美柚
華奈子、さん
男1
あれ、おねーさんもきれーですねぇ
男2
4Pか……!
華奈子
お兄さん達ごめんなさいね。この子は私の連れなの。
男2
ええ〜お姉さんも一緒に楽しみましょうよ〜
男が私の腕を掴んだ。
美柚
ちょっと……
華奈子
手を、離しなさい。
男2
ヒッ……
私の腕を掴んでいた男の手を、華奈子さんが握っている。
顔は見えないが、ものすごく迫力があることは伝わってきた。
男1
す、すみませんでしたァ!
男たちは一目散に逃げていく。
美柚
…はぁ
華奈子
ミキちゃん、大丈夫?
美柚
はい…ありがとうございます
華奈子
……何かあった?
美柚
え?
華奈子
さっきの男ども以外に、何かあったでしょ。
美柚
……。
華奈子
…言いたくないなら、言わなくても大丈夫よ。
華奈子
ミキちゃんの気が楽な方を選んで。
美柚
…あ、あの…!
私は話した。翼をさっき駅で見かけたことを。
今までの事も。
華奈子
そう…。
美柚
私、何してるんでしょうかね、ふふ…
華奈子
…少し、昔話をしても良いかしら?
美柚
昔話…?
華奈子
私ね、高校の時、好きな子がいたの。
華奈子
その子は親友で、とっても良い人だった。
華奈子
告白したかったけど、関係が壊れるのは怖かった。だから私はその子と「友達」でいることを選んだの。
華奈子
ある日ね、その子に彼氏が出来たの。すっごく喜んでた……。
華奈子
辛かったけど、その子の幸せは素直に嬉しかった。
美柚
……。
華奈子
だけどね、その子の彼氏、浮気してて。
華奈子
あの男、私の親友のことは都合のいいATMだと思ってたみたい。
華奈子
あの子はショックを受けて……。
華奈子
…自殺しちゃった。
美柚
え……
華奈子
たまに夢に見るの。私なら幸せにできたかもしれないのに…って。
華奈子
あの時手を伸ばしてれば…って。
美柚
……。
華奈子
もう、後悔したくないの。
華奈子さんが私の手を取る。
美柚
あっ…
華奈子
ミキちゃん。私のところに来なさい。
告白のような華奈子さんのその言葉に、私は黙って頷いた。