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夏の朝と夜の間
まだ誰も起きていない
空の色は暗いのになんとなく明るい
夏なのにまだ冷たい空気の中、 色のない風が静かに動く
この空間は私だけのもの
誰も乗っていない号車に乗り
無色の風をかき分けて進む電車
その鉄の塊に揺られながら眠る
エアコンの風、寒いな
目が覚めると、人に埋れてる
疲れきった退屈な大人たち
朝になってた
あと2駅で降りなきゃ
ここにいる人たちは
私が売ってるモノ
当てられないんだろうな
死にそう
空気は暑さを閉じ込めるし
風は動いてくれない
きっとあのつまらない大人たちに 呆れちゃったのね
私もこんなことしてるけど
私のことは嫌いにならないでね
私のお城
王子様はまだいないけどね
でも幸せよ
空気は軽いし、風も透明なの
ティファニーのワイングラスで オレンジジュースを飲む
はぁ幸せ
飲み干したら、つまらない大人が 夜やってることをする
夜ご飯にお風呂に歯磨き
そしてふかふかのベッドに倒れこむ
気づいたら夕方になってた
着替えて、お化粧して
シンデレラみたいに変身するの
そして働きもののシンデレラは また働きに行く
タクシーって好き
どこへでも行けちゃう気がする
窓を開けると、オレンジ色の風が 私の髪をくしゃくしゃにする
大抵の人は嫌がるけど、私は好きよ
夏の夕方の風って綺麗
タクシーから降りると、 空気は生温くて、風は紫だった
綺麗なお部屋の中には、 真っ白なベッド
その上には可哀想なおじさんがいて
私はその可哀想なおじさんを慰める
変な味
愛されなかった大人の惨めな味
それを私の中で受け止める
今日の私の値段は20万
空気はまだちょっと生温かくて
でも風は青になってた
まだみんな眠ってなくて
女の子は「お金が欲しい」
男の子は「癒して欲しい」
そしてみんな「幸せになりたい」
そう嘆きながら彷徨ってた
不思議
幸せになりたいなら
売ればいいのに
買えばいいのに
みんな我慢できててすごいな
私欲しいものいっぱいあるの
我慢できないの
幸せじゃなきゃ死んだ方がマシ
だから私は私を売る
また私の好きな時間が来た
なににも染まってない綺麗な空間
歪みそうで曖昧な空間
私もこの中に溶けちゃいたい
誰のモノにもなりたくない
風のように自由に走りまわりたい
ずっと幸せでいたい
明日の私の価値はいくらかな