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その日の放課後…

果歩ちゃーんっ!一緒に帰ろーっ!

圭くんが廊下から呼んでる。

果歩

うん…

と言って、ノロノロとカバンを持つ。

亜矢

いいの?

亜矢が心配そうに見る。

果歩

うん。今日は、助かるかも

亜矢

そっか

圭くんと並んで廊下を歩いた。

果歩ちゃん、今日は寄り道する?

果歩

うん…

どうしようかな。でも、ちょっと疲れちゃった。

やっぱり、今日はまっすぐ帰ろう!ね!

読まれちゃったかな

果歩

うん

圭くんは、ものすごく敏感に、 人の気持ちを読む人だ。 だから、とっても優しい。 また、駅でバイバイした。

1人で電車に乗って やっとホッとできた気がした。

モブ

慎吾、『ブサメンヒーロー』の4巻、買った?

サトルが片耳イヤホン外して言った。

慎吾

あ、まだ

モブ

買ったら貸せよな

慎吾

いつんなるか、わかんねーよ

モブ

珍しいな、もう出てるのに

慎吾

…最近忙しーんだよ

モブ

ふーん。まあ、頼むわ

慎吾

ああ

……

慎吾

瑞樹…は今日は補講かあ

亜矢

瑞樹がどうしたの?

慎吾

亜矢。 …さっきゴメンな

亜矢

慎吾、謝る相手が違うんじゃないの?

慎吾

…わかってるよ

亜矢

…ちゃんと謝りなさいよ。果歩、相当傷ついてたからね!

慎吾

うん。
でも、果歩、アイツと…

亜矢

お友だちと帰っただけでしょ?近所なんだから、帰ったら行けば?

慎吾

!…そっか。そうだな

亜矢

クスッ。そうよ

慎吾

あーじゃあ、タマには1人で買い物すっかな

亜矢

なになに?モノによっては付き合うわよ

慎吾

あ、マンガ。モールの本屋かな

亜矢

あー、行きたい!行こ!

慎吾

行こって?亜矢と?

亜矢

たまにはいーじゃない。新鮮でしょ?

慎吾

ま、まーいーけどよー

亜矢

じゃ、行こ!

亜矢に押されるようにして、 慎吾は廊下に出た。

……

なぜか、亜矢と隣駅のモールに来ている… 慎吾は、慣れない状況に戸惑った。

亜矢とは、果歩と3人ではよく話すけど、 2人でいると、どうしたらいいかわからない、ってとこだ。

すんなり『ブサメンヒーロー』4巻を買って本屋を出た

CDショップの前を通りかかる

慎吾

あ、試聴ブース空いてる

亜矢

聴いてきていいよ。アタシこっち見てるから

慎吾

悪りぃ。じゃ、ちょっと

2曲めが流れたとき、 不意に右のヘッドフォンだけ外された。

慎吾

おわっ?亜矢?

狭いブースに半身入れて、

亜矢

ね、アタシも聴きたい

慎吾

おいっ!近いよ!亜矢っ!

亜矢

ああ、ゴメン。なに聞いてるのかと思って

慎吾

ほら、貸すよ

慎吾は、左耳も外すと、 まるごとヘッドフォンを亜矢に手渡した。

亜矢

……サンキュー!

亜矢は笑ってそれを両耳にかけた。

慎吾

オレ、買って来っから

慎吾は平積みされてる新譜を1つ手に取ると、レジへ歩いて行った。

慎吾

亜矢は、何か買うのかー?

亜矢

ううん、今日はいいや

慎吾

そっか、じゃあ、行くか

CDショップを出て歩く。

亜矢

慎吾ー、アイス食べたい

慎吾

アイス?

亜矢

食べたい。行こっ!

亜矢は慎吾の腕を強引に取ると、アイスクリームショップに入って行った。

慎吾

うわっ、女子ばっか

亜矢

男子もいるじゃない、ほら、あそこ

慎吾

そうだけど…

亜矢

何にする?あたし、チョコチップ

慎吾

オ、オレは…レモンのやつ?

亜矢

レモンシャーベット?

慎吾

そー、それ。あんま甘くねーやつ

亜矢

…ふーん。

すいませーん!チョコチップとレモンシャーベット。どっちもシングルカップで

慎吾

…もうすぐ冬だっつーのに、オンナって、アイス好きだよなー

亜矢

あら、アイスは冬がオイシイのよ?

慎吾

そーいや、果歩もそんなこと言ってたな

亜矢

……

亜矢

慎吾は、ストロベリーじゃないんだ?

慎吾

あ?オレ?なんで?

亜矢

なんとなく。慎吾ストロベリー好きそう

慎吾

オレ、甘いの苦手なんだよ

亜矢

そうなの?意外ー。

だって、果歩が部活で作るケーキやクッキー、
バクバク食べてたじゃない?

慎吾

ああ、あれな。
果歩が作ったんだから、全部食べてやんなきゃだろ?

慎吾

それに、アイツちゃんと砂糖少なくして作ってくれんだよ。だから全部食えちゃうの

亜矢

………そうだったんだ……

《バコーン!》

亜矢は 乱暴にカップをゴミ箱に投げ捨てた。

慎吾

亜矢?

亜矢

慎吾、食べ終わった?

慎吾

ああ

亜矢

じゃあ次、行こう!

慎吾

え?まだあるの?

慎吾は亜矢に引っ張られるままに… 今度はゲーセンだ。

慎吾

亜矢?なに?ゲーム?

亜矢は黙って奥に進んでく。

慎吾

どこ行くの?亜矢?

亜矢

慎吾、プリクラ撮ろう!

慎吾

えーっっ!カンベンしてくれよ、そーゆーの!オレ、撮ったことねーし

亜矢

いーから入ってっ!

慎吾

うわ、アタマぶつかるって!

慎吾はギリギリで長身を屈めて ブースの中に入った。

亜矢

ほらっ、もうちょっとしゃがんで!慎吾、私と同じくらいまで!

亜矢が慎吾の首に手を掛けて引っ張る。

慎吾

え?なんだよ!

《ハイ、ポーズ》

《カシャッ カシャッ》

《サイゴノイチマーイ》

亜矢は腕にギュッと力を入れた。

慎吾

わーちょっと、なにす…

《カシャッ》

……

出てきたシールを、亜矢は器用にハサミで切り分けて

亜矢

ハイ、これ、慎吾の分

慎吾

い、いーよオレは

亜矢

一緒に撮ったんだから、記念に持ってて!

亜矢は強引に、慎吾のスクバのポケットに半分のプリクラをねじ込んだ。

亜矢

…ちゃんと果歩にゴメンなさいするのよ!

慎吾

あ、ああ

亜矢

今日はアリガト。じゃあね!バイバイ!

亜矢は慎吾を置いて、さっさと1人で帰ってしまった。

慎吾

なんだよ、亜矢?

ピンポーン♪

誰かきたよ、お母さん。

ピンポンピンポーン♪

あれ?いないのかな?

ピンポンピンポンピンポーン♪

宅急便かな? しょうがないなもー。

ハンコをもって玄関に向かう。

慎吾

果歩?いるー?

‼︎‼︎ ⁇ 慎吾??

少し迷ったけど、ドアを開けた。

慎吾

お、プーッッ!なんだ、そのカッコ!

はっっ!不覚! 家でくつろぐ定番スタイル。

『中学ジャージ』ネーム入り。 オバハンお団子ヘア付き。

果歩

な、なによッ!なんか用?

慎吾

クックックックッ…

慎吾の笑いが収まるまで、 少し待ってやった。

慎吾

いやー、いいモン見ちゃったなーwww

果歩

だから、何か用なのっ⁈

慎吾

あ、ゴメン、謝りに来たんだ

果歩

謝ってるように見えないんですけど?

慎吾は、急に真顔になって

慎吾

昼休みは、ゴメンなさいっ

と、頭を下げた。

そのアタマを、

《バシッ》

と一発、叩いた。

果歩

このボキャ貧が!慈悲深い果歩様は、許してやる

慎吾

…でもよー、やっぱり変だったんだぜ?あんな化粧した人形みてーな果歩は…

《ドスッ》

今度は、腹に一発。

慎吾

うっ!ゴメンなさいっ

果歩

まったくアンタは反省ってモンがないわけ?

慎吾

そのカッコで言われてもなー。ププッ

果歩

いいでしょっ!楽なんだから!

乙女として一生の不覚っ!

慎吾

でもさ、昼間の果歩より、今の果歩の方が、ずっとカワイイ!

ふくれる私の、おだんごアタマに 手を載せて慎吾が言った。

こら心臓!キュンキュンするなっ!

果歩

もーわかったからっ!
じゃーね!また明日っ!

《バタンッ》

ドア閉めちゃった。

夜、亜矢に 『慎吾が謝りに来たよ』 ってLINE入れたけど、返信は来なかった。

寝ちゃったのかな…明日また報告しよう

----------------

翌日

果歩

亜矢ー。昨日、LINEみたー?

亜矢

はぁい?あ、ゴメン、今朝みて

果歩

うん。で、そゆこと、です

亜矢

うんうん、よかったね!
無事、仲直りっ!

果歩

うん。
心配かけて、ゴメンね

亜矢

ううん、こっちこそ、
ムリやりゴメン!

果歩

髪型とか…いっぺんに、ヤリ過ぎちゃったね。
オトナになったとき、また、メイク教えて?

亜矢

うん。コドモの果歩に、ヤリ過ぎたね

果歩

あーもー!コドモ言うなー!

亜矢

コドモですよー 笑

これで、みんな、元どおり!

果歩ちゃーん!
一緒に帰ろー!

圭くんです。

もうみんな慣れたみたい。 教室もザワつかない。

でもなー…

果歩

あの、今日は先に帰って…?

…? 何かあるの?

果歩

あの、宿題が多くて

何の宿題?

果歩

え、英語?かな?

手伝うよ!僕、英語得意!

果歩

そ、そうなの?

うん、帰国子女だよ?僕

また教室がザワついた。

果歩

そうだったの?

そう。だから、手伝ってあげる。図書室行こう!

果歩

あー…はい

無邪気に毎日教室に来る圭くんだけど、 付き合う気もないのに… 正直 気が引けてて…

作戦失敗。

図書室に向かって2人で歩いた。

で、宿題どれ?

果歩

あ、これ

ふーん。……いーい?これはさー…

ケッコーわかりやすい。圭くん、アタマいいな。 2-Aか。特進に編入したんだ。さすがだね

これでわかった?

果歩

うん、すごくわかった!

本当は、少ししか無かった宿題は、 アッサリ片付いてしまった。

果歩

…帰国子女って、圭くん、どこの国にいたの?

……ロサンゼルスだよ。
アメリカ。

果歩

…ロサンゼルス?

うん。

果歩

ずっと?

ずっと。

ものすごいフラッシュバックが 襲ってきた。

私は、小学校に上がる前、3か月だけ、 親の都合でロスに住んだことがある。

行くって聞いたときは、 瑞樹と慎吾と離れるのがイヤで、さんざんダダをこねていた。

毎日不機嫌に幼稚園に行って、 怒ったり泣いたりして、 周りを困らせていた。

ある日、瑞樹と慎吾が家にやってきた。

果歩、これあげるから

と慎吾が差し出したのは、戦隊ヒーローのお年玉袋。

なーに?これ

開けてみな

瑞樹が言った。

袋を開けると、 中に折り畳んだ紙が入ってた。 さらに開けると、ハガキくらいの紙に

『つよいおまもり』 『あめりかで いちばんつよい』 『10000000000000000000000000000』

数字は紙の端から端まで書いてあった。

『だから かほわ だいじょうぶ』 『おれたちが ついてる』

これ、持ってれば大丈夫だから、な、瑞樹

そうだよ、大丈夫だよ、果歩

これ、すっげー強いんだぜ!

がんばって、字、書いたから

オレなんかゼロいっぱい書いたぜ!

慎吾は数字しか書いてないじゃないか!

しょうがないだろ!

だいじょうぶだ

私は 『つよいおまもり』 を持って、ロサンゼルスに 行くことにした。

----------------

果歩

圭くん、私も…小さい頃、
ロスにいたことあるの

…知ってるよ

圭くんの瞳が真っ直ぐ私を見た。

それが恋だとわかるまで

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