アシンメトリー□□パペット.

昔、ただ1人俺にケンカで勝った男がいた

ソイツは俺の事情なんてガン無視で

ただ、俺を引っ張っていった

俺に怖気付いたりもしねえし

逆にバカにしたり…は、いや、してたけど

でも嫌じゃなかった

純粋に俺と関わってくれた

そんなヤツは、もういないのに

なのに今でも俺は

ソイツの面影ばかり、見てしまう。

ガラッと扉を開けて教室を出ると、ホッとした空気が流れる

言いながらヤツは俺が吸っていたタバコを手に取って、自分が吸った

そう言った俺の口にソイツは何かを突っ込む

渡された紙はたぶんなにかを模したパロディで

クラスでやる演劇だった

結果は冒頭で述べた通り、ダセェから詳しくは思い出さねえ

ヘラっと笑ったその男に、俺は押さえつけられていた

かくして、俺は文化祭のクラス出し物である演劇に参加することになった

とたんに教室が騒がしくなる

こうやってコイツが話しかけてくるうちに

物好きなヤツから順番に、クラスのヤツらも話しかけてくるようになった

そして、本番当日

はあ、と軽くため息を吐いたそのとき、シーン転換のため暗転した

ぼうっとしている時間がひどく長いように思った

それは本番だからとか緊張だとか、そういうのではなかった