君はただ
静かに
静かに
俯いて
手の甲を濡らしてた
僕はそんな君を見つめるけれど
君は気づかないから
僕は死んだと悟った
思えばいつも君は
頬を濡らしながら帰って来て
僕の両腕にすっぽりと収まって
愚痴を言いながら
僕の服を濡らしてた
それでもそんな君が可愛くて
いつも僕は
僕
そんな君も好きだよ
って言うんだ
だけど今回は嫌だな
僕に届かないとこで君は
昼夜問わず
目を腫らして
頬を濡らして
独りでいる
原因は僕だから尚更嫌だ
「もう笑って」
そう言ったって君には届かない
「そばに居るよ」
そう叫んだってやっぱり君には届かない
君
ぇ…
君
ねぇ…好きだよぉ!!
君
なんでおいていくの!?
君
ねぇ!!!
僕
ごめん、おいていくつもりなんてなかった
君
まだ…一緒にいるんじゃなかったの…、?
僕
もちろん
僕
そのために僕は
僕
「引き出しを開けてほしい」
そう言ったって届かないのはわかってる
だけどそっと呟いた
君
……え…?
まさか
…届いた?
君はふらふらと疲れた足取りで引き出しを開ける
君
君
ネックレス?
それは僕が死ぬ前に買っておいた物だ
僕
もうすぐで2年目だったから
僕
買ったんだ
僕
まだ僕には指輪なんて買えないけど
僕
ネックレスなら買えたから
届かない
わかってる
だけど僕は言いたい
君
え…あ…これって…
僕
そう
僕
ペアネックレス
僕
僕つけてたでしょ?
僕
雫の形のネックレス
僕
ほんとは記念日に君にあげて喜んでほしかったんだけど
僕
僕あげられないから
ああ、やっぱり君はまた頬を濡らしてる
でも良かった
僕
僕
やっぱり僕
僕
その顔が1番好きだな
微笑みながら頬を濡らしてる君は
今までで1番綺麗だった
End