十数分前 1年G組
雀
(数学、本当に訳分かんない)
その時、私は数学の授業を 受けていて何気なくグラウンドを 見ていた時だった。
雀
(ん?あれは...)
グラウンドを通り越した先にある 正門でこの学校の制服を着た 生徒が2人いるのが見えた。
あの緑髪と桃髪のシルエットは 見覚えがあった。
雀
(風祭さんと瑠流⁉︎どうして学校に?)
今、瑠流は自宅待機期間で 学校に来れない筈。 それなのに正門前に 風祭さんといるという現状に 私は底知れぬ不安を感じた。
廊下
気が付くと私は 教室を飛び出していた。
これから良くないことが 起こるのではないかと 感じたからなのか...
私は無我夢中で 廊下を走った。
階段
雀
わあっ⁉︎
朔
おっと‼︎
階段を登ろうとした時 丁度壁の死角から 会長が現れ、私は勢いのまま 会長にぶつかってしまった。
すると会長は私を優しく受け止め 心配な言葉をかけてくれた。
朔
大丈夫かい?
雀
あ、は、はい‼︎
朔
廊下は走ると危ないよ、赤月さん
雀
そうでs...え、どうして名前知ってるんですか?
朔
全校生徒の名前くらい簡単に把握してるさ
朔
それに君は風祭さんとも交流があるだろう?
雀
そ、そうですね...
雀
あ、ぶつかってしまってすみませんでした‼︎
雀
私、急いで行かなきゃいけないところがあって
と会長にぶつかった謝罪と 用件を軽く言い、その場を去ろう とした時だった。
朔
もしかして...風祭さんと猫屋敷さんのところかい?
雀
っ⁉︎どうしてそれを...
朔
今さっき正門前に2人がいたのを確認したんだ
朔
恐らく屋上に行く気だろうね
雀
会長も屋上に行くんですか?
朔
ああ、そのつもりだ
朔
しかし、君は...確か、猫屋敷さんの古くからの友人だったかな?
雀
そうです、幼稚園の頃から一緒です
すると、会長は数秒考えると 私にこう言った。
朔
赤月さん、君に頼みたいことがあるんだ
雀
何ですか?
朔
朔
風祭さんの自殺を止めてほしい
雀
っ⁉︎わ、私がですか⁉︎
朔
君は贄川君や榊原先生と交流はあるかい?
雀
最近ありました
朔
それなら風祭さんや猫屋敷さんの現状も聞いているよね?
雀
はい...
朔
風祭さんの自殺は猫屋敷さんの存在が必要不可欠だ
朔
だから君は猫屋敷さんに、風祭さんの自殺を見届けたくなくなるように説得をしてほしい
雀
そ、そんな説得なんて...会長の方が演説とかしてらっしゃいましたし、得意でしょ⁉︎
朔
いや、これは彼女の古くからの友人である君にしかできないことだ
朔
彼女の気持ちを分かっているのは刹那さんでもない、君だけだと私は思う
朔
だから頼む、このとおりだ
すると会長は私に頭を下げた。
雀
わ、分かりましたから‼︎頭を上げてください‼︎
雀
...私は正直、上手く説得できるか分かりません
雀
でも、これだけは言えます
雀
私は瑠流がそんな役目を背負う必要なんてない
朔
よし、その気持ちがあれば十分だ
朔
そういえば、今の時間帯...君は確か授業中だろう?
雀
あ...
朔
私が先生と話をつけてくるから心配しなくて良い
雀
あ、ありがとうございます‼︎
朔
それともう一つ、言わなければいけないことがある
雀
何ですか?
朔
風祭さんに何者かが情報を渡しているらしい
朔
これは刹那さんから聞いた話だが、盗聴器やカメラ類が校内に多数仕掛けられている可能性がある
雀
何それ...
朔
だから、風祭さんに話す時も慎重に話をしてほしい
雀
わ、分かりました...
そして私は会長の頼み... いや、私の思いを伝えるため 屋上へと急いだ。
現在
雀
(本当に校内に“盗聴器やカメラ”があったんだ...)
雀
(でも誰が何のために...)
雀
とにかく、私は偶然見かけたから屋上に来ただけで、会長には会ってないよ
遊
ふーん
雀
そんなことより、瑠流‼︎
瑠流
えっ?
雀
自分が今から何をするつもりなのか分かってんの⁉︎
瑠流
...っ
瑠流
...分かってるよ、だからここに来たんだよ
雀
だとしたら、あんた凄いバカよ‼︎大バカよ‼︎
雀
どうして瑠流がそんな役目を背負わなきゃいけないの⁉︎
雀
断ればいいじゃん‼︎
瑠流
...分からないよ、雀には
雀
はあ?
瑠流
雀には分からないでしょ⁉︎
瑠流
私の気持ちがっ‼︎
瑠流
私は死研が大事な居場所だったの‼︎
瑠流
でも蛇ヶ崎さんは持病で亡くなった‼︎
瑠流
そして風祭さんは自殺したいって‼︎
瑠流
私は...本当は誰も欠けてほしくないのに...
雀
じゃあ、その気持ちを風祭さんに伝えr
瑠流
だからそれができないのッ‼︎
雀
何で...
瑠流
だって、私はいじめから助けてもらったんだよ?
瑠流
私にとってあの時の環境は地獄で生きる希望なんて見出せなかった
瑠流
でも、そんな私に2人は手を差し伸べてくれた
瑠流
あの時、世界が変わったと思った
瑠流
そして、いじめが解決して私は2人に何かできることはないかを必死に考えた
瑠流
でもその内に何もできずに蛇ヶ崎さんが亡くなった
瑠流
風祭さんには今の今まで何も恩を返せてない
瑠流
でも死にたいって...それが風祭さんの願いなんだって
瑠流
また私は何もできずに大切な人を失うのかと思った
瑠流
でもそんな私に風祭さんは見届け人になってほしいって言った
瑠流
だから私は恩を返すって意味で風祭さんの最期を見届けるの
雀
...あーあ
雀
雀
アホくさ







