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あさくら
80
さらさは苗倉をその場に崩れ落ちさせようと、身を低くして苗倉の脚部へ渾身のパンチを繰り出した。
🎲 今泉 さらさ【こぶし】➔ 成功
見事にヒットしたかに思えたが拳が触れた瞬間、不可視の硬質な力場に弾かれ、衝撃が完全に霧散してしまう。
やはり苗倉の肉体に対する直接的な物理攻撃は、世界のルールによって無効化されてしまう。
🎲 安田 酢太郎【投擲】➔ 成功
しかし、酢太郎の放った重い瓦礫は違った。
酢太郎が腕をしならせて投げ放ったコンクリートの瓦礫は、鋭い軌道を描いて苗倉の足元―― 直立不動の定位置へと一直線に激突した!
バキィッ!
重い瓦礫が苗倉の足首を強打し、足元に散らばっていたガラス片をさらに深くスニーカーの底へと押し込む。
ガラガラと崩れた瓦礫が苗倉の両足を挟み込むように積み重なり、足首から生々しい鮮血がドクドクと床へ溢れ出した。
苗倉
苗倉は激痛に絶叫し、顔を苦悶に歪める。
しかし、彼はどれほど足を痛めつけられようとも、一歩たりともその位置から逃げ出すことができず、瓦礫と血だまりの中に縫い止められたように立ち尽くしていた。
苗倉
苗倉
苗倉
苗倉
酢太郎が鋭い眼光で苗倉を見据え、言い放った。
酢太郎
酢太郎
その言葉が放たれた瞬間、苗倉の表情が凍りついた。 見開かれた瞳が激しく震え、顔面から血の気が完全に引いていく。
苗倉
苗倉
苗倉
苗倉は狂乱し、自らの頭を両手で掻きむしり始めた。
手帳から漏れ出す黒い瘴気のような冷気が、KPとしての義務を果たせない苗倉の肉体を締め上げていく。
血管が浮き上がり、目や鼻から赤い鮮血が吹き飛んだ。
苗倉
苗倉
苗倉
苗倉の絶叫は唐突に途切れ、その身体は糸の切れた操り人形のようにガクりと崩れ落ち、二度と動かなくなった。
苗倉の手からポロリと滑り落ちた忌まわしい手帳が、床の血だまりへと落ちる。
その瞬間、部屋を覆っていた重苦しい呪縛と張り詰めた気圧が一気に霧散した。
KPが死亡し、セッションが物理的に破綻したことによって、この呪いの空間そのものが終わりを迎えたのだ。
コメント
1件
キンモクセイさん、第5話読了しました……! 酢太郎さんの「分身します」、あの瞬間のカタルシスがすごかったです。直接攻撃は無効化されるのに、瓦礫を足元に叩きつける間接攻撃で苗倉を縫い止める——その発想の勝利に痺れました。死に際の苗倉が「シナリオ通りにやれよ!」と叫ぶほど、ゲームマスターという立場の呪縛が浮き彫りになっていて、怖くもあり哀れでもありました。 心理描写の密度が相変わらず秀逸ですね。続きも楽しみにしています🌷