TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

気がつけばまた、あの

白い箱の中で

この前と同じ、

状態で。

らんらんは先生と話に行って

俺らはまた、

奇跡を願っていた。

すち

彼はもう、

死ぬんだ。

その時俺は、もう彼を抱くことはできないと感じた。

愛すことは、できないと。

隣にいるはずの彼が、 隣にいない

耐えられなかった

耐えたくなかった。

LAN

…ッ

扉から、俯いたらんらんが出てくる

いるま

ッらんッ!!!!!!

いるま

なつはッ!?なつは…ッ、!

みんなが言おうとする中

いつもは冷静ないるまが、 乱れていた。

いるまが、

いるま

ねぇ、らん…ッ!

と、体を揺さぶる中

当のらんらんの頰には 一筋涙が見えた。

LAN

ッ、ひまなつ、は…

LAN

多分、も、う。

LAN

目、覚さないっ、て…

ぎり、と歯が軋む音がした。

らんらんは苦しそうに笑っていた

だけどそんなん作り笑いってわかるくらい

涙をこぼしながら。

その瞬間、きっと

俺らの中で、何かが壊れた。

いるまちゃんはその場で、

らんらんの袖を掴んだまま

両膝をついた。

みんな失ったものは、確かだった。

ひまちゃんが、もう

いなくなるという現実が、

今本当に間近にあるように感じた。

そして、らんらんが

こんなにも、泣いて、泣き崩れていて

どれだけ我慢して

どれだけ“俺らのリーダー”として

支えてくれていたのか。

それも嫌になる程伝わってくる。

まだ、死んではない。

そうとも思いたかったが。

消えかけた命である。

きっと、こてっと、死んでしまうだろう。

こさめちゃんは、 両手で顔を抑えて泣いた。

みことちゃんは、 優しく背中を摩っていた。

咲いた花が、朽ちるように

俺らは、何か失った。

希望はもう、なかった。

奇跡なんて、信じたくもなかった。

8月、夏祭りの日。

“樋前 夏樹”は生きていた。

同時に

“樋前 夏樹”は、目を瞑った。

君の記憶が、途絶えた日。

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

2,300

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚