ゆず
ゆず
ゆず
ゆず
一瞬で頭の中が真っ白になって 理解が追いつかない。 今、兄ちゃんはなんて言った?
竜胆
竜胆
直後にドアが勢いよく開いて、知らない先生と、いつもの先生と、看護師が3人程病室に入ってきた。
医者2
医者2
医者2
蘭
ぎゅっ っと兄貴が先生の手を握った。 その瞬間、病室に歓喜の声が響き渡った。 先生達は口々に 「奇跡だ」 「本当に良かった」 と言っている中、
俺だけが素直に喜べていなかった。
医者
そう言って先生は嬉しそうに微笑んだ。
竜胆
そう言って笑ってみせる。
竜胆
さっきの兄ちゃんの言葉が ずっと頭の中で繰り返す。 何も考えられなくて頭がぼーっとする。
医者
医者
竜胆
竜胆
何で?どうして兄ちゃんはあんな事言ったんだ? ずっと疑問しか浮かばなくて、 …いや、 兄ちゃんの言葉の意味、 本当は分かりきっているけど、 今の俺が現実と向き合ってしまったら…きっと正気じゃなくなる気しかしなくて怖い。
医者
医者
医者
先生が必死に俺を励まそうとするのが分かった。
竜胆
先生の手を借りて車椅子にのる。俺もだいぶ出来る事が増え始めた。
そして俺と先生は散歩に出かけた。
医者
竜胆
医者
竜胆
医者
竜胆
医者
竜胆
医者
医者
医者
竜胆
医者
医者
ふいに俺の目から水がポロポロと流れ落ちる。
竜胆
医者
そう言って先生はハンカチを渡してくれた。
竜胆
医者
医者
医者
先生は優しく微笑んでくれた。
竜胆
自分が情けなくて、みっともなく感じてしまった。 不安でいっぱいで、 もう兄ちゃんと話せなくなったらとか、 今までの2人の思い出を全部忘れてしまったのかもしれない と考えると寂しくて、 そう考えながら俺は病院に戻った。
そこからはただひたすらに辛かった。
竜胆
竜胆
蘭
蘭
蘭
何度も兄ちゃんの病室に行っては暴言を吐かれ、 最初は嬉しかった兄貴の声も、 いつの間にか 聞くのすら苦痛になっていた。 でも、俺は兄貴の弟だから どんなに辛くても、キツく当たられても、大切な大切な兄ちゃんだから。 やっぱり心配で、 毎日兄貴の病室に通っていた。 でも、とても生きた心地がしなかった。 俺が 俺があの時、兄貴を追って走っていなければ 兄貴も俺も事故に合うことは無かった筈なのに。 なんて、もう遅いと分かっていながらそればっかりをかんがえて、
竜胆
竜胆
そして俺は、寝ている兄貴の頬にそっとキスをして 病院の屋上へ向かった。
カッ…トン…カッ…トン… という音が、静かな廊下に響く。 不気味で、怖い。 最近は、リハビリのおかげで頑張れば階段を登れるようになった。 本当は痛いし、時間が掛かるからエレベーターで行きたいとこだが、 人目については困るから、痛いのを我慢して階段をひたすら登る。
竜胆
やっと屋上に着いた…、 俺は呼吸を整え、少し外を見てみた。 実はこの屋上からは中学校のグラウンドが見える。 元気に走り回る生徒。 今は丁度お昼時。 昼休みか… そうやってボーッとして、 しばらくして、俺は心の準備が出来たので、フェンスを乗り越え、 大きく息を吸って 手を離した。
竜胆
自分の体が、強い風に吹かれ、目を少ししか開けれない。 でも、地面が近ずいて居るのだけは分かった。 一瞬だった。 俺の体は地面に強く打ち付けられ、赤い液体が視界に広がる___
はずだった。 そう、はずだった。 脳内シュミレーションは完璧だった筈なのに、 俺がフェンスから手を離した瞬間、 だれかが俺の腕を全体重掛けて引っ張ってんじゃないかレベルの強い力で、引っ張った。
竜胆
引っ張った犯人の顔を見た瞬間間、死のうなんて気持ちは遠い彼方へふっとんだ。
蘭
…うん。ちょっと状況整理していい????
俺は死のうとしてフェンスから手を話したら、兄貴がその手を全力で引っ張ってる。
いや何でそもそも兄ちゃんがここにいんの??? え??寝てたよな?? それにまだ足完全に治ってねぇのにどうやってここまで??
…と、頭の中が混乱して固まっていたが、兄貴の後ろの方には車椅子が転がっている。 あ、そういやエレベーターあったな。 何て呑気に考えてたら、
蘭
竜胆
と、兄貴の必死すぎる顔に少し笑いそうになりながらフェンスを超えて内側に戻る。(呑気馬鹿)
蘭
竜胆
蘭
蘭
竜胆
竜胆
蘭
途端に俺の顔は燃えるぐらい暑くなった。 え、って事は俺が兄貴の頬にキスしたのもバレて…、??
蘭
そう言って兄貴は俺の腕を引っ張る。 ちょっと…ってか大分痛い。
それから俺らは兄貴の病室に戻った。
ゆず
ゆず
ゆず