この作品はいかがでしたか?
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とある地方紙の三面記事より
8月16日午後9時頃、
JR守部線の塚元踏切内で、
小阪行き特急電車に女性がはねられ、
頭部などを切断するという死亡事故が発生しました。
この影響により
JR首部線は約二時間、運転を見合わせました。
捜査関係者によりますと、
女性の所持品と思われるタブレット端末から、
書きかけの日記が見つかこということです。
女性の身元の確認を急ぐとともに、
現在事件、事故の両方を視野に入れて調べています。
“女性の日記”より
女性の日記には
曜日の他に
六曜が記載されていた。
8月10日日曜日
先負
先日から家の中にあるものが勝手に落ちます。
先ほどは、カウンターにあった食パンがポトリと落ちました。
たった今は、食器棚にあるコップにヒビが入り、
正直に言って、とても気味が悪いです。
以前にもそんなことを書きましたが、
最近また始まりました。
8月11日月曜日
仏滅
線香の匂いを感じます。
仕事先から疲れて帰ってきて、
玄関を開けるなり線香の匂い。
これって、何かの前兆でしょうか?
とても気持ちが悪いです。
8月13日火曜日
大安
今日は大安
それなのに昨日に続いて線香の匂い。
塀の上から黒猫がこちらをじっと見つめていました。
ふと目を離した隙に消えてしまった──
不吉な予感……
とても嫌な予感がします
…。
8月14日水曜日
赤口
愛用の皿が食器棚から落ちました。
粉々に割れてしまった。
かたづけているときに、左手の人指し指を切りました。
鮮血を見て気が遠くなりました。
絆創膏を貼りましたが、まだ出血しています。
いったい何が何だか
8月15日木曜日
先勝
家がミシッミシッと音を立てる。
線香の匂いはますますきつい。
8月16日金曜日
友引
これから田舎に帰ります。
つい、今しがた、
双子の妹が危篤だと連絡がありました。
死の淵にいると。
妹とはもう何年も会っていません。
かれこれ10年以上になります。
なぜ会わないか…
妹は独占欲が強く、同じ顔をもつ私を嫌っていましたから。
電話口で母親に泣きつかれました。
同じ双子なのだから、
最後くらい看取ってやって欲しいと。
性格の悪い妹でも、血を分けた姉妹なのだからと。
変わり果てた妹に会うのが怖い気がします。
だってそうでしょう?
何から何までそっくりなのですから。
まるで自分の死相を見ていると思うはず……
なんだか気持ち悪い気がして…
今日が友引だというのも
あまりよい感じがしませんもの。
喪服を用意してトランクにつめました。
黒い式服用バックが行方知れず。
しかたないから妹のを借りようと思います。
どうせ妹はバックは使わない。
だってそのときはお葬式ですもの。
妹は、もうこの世にいないのだから。
これから駅に向かいます。
日記はここで終わっていた。
警官
警官
警官
八 月
十 七 日
土 曜 日
先 負 け
ア
ナ
タ
は
私 の
全 て
私たち同じ日に生まれたのだから
双子の姉妹なんだもの
同じ日に逝きましょうね…
ねっ
お 姉 さ ん …
ふ
ふ
っ . ・ .
そこの
ア ナ タ も
友 引 には
気 を つ け て
つ ・ .
コメント
48件
コンテスト参加ありがとうございます。 さすがの一言。読むのが嫌になる程に先の展開が頭の中で怖い方、怖い方へ向かうのが止められなかったです。しかし読み切りましたよ!w六曜とリンクして起こる怪奇、日記の長さのリアルさ、それがまた怖さを増す調味料となっていました。妹さんは嫌だ嫌だと口では言いながらも、唯一無二の姉を思っていたのか、それとも自分だけ逝く事が不満だったのか、深くまで考えさせりる物語でした。
震えました… 確かに自分が双子だったら、自分そっくりの相手の死相なんて見たくないですね… すごく引き込まれました!
ありそうなリアル感でゾクってした