力強く
そして乱暴に
何度も何度も玄関を叩く音で 目が覚めた
魔由
眠そうな目で呟く君
間髪入れずドアを叩く音が 鬱陶しかった
僕
魔由
僕
低い声で言うと素直に魔由は クローゼットに身を隠す
この危機感が分かったようだ
玄関の前に警察がいることを
僕
わざと眠そうに玄関を開くと
険しい顔をした警官が2名
警官
僕
警官
警官
十六夜魔由
魔由の名前だ
もうここまで話が進んでいるとは 思ってもみなかった
僕
警官
警官
淡々と話す警察官
クソ…っ誰かに見られてたのか?!
ここらは郊外で人通りも少ないはずなんだけど…
一体誰が…
警官
警官
僕
僕
警官
警官
僕
あると言っても無いと言っても 中に入れる言葉
全く、便利な言葉だ
僕
そう言ってリビングに案内する
大丈夫。魔由がいるのは寝室だ
このまま魔由がクローゼットから 出てこなければいいだけの話
そう必死に自分に言い聞かせて
高鳴る心臓を抑えた
警官
警官
適当な雑談を投げかけてくる
なんだ…何の罠があるんだ…?
僕
警官
僕
そう言って僕は作業室へと案内した
僕
この部屋が終われば
また魔由との生活に戻る
早く出て行ってくれ
警官
強く願うと、警官の声すら まともに聞けなかった
警官
僕
警官
僕
警官
勘付かれたのか
それとも言ってみただけなのか
どちらにしろ、その一言は 僕の心を動かした
僕
僕
警官
僕
僕
警官
突然僕の言葉を遮って
警官はゆっくりと 僕の背後を指差した
警官
怪しく笑った警官は 確信を持っているようで
NOとは言えない状況だった
さり気なくクローゼットの前に 立っていたが
僕は仕方なくそこから退いた
僕
ごめんね、魔由
魔由に何もできなかった 魔由を守れなかった
鳥籠の中から救えなかったよ
懺悔の中、クローゼットを 開ける警官を見た
警官
僕
警官
警官
さっと回れ右をする
ガチャン、と 玄関の閉まる音がした
瞬間、誰もいないという虚無感
それが僕を飲み込むようだった
魔由がいない
その事実を まだ理解できていなかった
ふと、ベッドの隣の ミニテーブルに視線が注ぐ
そこには一通の手紙が 置いてあったからだ
封筒の真ん中に大きく 「ライアさんへ」の文字
魔由の字は見たことが 無かったけれど
なんとなく、それが魔由から なのだと悟った
手紙を開くと整った文字が 並んでいた
ライアさんへ
まずは、私を鳥籠の中から出してくれてありがとうございました。
昨晩、貴方と夜空を飛んだ日 ワクワクしてたまらなかったです
ですが、これを読んでいるということはそこに私は居ないのでしょう
昨日の深夜に考えました
本当にこれでいいのか、と。
私達に安定した仕事もなければ 親から逃げなければいけない
という負担が増えてしまったのではと思います
またもや鳥籠状態(笑)
貴方はヴァンパイアなんでしょう?
血を吸う代わりにキスで補うなんて
ロマンチックな人種ですね。
最後に一つだけ
私からのワガママ、聞いてください
3年後、私をまた攫いに来て?
今度はちゃんと両親に言ってから
そしてまた、宮殿で 誓いのキスをしましょう
人生の旅へのキスを
ペンを走らせたように書かれた字
縋るようにそれを撫でた
3年後、また迎えに行きます
たった一人の君へ
十六夜魔由へ
もう一度誓いの口づけをする為に
彼が流した涙はまるで 星のように美しかった
これは
魔法のように消えた彼女と
ヴァンパイアとの24時間の恋
口づけを賭けた
ハロウィンに起こる秘密の恋
完
コメント
29件
3年後もずっとの状態も見たい〜😙
終わってしまった( 'ω') ぇ、、、キスはぁぁぁ!?(黙れ) 続編は考えおりますでしょうか(急に敬語)
え、終わり方最高です😭 3年後がすごく気になる( *˙˙*)