翌朝……。
コソコソ……
青木悠平
朝練の時間帯に、青木はギターケースを抱えて、こっそりと校舎を歩いていた。
生徒も先生も歩いていないが、音をたてないよう静かに資料室へと向かう。
しかし、入り口まで来た所で、はたと思い出す。
青木悠平
青木悠平
ガチャ……
青木悠平
期待しないでドアノブを回したら、すんなりと開いた。鍵はかかっていなかったのだ。
そのまま資料室に入り、昨日の隠し扉の場所に向かう。
一見すると、ただの備え付けの本棚にしか見えない。
だが、棚の枠を掴んで、腰を入れて引っ張ると──
青木悠平
ズズズズズズ……
ゆっくりと動き、その後ろから、昨日と同じ穴が現れた。
青木悠平
青木悠平
青木悠平
悠平はゴクンとつばを飲んでから、ギターを壁にぶつけないよう、気をつけて中に入った。
カン、カン、カン……
井上涼香
青木悠平
慎重に降りていく最中、突如下から声をかけられ、危うく足を踏み外しそうになる。
青木悠平
井上涼香
青木悠平
返事をしながら、悠平は再び降り始める。
青木悠平
青木悠平
青木悠平
はしごを降りて、青木は再び地下室に降りた。
青木悠平
降りてすぐに目に付いたのは、大きなボストンバッグ。
ぱっくりと開いた口から、寝袋やら着替えやらが顔を覗かせている。
井上涼香
ガチャガチャガチャ
さっそく井上は、金庫の前に座布団を敷き、解錠作業に取り掛かっている。
青木悠平
井上涼香
井上涼香
青木悠平
井上涼香
こちらを向いた井上が、わざとらしそうにメガネをクイッとさせる。
井上涼香
井上涼香
井上涼香
青木悠平
何もかも図星で、悠平は思わず唇を噛む。
流石は優等生、その程度のことはお見通しという訳か。
青木悠平
井上涼香
青木悠平
……カン……カン……
カン カン カン……
はしごの方から、2人分の下る音が聞こえてきた。
青木悠平
井上涼香
カン カン カン
カン カン カン
飯塚琥珀
伊藤夏奈
降りてきたのは飯塚と伊藤だった。3人で顔を見合わせる。
青木悠平
伊藤夏奈
飯塚琥珀
飯塚琥珀
井上涼香
飯塚琥珀
伊藤夏奈
飯塚は力強く否定するのに対し、伊藤は何も言い返さない。
青木悠平
井上涼香
井上涼香
青木悠平
井上涼香
井上涼香
井上涼香
飯塚琥珀
井上涼香
飯塚琥珀
青木悠平
青木悠平
伊藤夏奈
飯塚琥珀
飯塚琥珀
井上涼香
井上涼香
飯塚琥珀
飯塚琥珀
飯塚琥珀
……これが、4人が入学したばかりの頃。
それから丸一年が経ち……
飯塚琥珀
琥珀は満点の笑顔で、たった今自らが組み上げたブレスレットを高々と掲げた。
青木悠平
飯塚琥珀
青木悠平
ドヤ顔で自慢の一作を見せつけてくる琥珀に、悠平は苦笑いを浮かべる。
結局、あれほど反対していた琥珀も、今ではこうして部室、もとい地下室に入り浸っている。
飯塚琥珀
琥珀は携帯を取り出し、作ったばかりのアクセサリーを動画で撮影する。
彼女はここで日々趣味のアクセサリー作りに勤しんでは、
その様子や完成品をSNSに上げたり、フリマサイトで販売したりしている。
青木悠平
飯塚琥珀
飯塚琥珀
琥珀はそう言って、壁際に設置した、彼女専用のショーケースへ、アクセサリーを持っていく。
その中にはネックレスやピアス、バングルなど、彼女が今まで作った作品の中で、会心の出来の物を保管してある。
飯塚琥珀
伊藤夏奈
ショーケースを開けようとした琥珀が、そばに落ちていた葉っぱを拾い、夏奈に渡した。
ショーケースの隣では、夏奈が持ち込んだ観葉植物が青々と実っている。
パチン、パチン……
実りすぎて、天井まで届きそうになっている部分を剪定し、形を整えている。
青木悠平
青木悠平
伊藤夏奈
伊藤夏奈
夏奈がそう言いながら指さしたのは、部屋の隅、ロールカーテンで隠された大型のラック。
あちらはLEDライトによる水耕栽培が行われており、野菜やハーブなどを育てている。
この前は採れたてのチコリでサラダを振る舞ってくれた。
夏奈に加えて、当初は大反対していた琥珀も、今では私物を持ち込み、ここを『部室』にしている。
青木悠平
飯塚琥珀
青木悠平
飯塚琥珀
伊藤夏奈
青木悠平
ガチャガチャガチャガチャ
井上涼香
井上涼香
青木悠平
伊藤夏奈
興奮した様子で叫ぶ涼香の様子に、自ずと期待が高まってくる。
1年前から、涼香は金庫の前に居座り、長々と解錠作業を続けていた。
当初は開く訳が無いと思っていた金庫も、彼女の懸命な努力により、既にロックのほとんどを突破している。
井上涼香
青木悠平
伊藤夏奈
飯塚琥珀
飯塚琥珀
青木悠平
井上涼香
飯塚琥珀
伊藤夏奈
コメント
0件