白……

これはあたしに対してじゃない。

鈴木……?

いや、それとも……

吉田椿樹

諦めたくないんだ

吉田椿樹

どれだけ傷ついても

吉田椿樹

傷つけても

夢について……?

椿樹は恐らく混乱してる。

でも、声量が増していく度に

人の目を奪ってく。

吉田椿樹

傷つけても

吉田椿樹

自分の気持ちに正直でいたくなった

吉田椿樹

だから選択した

吉田椿樹

花凜はそれを受け入れた

あなたの瞳に引き込まれる。

吉田椿樹

俺から言ったのに

吉田椿樹

自分勝手でほんとにごめん

平井花凜

ううん

吉田椿樹

もう一度言う

吉田椿樹

俺の夢を手助けしてくれないか?

まとまってない言葉……

それでも伝わる熱意、思い……

あたしは何て答えようか。

平井花凜

あたしも考えたのよね

平井花凜

何を選ぶか……

平井花凜

あたしの人生だもの

吉田椿樹

うん

吉田椿樹

花凜の人生くれないか?

意味わかって言ってるのかしら?

……そうだった

椿樹は天然だった。

平井花凜

あなたを助ける理由って

平井花凜

何かしら?

椿樹に出会ってわかったことがある。

ほしかったのよ……

居場所が。

平井花凜

メリットは?

平井花凜

あたしの人生において

平井花凜

大切なのかって……

吉田椿樹

メリット……

この"初恋"が終わったら

あたし、どこに向かえばいい?

あたしの居場所はどこ?

って不安に襲われたの。

平井花凜

そんなものなくていい

平井花凜

椿樹と夢を追いかけることに

平井花凜

深い理由なんてなくていいわ

でも椿樹が手を引いてくれた。

大丈夫って傍にいてくれた。

平井花凜

椿樹と一緒にいると楽しいの

平井花凜

それから

平井花凜

椿樹と一緒にいる自分を

平井花凜

初めて好きになれたの……!

この恋が全てじゃない。

終わりを告げても

失うものなんて何もない。

あたしの居場所は

あたしがいたいと思うところが

そうなんだって

平井花凜

もう"恋人"はおさらばよ

平井花凜

だからさ……

平井花凜

改めて"友達"になってくれない?

吉田椿樹

……うん!

全部椿樹が教えてくれた。

そんな椿樹と

あなたと一緒に

夢を追いかけたい。

それが今のあたしの希望……

夢になってたみたい。

平井花凜

これからは

平井花凜

夢のパートナーとして

平井花凜

よろしくお願いします

吉田椿樹

じゃあ……

もう視線とかもうどうでもよくなった。

だって、綺麗な瞳で真っ直ぐ走って

あたしの元へ来たあなたは

あまりに美しくて……

平井花凜

早く行きましょ

平井花凜

時間ないんでしょ?

平井花凜

よくわかんないけど

吉田椿樹

花凜にしか頼めないんだ!

平井花凜

任せて

平井花凜

友達の為なら……

王子様かと錯覚してしまった。

憧れの王子様もお姫様もこないけど

椿樹は必ず来てくれる。

失恋して沢山傷ついた

王子様とプリンセスが結ばれないけど

一緒に夢を追いかけるっていう

ハッピーエンド

そんな話があってもいいわよね?

なんて妄想したことは絶対言わないけど

平井花凜

椿樹の為なら

平井花凜

人生だって

平井花凜

何だってあげるわよ

あなたが特別な存在になったことは

恥ずかしいけど

また今度ちゃんと伝えるわね。

~俺とお前の気持ち~

11月24日

___________________

願わくば

お前の未来が

輝いてますように。

___________________

平井花凜

よし……!

吉田椿樹

終わったあああ!

鈴木和雪

公演まで時間あるから休めよ

鈴木和雪

お前らくま酷いぞ

平井花凜

あたしはともかく

平井花凜

椿樹はね

平井花凜

公演も出るし

良かった良かった。

これで公演は中止にしなくてすむ……

けど、アホだこいつは

これで舞台立つ気かよ……

出番は少ないつってたけど。

吉田椿樹

わかってるよ!

吉田椿樹

みんなほんとありがとう!

吉田椿樹

相川さんも……

純恋が手伝うとは

最初のほう突っかかってたから

悪いことしたと思ってんのかな。

相川純恋

人数多い方がいいと思って

相川純恋

お役に立てたならよかった

吉田椿樹

俺、1人だったら無理だった

吉田椿樹

ほんとにありがとう……!

相川純恋

もういいから

平井花凜

言っておくけど

平井花凜

椿樹だから周りに人が集まるのよ

吉田椿樹

俺だから……?

その通りだな。

椿樹の頼みだから俺は動いた。

滅多に人を頼らないお前が……

椿樹が俺に

助けてって言ったから。

平井花凜

ほら、確認しに行くわよ

鈴木和雪

行ってらー

相川純恋

はぁ……

相川純恋

疲れたねー

鈴木和雪

俺が言うのもあれだけど

鈴木和雪

ありがとう

相川純恋

別に

相川純恋

吉田くんには悪いことしたからね

相川純恋

何も気にしてないみたいだけど

やっぱり気にしてたのか。

純恋は口ではあーだこーだ言っても

優しいの、マジで可愛いな。

相川純恋

ねえ

鈴木和雪

ん?

相川純恋

ずっと気になってたこと

相川純恋

聞いてもいい?

鈴木和雪

おー

相川純恋

なんで吉田くんと仲良くなったの?

くると思った、その質問。

相川純恋

どうしてそんなに

相川純恋

吉田くんの肩持つの?

鈴木和雪

何、嫉妬?

鈴木和雪

嬉し

鈴木和雪

ま、親友だしー?

相川純恋

知ってる

相川純恋

吉田くんがいい人ってことも

相川純恋

お人好しすぎて心配になるのもわかる

相川純恋

でもさ……

相川純恋

それってきっかけがなきゃ

別に秘密にする理由なんてない。

椿樹に止められてねぇし

俺が話すのが嫌とか

そうゆうんでもない。

鈴木和雪

ま、そうなんだよな……

鈴木和雪

まじであいつは危なかっしい

相川純恋

ヒロインほっとけない当て馬の幼なじみか

鈴木和雪

過去1じゃね今のツッコミ

相川純恋

……

鈴木和雪

んー

鈴木和雪

何が言いたいんすかー

相川純恋

和雪

相川純恋

気づいてるんでしょ?

その一言に一瞬

時が止まったのかと錯覚した。

相川純恋

やっぱり

相川純恋

気づいてたんだね

鈴木和雪

なにが?

相川純恋

吉田くんの気持ち

ああ……もう

何で純恋は勘がいいんだよ。

相川純恋

認めなよ

鈴木和雪

はぁ……

鈴木和雪

……いつから?

相川純恋

わりと最初のほうから?

相川純恋

第三者からするとわかりやすい

相川純恋

和雪が鈍感なんだよ

鈴木和雪

ええ……

俺が気づいたの最近なのに……

いや、確信がなかっただけで

本当は前から気になってた。

鈴木和雪

友達がいねぇもんで

相川純恋

比較対象がいなくてもわかりやすいと思うけどね

相川純恋

和雪が鈍感だけだって

相川純恋

だからこそ

相川純恋

なんで?

純恋は純粋に気になってんのか

好意に気がついたのに

めちゃくちゃ気にかけてる俺を……

……俺が変なのか?

鈴木和雪

……だから

相川純恋

え?

鈴木和雪

それでも

鈴木和雪

大事な椿樹は親友だから

お前の気持ちを踏みにじってるかも

お前には苦しい思いさせてるかも

いつも隣で幸せそうに笑う椿樹見て

そんなことばかり考えてた。

それでも

俺の気持ちは変わんねえ。

鈴木和雪

椿樹は俺と違って

鈴木和雪

コミュ力高いのに友達少なかったり……

環境のせいか……

それかトラウマか……

鈴木和雪

ゲームも漫画も全然知らねぇし

鈴木和雪

他にも色々知らなかったし

鈴木和雪

俺が教えるまでほんと何も……

鈴木和雪

で、教えたこと嬉しそうに話したりするようんなった

相川純恋

ゲームとか?

鈴木和雪

そうそう

可哀想とか同情とか

そうゆうんじゃないけど

ほっとけないし

幸せになってほしいと思った。

鈴木和雪

すぐ顔に出て

鈴木和雪

素直で嘘がつけない

鈴木和雪

お人好しなやつ

相川純恋

ほんとね……

鈴木和雪

会ったばっかの

鈴木和雪

友達になったばっかの俺のために

鈴木和雪

一生懸命になれちまうやつ

俺が尊敬する……

椿樹の好きなとこはそうゆうとこだ。

きもいかもしれんけど

鈴木和雪

"好き"、なんだけどな……

相川純恋

……

鈴木和雪

そーゆー優しいやつなんだよ

鈴木和雪

別に

鈴木和雪

肩もつくらいいいだろ〜

相川純恋

じゃあ、迷うな

そう、だよなぁ

今までたくさん傷つけたよな……

もう目をそらすのは……

相川純恋

和雪

相川純恋

あんたの悪い癖だよ

鈴木和雪

なにが?

相川純恋

はぐらかしたり

相川純恋

ふざけたりして……

相川純恋

自分の気持ちに蓋するの

鈴木和雪

えっ

相川純恋

バレーの時も

相川純恋

今回のことも

悪い癖……?

相川純恋

堂々としてな

相川純恋

あんた、間違ってないよ

相川純恋

気持ちを伝えられる日まで

相川純恋

ドンと構えてればいい

相川純恋

大丈夫

相川純恋

和雪は偉い

相川純恋

今までよく逃げなかったね

相川純恋

親友を大切にできたね

ずるいわ……

こんなこと言って抱きしめられちゃう

俺の彼女ずるいわ……

鈴木和雪

たぶん……

鈴木和雪

この文化祭が終わったら

鈴木和雪

告白されるんだと思う

どんな顔して会えばいい?とか

なんて答えれはいい?とか

頭ん中ぐるぐるする。

相川純恋

"振る側"も辛いってこと

相川純恋

私も知ってる

鈴木和雪

おう

相川純恋

最後までちゃんと向き合ってね

鈴木和雪

……おう

大丈夫

俺は俺のまま

ありのままでいよう。

ありのままの俺で

ちゃんと向き合おう。

相川純恋

ちゃんと向き合わなかったら

相川純恋

別れよっか

鈴木和雪

ええええー!?

相川純恋

そんなに大事なら

相川純恋

吉田くんと付き合えばいいんじゃない?

ここでのツンは苦しいです純恋さん

えっもしかして

鈴木和雪

デレは文化祭終わるまで

鈴木和雪

お預け……?

相川純恋

あはは!

相川純恋

ばかじゃないの!

鈴木和雪

俺が好きなのは純恋ですぅ

相川純恋

知ってるよ

相川純恋

でもそれくらいの気持ちで

相川純恋

向き合ってもらわないと

相川純恋

私堂々と彼女名乗れないでしょ

鈴木和雪

……任せろ

頼む、どうか

どうか……

これからも親友でいてくれ。

~理由のない信頼~

~出会ったばかりのある日~

___________________

幼いながら知ってしまった人の残酷さに

心を開き切れなくなった俺の前に現れた

純粋で真っ直ぐなお前が

俺の人生においてかけがえのない存在に

なった日は……あの日だっけ?

___________________

吉田椿樹

なぁそろそろ休憩しよー?

吉田椿樹

休憩も大事だぞー?

鈴木和雪

もう結構やったか……

吉田椿樹

うん!

吉田椿樹

区切りもいいし

鈴木和雪

よーし休憩

病院で出会った隣のやつ

目覚ましてからずっと慌ただしくて

気になってたがどうやら訳ありらしい。

勇気を出して話してくれたけど…

それは全てじゃないだろう。

俺はそれ以上は何も聞かなかった。

鈴木和雪

このペースで俺大丈夫か

吉田椿樹

まだ始めて2日だぞ!

吉田椿樹

結果は後からついてくるんだから

鈴木和雪

バレーと一緒か

吉田椿樹

そうゆうこと!

気にならないと言ったら嘘になるが

別にわざわざ問いただす理由もない。

それにしても……

自分から関わりを持とうとするなんて

自分で驚いたわ。

どうせ離れてくなら

って思ってたんだけどな……

俺どうかしてるのか……

鈴木和雪

わざわざありがとな

吉田椿樹

いいっていいって

吉田椿樹

次は古典かなー

色々話してたら

お礼とか言って勉強教えてくれることになった。

しかも中々教え方が上手いんだ、これが

正直めちゃくちゃ助かってる

けど、信頼なんてする気なかった。

鈴木和雪

うげ……

吉田椿樹

古典の文法を徹底的に潰しとかないと

鈴木和雪

潰すって

吉田椿樹

社会理科は範囲広いし

吉田椿樹

やっぱりやるべきは国数英だな

いや、正確には信頼できなかった。

チームメイト①

よぉー鈴木きたぜー

チームメイト②

お、誰こいつ

うわ勉強よりめんどくさいやつらきた

椿樹かたまってるし

来んなつったろ……

鈴木和雪

見舞い来なくていいつったのに

チームメイト①

はー?せっかくきてやったのに

見舞い品のひとつもないくせによく言うわ

チームメイト②

で、こいつは?

鈴木和雪

隣のやつ、離してやれ

吉田椿樹

え、あ……と

鈴木和雪

わりぃなこいつら同じ部活の……

吉田椿樹

吉田椿樹です!

いや自己紹介しなくていいわ

お前みたいなやつにこいつら紹介なんて…

チームメイト②

てか、勉強してんの?

チームメイト①

うける!あのバレーばかが?

チームメイト①

やっぱりあそこ受けんの?

チームメイト②

噂はほんとだったんだね〜

こんなクソみたいなやつらと

関わらなくていいから

吉田椿樹

ちょっと!

吉田椿樹

ノート返して!

吉田椿樹

せっかくかず頑張ってたのに

チームメイト①

おー身長でかいほうだけど

チームメイト②

俺らからするとチビなんだよ

鈴木和雪

椿樹をからかうな

鈴木和雪

それから、俺の将来だ

鈴木和雪

どこ受験しようが勝手だろ

声震えてんの自分で気づいてるか?

無理すんな、お前も病人だろ

チームメイト②

先生にも諦められてるのに

チームメイト②

頑張ったって意味ないぞー?

鈴木和雪

だから勝手だろ

吉田椿樹

そうだ!

鈴木和雪

特に用なんてないだろ?

鈴木和雪

帰れよ

鈴木和雪

ここで騒ぐと迷惑だから

チームメイト②

てか、吉田くんだっけ?

チームメイト②

君、鈴木のなんなの?

吉田椿樹

え?俺は……友達

だから答えなくていいから。

吉田椿樹

かずに勉強教えてる

チームメイト①

え、学年ワースト20に入るばかだよ?

チームメイト①

もしかして知らなかった?

チームメイト②

かわいそう〜

鈴木和雪

帰れって

妬みとか

黒い感情をぶつけられるのには慣れたけど

吉田椿樹

……

チームメイト①

あ、そうそう俺推薦もらえたんだ

チームメイト①

鈴木が行こうとしてた……

吉田椿樹

ばかなのはお前らだろ

吉田椿樹

こんなことで遊んでていいの?

吉田椿樹

努力しないで掴める未来なんてない

吉田椿樹

そんなことも知らないの?

吉田椿樹

かわいそう

チームメイト②

え……?

鈴木和雪

椿樹……?

こんなことは初めてだった。

蓋をした気持ちの代わりに

俺の代わりにぶつかってくれる人が

現れるなんて思ってもなかった。

チームメイト①

なん、なんだ?

鈴木和雪

ナースコール押したのか

吉田椿樹

うるさいし勉強の邪魔だから

鈴木和雪

まあ……

チームメイト②

え、なに?なに?

チームメイト①

これ帰った方がいいやつ?

吉田椿樹

俺はかずを信じてるし

吉田椿樹

お前らや先生が信じてようが

吉田椿樹

信じてなかろうが関係ない

吉田椿樹

かずはバレーがしたいんだよ

吉田椿樹

そのために受験する

吉田椿樹

それを俺は手伝ってる

吉田椿樹

ただ、それだけ

そう、それだけのこと。

だけど、言う必要ある?

わざわざさ……面倒ごとに首突っ込んで

深く俺と関わろうとしないでくれよ。

ナース

どうしました?

吉田椿樹

なんか知らない人が騒いでて

吉田椿樹

うるさくて、頭痛くなっちゃって

ナース

どなたですか?

ナース

面会は吉田くんの保護者の方同行ですよ?

チームメイト②

違っ……!

チームメイト①

僕らは鈴木の友達なんです

ナース

鈴木くんの?

ナース

鈴木くん、お友達が来てくれたからって

ナース

騒がしくしちゃだめよ?

吉田椿樹

こいつらかずのお友達だった?

今この時

このタイミングて

その質問はしちゃダメだろ

チームメイト①

友達だよな?

チームメイト②

な?な?

……選べって?

そんなの……

鈴木和雪

いいえ

鈴木和雪

知りません

鈴木和雪

こんな人たち

お前を選ぶよ。

今も

これからも。

親友の椿樹を。

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