茜
なぁ?
結衣
ん?
茜
これはなんだ
結衣
何って…漫画よ?
茜
それを聞いてるんじゃない
茜
何故恋愛漫画がここにあるのかを聞いてるんだ
結衣
それは決まってるじゃない
結衣
あなたに恋愛を知って欲しいから
結衣
持ってきたまでよ
茜
これ全部お前のか?
結衣
昔読んでたやつを引っ張り出してきた
結衣
とりあえずコレ見て感想聞かせてよ
茜
見るまでもないだろこんなの
結衣
なんでよ!?
茜
大体主人公は女で、相手はイケメンでスペックの高い男。そいつに惚れる話だろ?
茜
好きになる理由もどうせ顔だろ?
茜
そんなので僕が恋愛を理解できるかなんて、たかが知れてるよね
結衣
読まずしてその反応はダメじゃない?
結衣
食わず嫌いってやつと同じよそれ
結衣
読んでから文句入ってちょうだい
茜
見る気力も湧かないんだけど…
結衣
読みなさい
茜
別に僕は恋愛なんて……
結衣
読みなさい
茜
………
茜
まぁ、一二冊は読んでやるよ
結衣
よろしい
数十分後
茜
やっぱり僕には分かんねぇや
結衣
あらそう?
茜
主人公が女の子だからなのかは分からないが
茜
どうも感情移入がしづらい
結衣
乙女心が分からないとなると
結衣
やっぱり恋愛は向いてないわねぇ
茜
初めから僕話してるけど
茜
そもそも興味関心がないんだって
茜
学生の恋愛なんて男女の友情の延長戦みたいなものでしょ?
茜
それが友情から愛情に変わるかどうか、て話
結衣
うーん言い得て妙だなぁ
茜
てことで僕にはとんと無関係
茜
それを再確認したまでだよね
結衣
それじゃあ恋愛については今日ここまでにして
結衣
今読んでた漫画の感想を聞かせて欲しい
茜
恋を知らない男に聞くのかそれ?
結衣
まぁまぁ…
結衣
ほんと単純に感想を聞きたいだけよ
茜
そうだなぁ…
茜
まず主人公は最初の頃と比べると明るくなっていってる気がする
茜
例えこそ最低かもしれないが
茜
大袈裟に言えば根暗な子がギャルになるレベルの変化だな
結衣
ほんとに大袈裟で誤解招く例えね
茜
あとは主人公の友人の言葉にも違和感を覚えたな
結衣
と言うと?
茜
やっぱり近くにいたからなのか
茜
主人公の小さな変化に気がついていたりしてる
茜
それこそ性格が少し変わったとかね
結衣
具体的には?
茜
卑屈な言葉を漏らす傾向が少なくなったな
結衣
話数重ねるとそう感じるわよね
茜
まだ全部を読み終えた訳では無いから
茜
この程度しか言えないけども
茜
これで満足か?
結衣
えぇ大満足
茜
本の感想なんか聞いて何を満足してるのか
茜
目的である恋を教えるには遠ざかってると言うのに…
結衣
そんなことないわよ?
茜
?
結衣
あなたが今話した二点
結衣
実は恋愛してる女性の変わってく様を話してたのよ
茜
どういうこと?
茜
てか、恋愛の話は終わりだったんじゃ……
結衣
わかりやすく言えば好かれようとするから
結衣
容姿に気を使ってものの考え方も
結衣
自然とポジティブなものにと変わる
結衣
恋っていうのはそういうことよ
結衣
気になる子に好かれようと努力すること
結衣
それが恋というものなの
茜
女子だからって訳じゃないのか?
結衣
そんな事ないわよ?
結衣
茜君は恋愛相談受けてるんなら分かると思うけど
結衣
男女関係なく請け負ってたでしょ?
茜
まぁ…断れなくて……
結衣
それで相談を受けた時とその後で
結衣
相談者が変わったりとかあったでしょ?
茜
あー……
茜
確かに言われたらそうだわ
茜
男も容姿に気を使ってたな
茜
以前来たとある男は
茜
前髪が長いうえにボサボサで
茜
シャツもだらしなく少し出てたりしてたが
茜
彼女が出来てから見違えるくらいイケメンになってたな
結衣
思い出すとそんな事あるでしょ?
結衣
これはあくまで私の自論だけど
結衣
恋をするってことは自分に自信をつけること
結衣
これに繋がると思ってるの
茜
男子問わず精神的な問題ってことだな
結衣
分かってきた?
茜
何となくだけど分かった
茜
恋という物自体は精神的な話だということ
茜
だが…
結衣
?
茜
僕が人に興味を持つかはまた別問題ではないか?
茜
人に興味を持たなければ恋も生まれない
茜
今の話的にはそうなるだろ?
結衣
あー……
結衣
それもそうねぇ
結衣
特定の人物のために自分が変わる
結衣
それが恋と説明してしまった以上
結衣
結論はそこに行き着くよねぇ
茜
つーことは君の目的である恋愛を教える
茜
これは達成できなくないか?
茜
根本である人に興味を持つというところが
茜
残念ながら僕は欠如してるらしいからね
結衣
じゃあ次はそれを教える!
茜
恋を教えるよりもハードル高いよ?
結衣
それでも教える!
結衣
この赤い糸が切れるなり別の人に行くなり
結衣
そうなるまでは執拗に突っかかるから!
結衣
自分の赤い糸見えてないけど…(ボソッ
茜
まぁ頑張ってね
茜
僕がなびくことはないと思うけど






