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一緒に…

第1話 - 一緒に…

2018年04月04日

#ホラー

#短編

雪尾

午前2時5分

瑞穂

藤太…

瑞穂

ごめん、起きてる？

藤太

起きてるよ〜ん♪

藤太

ってか、飲み会から帰るところw

瑞穂

あ、今日結構遅くなったんだね

藤太

先輩達の絡みから逃れられなくてさ💧

藤太

カラオケに向かう流れになったところで、こっそりタクシー呼んで駅まで乗ってきたw

藤太

今帰るところだけど、せっかく家近いから瑞穂のアパートに行っちゃおうかな❤️

瑞穂

ほんと？

瑞穂

嬉しい❤️

藤太

てか、どうしたの？

瑞穂

それがね、ちょっと1人じゃ怖くて…

藤太

怖いの？

藤太

一人暮らしには慣れてると思ってたけど、瑞穂かわいい❤️

瑞穂

一人暮らしには、慣れてるんだけど…

瑞穂

あのさ、

瑞穂

あたしの部屋2階だから、窓から近くの公園が見えるじゃん？

瑞穂

そこの公園の、ブランコが

瑞穂

勝手に揺れてるの…

藤太

え、まじ？

瑞穂

最近ちょっと暑いじゃない？

瑞穂

だから、窓をちょっとだけ開けて寝てるんだけど…

瑞穂

もう3日目なの…

瑞穂

ギー、ギー…って

瑞穂

ブランコが揺れる音で目が醒めるの…

瑞穂

もう怖くて怖くて…

藤太

公園でだれか遊んでんじゃね？

瑞穂

こんな時間に？

藤太

覗いてみれば？

瑞穂

やだ！

瑞穂

ブランコのある場所は、ベランダに出ないと見えないし…

瑞穂

誰かが遊んでたとしても、

瑞穂

あたしがベランダに出た拍子に、こっちに気づかれたらもっと怖い…！

藤太

瑞穂は怖がりだな〜❤️

藤太

じゃ、俺が公園を確かめてきてやるよ❤️

瑞穂

え

瑞穂

やめたほうがいいよ！公園側じゃない方の道から来て！

藤太

大丈夫だって❤️

瑞穂

藤太は酔って気が大きくなってるんだよ！

藤太

で〜も〜、原因は確かめたほうが瑞穂も安心するだろ？

瑞穂

それはそうだけど…

瑞穂

違うの藤太、藤太に何とかしてほしくてこの話したんじゃないの！

瑞穂

ただ一緒に居て欲しかっただけなの！

藤太

大丈夫、公園に寄ったらすぐ瑞穂のとこいくから❤️

藤太

もう公園着いちゃったし〜

瑞穂

え、え

瑞穂

ほんとに確かめなくていいから！

瑞穂

すぐに来て！

藤太

あ

藤太

ほんとにブランコ揺れてる！

瑞穂

え

藤太

でも、無人じゃないよ😄

藤太

女の子が遊んでる！

藤太

小学生くらいの

瑞穂

小学生…？

瑞穂

ひとりで、

瑞穂

こんな時間に？

藤太

そう

藤太

「お母さん待ってる」って言ってるだけだよ〜

瑞穂

話してるの？！

藤太

うん、寂しそうだったし😄

瑞穂

ねえ

瑞穂

藤太、酔ってるんだよ

瑞穂

今、もう真夜中の2時すぎだよ？

瑞穂

異常な状況だって気づいてよ！

藤太

全然大丈夫だよ〜🙆‍♂️

藤太

ちょっとこの子と遊んでから行くね❤️

瑞穂

は

瑞穂

え

瑞穂

ちょっと！

瑞穂

ねえ、お願いだからもうウチに来て！

藤太

う〜ん

藤太

この子がさあ、

藤太

「寂しいから一緒にいて」って言うんだよ

藤太

そうだ！

藤太

瑞穂もこっち来て、一緒に遊ぼうよ！

藤太

ベランダから覗いてみなよ、俺とこの子が見えるからさ👍

瑞穂

覗いてみなって…

瑞穂

藤太…

瑞穂

今、思い切ってベランダから覗いてみたよ…

藤太

俺らが見えたでしょ？

藤太

今、ブランコから靴投げ競争してる！

瑞穂

藤太…

瑞穂

あたしに見えたのは、

瑞穂

たった一人でブランコで遊ぶ

瑞穂

藤太の姿だけだったよ！

瑞穂

ねえ！

瑞穂

お願いだからその公園から出て！

瑞穂

頼むから！

藤太

またあたしを独りにしようとするんだね

瑞穂

え？

藤太

って、この子が言ってる

藤太

瑞穂

藤太

この子は独りぼっちなんだ

藤太

この子には俺が必要なんだよ

瑞穂

え、え

瑞穂

なに言ってるの…

藤太

だからごめん、瑞穂

藤太

もう瑞穂には会えない

藤太

俺はずっと、

藤太

ずっとずっとこの子と一緒にいる

瑞穂

とう、た

瑞穂

そんな

瑞穂

藤太を必要としてるのはあたしの方だよ！！

藤太

さよなら瑞穂

瑞穂

え

瑞穂

え、やだ

瑞穂

不在着信

瑞穂

不在着信

瑞穂

不在着信

瑞穂

不在着信

瑞穂

不在着信

瑞穂

藤太まって

瑞穂

いまからいくから

瑞穂

公園いくから

瑞穂

待ってよ…！！！

一週間後午前1時58分

春菜

ごめんね、こんな遅くに長々と愚痴なんか聞いてもらって

瑞穂

ううん、いいの

春菜

瑞穂も…

春菜

藤太君のこと、心配だよね…

春菜

行方不明になってからもう一週間だもんね…

瑞穂

手遅れだったんだ、あの時あたしがもっと早く公園に行っていれば…

春菜

公園？

春菜

そういえば、公園に藤太君のバッグがそのまま残ってたんだっけ…

春菜

無事だといいんだけど…

瑞穂

無事…

瑞穂

だといいけど、

瑞穂

もうダメだと思う

春菜

やっぱり、そう思うよね…

瑞穂

あたしはただ藤太に一緒に居て欲しかっただけなのに…

春菜

わかるよ、その気持ち…

瑞穂

でも、

瑞穂

聞こえるんだ

瑞穂

あれから毎晩

瑞穂

二台のブランコが揺れる音が

春菜

ブランコ？

瑞穂

ほら

瑞穂

聞こえてきた

瑞穂

藤太がいる

春菜

え？

春菜

見つけたの？

瑞穂

見えないけど、いる

春菜

瑞穂？

瑞穂

決めた

春菜

なにを？

瑞穂

覚悟はできた

春菜

どうしたの？

春菜

ねえ、大丈夫？

瑞穂

もう迷わない

瑞穂

待ってて藤太

瑞穂

今すぐ

瑞穂

行くから

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雪尾

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