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ラードロ(類)

(皆さんこんにちは。とうとう捕まってしまいました。)

ラードロ(類)

(とはいえ、いつでも出られるのですけどね。けど、私がそれをしない理由は2つあります。)

警部(司)

ラードロ…よし、ちゃんといるな。

ラードロ(類)

フフ、警部殿もマメですね。毎日来てくれるじゃないですか。

警部(司)

見張りだ。いつ逃げるか分からんからな。

ラードロ(類)

そんな事言って、私に会いたいだけでは無いのですか?

ラードロ(類)

な〜んて_

警部(司)

……⁄(⁄ ⁄•⁄ ⁄•⁄ ⁄)⁄

ラードロ(類)

え?

警部(司)

ば、馬鹿なことを言うんじゃない!いいか!明日もまた見に来るからな!!

ラードロ(類)

えぇ、あ、はい…

ラードロ(類)

…何、今の顔、、

ラードロ(類)

馬鹿なのは…どっちだろうな…

ラードロ(類)

(1つ目の理由、警部殿がこうして毎日来てくれるからです。)

ラードロ(類)

(たまにはこういうのも悪くないかな。)

ラードロ(類)

(そして2つ目の理由は、1度冷静に考えたいことがあったからです。)

ラードロ(類)

この世で最も美しいものは…何なんだろうか。

ラードロ(類)

(長年、辿り着けないものでした。答えが見つからないのです。どうも、理屈じゃ通らない)

ラードロ(類)

(答えのないものは作り出せばいい。最も美しいものを作り出すにはどうすればいいのでしょう?)

ラードロ(類)

マーキュリー…あなたならどうしたんでしょう…

ガタンッ

ラードロ(類)

ん?

警部(司)

…!

ラードロ(類)

おや、警部殿、戻ったのですか?

ラードロ(類)

何か忘れ物でも__

警部(司)

だ……誰だ…?

ラードロ(類)

え?

警部(司)

その……マーキュリーってのは、誰だ?

ラードロ(類)

マーキュリー……ああ、もしかして嫉妬ですか?

警部(司)

なッ!!!違っ!ほ、他にも仲間が居たのかと……!!

ラードロ(類)

フフ、冗談です。マーキュリーとは星の名前であって、人名ではありません。

警部(司)

あ、ああ。なんだ、水星の事か…

ラードロ(類)

マーキュリーとはローマ神話の盗賊の神、メルクリウスにちなんだ名前だそうです。フフ、私にピッタリでしょう?

警部(司)

盗賊の神……そんなのがいるのか

ラードロ(類)

ええ。だから警部殿、安心してください。

警部(司)

な……!!!もう、紛らわしい事を言うんじゃない!!!

ラードロ(類)

フフッ、ごめんなさい。もう言いませんよ。

数週間後

ラードロ(類)

……

ラードロ(類)

(何日経ったでしょう。そろそろ出てもいい頃ですかね…退屈だし)

ラードロ(類)

(あれから警部殿は1度も欠かさず、私の様子を見に来ました。見回りなら、看守に任せても良いでしょうに。)

ラードロ(類)

(ですから今日、聞いてみようと思います。)

警部(司)

ラードロ、来たぞ

ラードロ(類)

警部殿、こんにちは

警部(司)

退屈じゃないか?

ラードロ(類)

退屈ですよ。体と頭が鈍ってしまいます。

ラードロ(類)

ですから頭の体操も兼ねて、質問しても良いですか?

警部(司)

ああ、良いだろう。

ラードロ(類)

なぜ、毎日ここへ来るのですか?

警部(司)

お前が逃げないか確認するためだ。

ラードロ(類)

そんなの、看守に任せておけばいいじゃないですか。わざわざ貴方が出向く必要もない。

ラードロ(類)

本当の理由は何です?

警部(司)

…知らん。

ラードロ(類)

えぇ、答えて下さいよ。

警部(司)

知らんものは知らんのだ!!こんなの……俺は知らないんだ、

警部(司)

……はぁぁぁぁ、、

ラードロ(類)

警部殿?

警部(司)

ラードロ。

ラードロ(類)

(あ…………綺麗な目、)

警部(司)

その……俺は…

ラードロ(類)

見つけた……警部殿、見つけました、

警部(司)

む?何をだ?

ラードロ(類)

この世で最も美しいものです。こんな近くにあったんですね。

ラードロ(類)

私はずっと…貴方がライバルだから気に入っているのだと思ってました。

ラードロ(類)

けど……きっとこの感情は知りません。警部殿、貴方は分かりますか?

警部(司)

……ああ、わかる。それはきっと、恋だ。

ラードロ(類)

恋……なるほど、恋…

ラードロ(類)

警部殿、それは貴方にもあるのですか?

警部(司)

…ああ。あったようだ。

ラードロ(類)

なら、決まりました。

ラードロ(類)

警部殿、貴方の恋を私に盗ませてくれませんか?

警部(司)

……

警部(司)

ラードロ、お前は何も分かっとらんな。

ラードロ(類)

警部(司)

そんなのとっくに盗まれとった。俺の恋を…心を盗んだ罪は重いぞ。

警部(司)

もうこんな牢からは出ろ。これからは、俺の恋を、心を盗んだ罪を一生かけて償ってもらうからな。

ラードロ(類)

(ああ、本当に…)

警部(司)

逃がすつもりはないから、覚悟しろよ?

ラードロ(類)

…フフッ、どうやら、、

ラードロ(類)

完敗です。

ラードロ(類)

(私は美しいものに囚われていたみたいだ。)

警部(司)

ラードロ……いや、類だったか?

ラードロ(類)

おや、何故私の名を?

警部(司)

この期に及んでもシラを切るのか。「類さん?」

ラードロ(類)

フフ…何のことでしょう?

警部(司)

フッ、構わないさ。お前が最後まで芝居を打つのなら、付き合ってやろう。

ラードロ(類)

おや、良いのですか?

ラードロ(類)

この芝居は、命尽きるまで幕が降りることはありませんよ。

警部(司)

警部(司)

エンドロールまで共に飾るつもりだから安心しろ!

ラードロ(類)

それは……楽しみですね。

「犯人逃走中!犯人逃走中!」

警部(司)

すぐに追う!!!!

警部(司)

行くぞ!類っ!!!

刑事(類)

フフッ、そう焦らないで下さいよ。今に……ほら、罠にかかりましたよ。

警部(司)

いつの間に用意してたんだ?!

刑事(類)

全く、怪盗なら当然ですよ。警察を罠にかけるのなんて…ね?

警部(司)

それが、今や刑事だがな

刑事(類)

人生、何があるか分からないものですね。もうこんな歳になってしまいました。

警部(司)

って、あの時からまだ2年しか経っとらんからな?!

刑事(類)

あの時の警部殿は面白かったなぁ、全く僕を捕まえる気なんてなくて…

警部(司)

だぁぁぁあああ!!!その話は良いから、犯人追うぞ!

刑事(類)

フフ、任せて下さい。

刑事(彰人)

あっ、警部〜!!!捕まえましたよー!

刑事(冬弥)

類さんの罠のおかげで追いつけました。

刑事(類)

フフ、良かった。役に立ったみたいだね。

警部(司)

うむ!これで解決だな。

善悪を働くのは人間で、善悪の区別をつけるのもまた人間だ。

刑事(類)

警部殿?

警部(司)

ん…ああ、今行く。

悪は悪とは限らない。誰かにとってはそれが善ということも有り得るのだ。

刑事(彰人)

ん、あー…またラードロみたいな怪盗現れねぇかなぁ

刑事(類)

フフ、その時は僕がすぐ捕まえて見せるよ。

警部(司)

そうだな。それに、お前みたいな怪盗がホイホイ現れてたまるか。

刑事(冬弥)

ですね。それに、平和なのはいい事ですし。

刑事(彰人)

ま、確かに。

刑事(類)

あっ、警部殿!そういえば試したいモノがあるんです!帰ったら……

警部(司)

なッ!!ま、また爆発か?!

刑事(類)

フフフフッ!これも事件解決のためですよ!(?)

刑事(彰人)

……こっちは平和なのか分かんねぇけどな。

刑事(冬弥)

あぁ。けど、昔より警部は楽しそうだ。

一時期世に名を馳せた怪盗ラードロ。

それが今、俺の隣に居るだなんて誰が思うだろう。

これから、またたくさんの事が待ち受けているだろう。

だがそれも、お前とならば楽しめるというものだ。 ゴールはまた、スタートになる。

ひとまず、今回はここで幕を閉じるとしよう。 俺たちの物語は、俺たちだけの物だ。

そう思いながら俺は、自身の事件簿を閉じた。

怪盗ラードロと警部の話 〜完〜

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