8月26日。
それは「神に感謝!」と叫びたくなるほど特別な日。 すなわち柚月君のお誕生日である。
柚月君の彼女である私は誕生日プレゼントに手料理を披露するという、とても前向きで素敵で称賛されるべき計画を練っているんだけど…
相原 澪
食材を買うのに連れて来た澪の顔は暗い。
山川 のぞみ
山川 のぞみ
相原 澪
山川 のぞみ
相原 澪
澪が暗い顔をより一層暗くしていると 思いっ切り馬鹿にしたような冷たい声が降って来た。
鳴沢 真由子
山川 のぞみ
鳴沢 真由子
山川 のぞみ
鳴沢 真由子
相原 澪
バチバチと火花を散らしながらも互いに冷たい眼差しを送っていると、澪が遠慮がちに口を開いた。
相原 澪
山川 のぞみ
相原 澪
鳴沢 真由子
ラスボス__柚月君のお母さん__が更に温度の低い目で私を睨む。 __澪が小さく咳払いして1歩前に出た。
相原 澪
相原 澪
鳴沢 真由子
相原 澪
鳴沢 真由子
山川 のぞみ
相原 澪
…………と、私が別のことに気を取られてる間に話は恐ろしい方向に進んでいた。 (柚子とセーラー●ーンの姿は無かった)
相原 澪
鳴沢 真由子
私は澪と和気あいあいとしたお料理レッスンに励もうとしていたのに なんとラスボスの指導を受けることになってしまった。
当然私は抗議したけど 「花嫁修業や」「柚月君に会えるかもやで」等々甘い言葉を囁かれ、気づけば首を縦に振っていた。
相原 澪
山川 のぞみ
私が熱く闘志を燃やしているとラスボスがボソリと呟いた。
鳴沢 真由子
鳴沢 真由子
山川 のぞみ
山川 のぞみ
鳴沢 真由子
山川 のぞみ
鳴沢 真由子
山川 のぞみ
鳴沢 真由子
鳴沢 真由子
山川 のぞみ
鳴沢 真由子
鳴沢 真由子
鳴沢 真由子
鳴沢 真由子
山川 のぞみ
山川 のぞみ
鳴沢 真由子
ラスボスの弟さんが大量のじゃがいもを送って来たと言うので、今回は じゃがいもを使うことになった。
今回は(柚月君は結構好きらしい)ポテトサラダを作ると言うことだった。
ラスボス曰く、ちゃんとした手順を踏んだら失敗のしようが無い簡単な料理。らしい。
一応ラスボスも「これがまな板であれが包丁」と丁寧に教えてくれる。それぐらい分かるわ! …いやもう本当舐めないで頂きたい。
鳴沢 真由子
山川 のぞみ
私の料理の出来なさ加減、舐めないで頂きたい。 それはそれは見事な駄作が出来た。
山川 のぞみ
見た目スライム、味ピータンな「ポテトサラダ」に早くも心が折れていると、意外にもラスボスが肯定的な言葉を述べた。
鳴沢 真由子
山川 のぞみ
鳴沢 真由子
鳴沢 真由子
鳴沢 真由子
山川 のぞみ
※漢字変換のミスではございません。
殺る気溢れるラスボスの指導は、ハードだった。
じゃがいもの皮の剥き方から否定され、ついでに私が地球に生息している生命体であることも否定された。
ラスボスは私に指導しながら夕食も同時に作っていく手際の良さだったので何も反論出来ない。
あと、出来上がったスライムとか発光するヤツを「不味い」「兵器だ」と評するわりには顔色1つ変えないのが本当に恐ろしい。
殺る気溢れる指導だったが、私に外傷は無く、首も繋がってる。 とにもかくにもテイク30___
山川 のぞみ
鳴沢 真由子
山川 のぞみ
鳴沢 真由子
私は目に浮かぶ熱い水滴を拭うとラスボスに向き直った。
山川 のぞみ
鳴沢 真由子
山川 のぞみ
玄関の方でドアが開く音がした。
続いてパタパタパタ、という足音。 私たちがいる台所に通じるドアが勢い良く開いた。
鳴沢 柚月
山川 のぞみ
鳴沢 真由子
柚月君は私と目があうと満面の笑みを浮かべた。そして弾むような足取りで2階に上がって行く。 カワイスギル。
私が先程とは違う感動の涙を目に浮かべていると__ 後ろに誰か立つ気配がした。
父
山川 のぞみ
男の人___たぶん柚月君のお父さん__は上から下まで値踏みするように私を眺めると、大袈裟に首を振ってため息を吐いた。
父
父
山川 のぞみ
早口でまくし立てるお父さんに呆気に取られていると__ラスボスが興味無さそうに口を開いた。
鳴沢 真由子
鳴沢 真由子
父
鳴沢 真由子
父
鳴沢 真由子
ラスボスはお父さんを引きずるようにして台所を出て行った。 ___入れ違いに着替えを済ませた柚月君が入って来る。
柚月君はサランラップがかけられたポテトサラダを見て目を輝かせた。
鳴沢 柚月
山川 のぞみ
鳴沢 柚月
山川 のぞみ
私はフライパンの上の「もう1品」をお皿に移した。その上にケチャップを混ぜたソースをかける。
箸で1口サイズの大きさを切り出すと、息を吹き掛けて冷ます。
山川 のぞみ
鳴沢 柚月
嬉しそうにポテトサラダを眺めていた柚月君がこちらに顔を向ける。 私はその形のいい口に そっと「もう1品」を入れた。
山川 のぞみ
鳴沢 柚月
柚月君は幸せそうに微笑むと、柚月君の為だけに作ったハンバーグが乗ったお皿を自分の方に引き寄せた。
鳴沢 柚月
山川 のぞみ
柚月君は嬉しそうに食事を始めた。
レトルトのハンバーグを手作りと偽って出したあの日の借りはこれで返せたはず…
山川 のぞみ
頬に付いたソースを人差し指で拭うと、 不意に柚月君が箸を置いた。
柚月君はソースを拭った人差し指を掴むと 舌でソースを舐めた。
柚月君は人差し指を掴んだまま上目遣いで私を見て、いたずらっぽい笑みを浮かべた。
鳴沢 柚月
山川 のぞみ
顔が熱くなるのを感じた。
__柚月君の頬が少し紅く染まっているのは夕陽が差し込むからだけではないはずだ。
~bitter 4~
山崎 朋美
部活帰り。
この前の兄の一件を話し終えると、朋ちゃんが ポカンと口を開けた。
山崎 朋美
山崎 朋美
柴本 桃花
山崎 朋美
柴本 桃花
朋ちゃんが肩に手を置いて耳打ちした。 瞬時に私の頬が染まる。
柴本 桃花
山崎 朋美
柴本 桃花
山崎 朋美
山崎 朋美
柴本 桃花
山崎 朋美
柴本 桃花
山崎 朋美
山崎 朋美
柴本 桃花
山崎 朋美
山崎 朋美
朋ちゃんはしばらく瞬きを繰り返していたけど、不意にどこか納得したような顔になった。
山崎 朋美
山崎 朋美
山崎 朋美
朋ちゃんがポン、と肩を叩いた。
柴本 桃花
山崎 朋美
脳裏に、漫画の話で盛り上がった時のことが浮かぶ。 あの時は楽しかった。
もう一度、あんな風に話してみたいと思った。 ちょっとだけ
ほんのちょっとだけ
夢を見てもいいかな?
深夜1時すぎ。
鳴沢 真由子
鳴沢真由子は 台所を うろうろしている柚月に声をかけた。
鳴沢 柚月
鳴沢 柚月
鳴沢 真由子
真由子は面倒臭そうにため息を吐くと台所に入り冷蔵庫を開けた。
鳴沢 真由子
鳴沢 柚月
鳴沢 真由子
鳴沢 柚月
真由子は冷蔵庫から今日の余った白ご飯を取り出すと電子レンジに入れた。
鳴沢 真由子
鳴沢 柚月
鳴沢 真由子
鳴沢 柚月
鳴沢 柚月
鳴沢 柚月
加熱終了を告げる電子音が鳴った。 湯気を立てる白ご飯を取り出す。
鳴沢 真由子
鳴沢 真由子
鳴沢 柚月
鳴沢 真由子
鳴沢 柚月
夜の闇に染まった家の中で、台所だけ灯りがともっている。
小さな灯りの中で 柚月の決意に満ちた声はしばらく途切れることはなかった。
コメント
5件
わあ…!柚月くんも自分のやりたいことが……!!! これ今回のラスボスポジは父親っすね…許せん がんばれのぞみさんと柚月くん!!!
柚月くんとのぞみさんのラブラブシーン最高です♡ わたし的に、孝太君のお姉さんも好きです笑 溝口くんも新しい恋に進めることを願っておきます笑 (あの二人の邪魔されちゃ困るので)次回も楽しみにしてます✨
のぞみ「聞いて聞いて!私と柚月君がTELLERに登場してからもうすぐ2年だよ」 柚月「こんなに長く続いたのも読んでくれる皆様のおかげです」 のぞみ「たぶん次回は作者が騒いでるんじゃないかな」 柚月「初めて僕たちがTELLERに出た時は連載化すると思ってなかったからね」 ラスボス「ちょっと、私も同時期に出たでしょう」 読んでくださりありがとうございました❗