君はただ
静かに
静かに
俯いて
手の甲を濡らしてた
僕はそんな君を見つめるけれど
君は気づかないから
僕は死んだと悟った
思えばいつも君は
頬を濡らしながら帰って来て
僕の両腕にすっぽりと収まって
愚痴を言いながら
僕の服を濡らしてた
それでもそんな君が可愛くて
いつも僕は
僕
って言うんだ
だけど今回は嫌だな
僕に届かないとこで君は
昼夜問わず
目を腫らして
頬を濡らして
独りでいる
原因は僕だから尚更嫌だ
「もう笑って」
そう言ったって君には届かない
「そばに居るよ」
そう叫んだってやっぱり君には届かない
君
君
君
君
僕
君
僕
僕
僕
「引き出しを開けてほしい」
そう言ったって届かないのはわかってる
だけどそっと呟いた
君
まさか
…届いた?
君はふらふらと疲れた足取りで引き出しを開ける
君
君
それは僕が死ぬ前に買っておいた物だ
僕
僕
僕
僕
届かない
わかってる
だけど僕は言いたい
君
僕
僕
僕
僕
僕
僕
ああ、やっぱり君はまた頬を濡らしてる
でも良かった
僕
僕
僕
微笑みながら頬を濡らしてる君は
今までで1番綺麗だった
End
コメント
23件
いやっ、もうっ、表現がとても好きですーー 雫の形のネックレス...素敵だなぁ😍 参加ありがとうございました🙌
読むの遅くなってごめんね! すごい……!まさか僕がもういないなんて……(´;ω;`) 悲しいけど素敵なお話だった……(´இωஇ`)
あのですね、言葉が好きです。。 雫の形のネックレスというチェイスも好き。。