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お母さん
お母さん
瞼を突き抜けるような眩しさに
のびやかな夏の目覚め、青い畳の匂い。
朝から母が私を起こすために一階から大きな声で呼んでいました。
お姉ちゃん
ああ…もうみんな起きてるんだ。
きっとこの眠りの心地よさについつい寝過ごしたんだな…
小学生の私は夏休みのこのまどろんだ休みの時間が大好きだった。
お父さん
お姉ちゃん
お母さん
お姉ちゃん
穏やかでワイワイと楽しそうな声が響き、私も早く起きなきゃ!とはやる気持ちだった。
お母さん
愛海
並んだ布団を踏み渡り、私は勢いよく階段を降りようと手すりに手を掛けた。
その瞬間だった。
愛海
愛海
そう。ここは私の
昔住んでいた家。
まだ家族が離婚してなかった頃の
一番、楽しかった頃の…
と気付いてしまったんです。
お母さん
母が急かす声に私は行きたい気持ちをぐっと抑えていた。
なぜならまた
ここが夢の中で
「現実の私が今、眠ったまま階段の前にいるような気がしていたから。」
夢遊病のように身体が動き、現実の私も今、二階の階段の前に立っている気がしていた。
お姉ちゃん
お母さん
お父さん
下の階ではがやがやと賑やかに幸せそうな会話が聞こえるました。
いつもなら
階段を駆け下り、いつもの好きな番組を見て、
くだらない話とお姉ちゃんとのゲーム。お母さんの美味しいご飯。
お父さんに釣りに連れて行ってもらったり、友達の家へ遊びに行ったり…
そこで思うのが、
「このまま階段を降りたなら」
「私も幸せだった頃に戻れるの?」
現実の私が階段から落ちて
死んで
あの幸せな頃に戻れるの?
「死」
ふと我に帰ると
"死"という目の前に置かれた状況が眼に浮かぶ。
お姉ちゃん
お母さん
お父さん
行きたいよ…そっちに…
行ってそのまどろんだ日をずっと過ごしていたいよ…
でも…
死にたくない!
死にたくない!死にたくない!
転げ落ちて死ぬの?
首折って死ぬの?
やだ!そんなの怖い!
やだ!やだ!助けて!
死にたくないの!死にたくない!
早く!早く現実に戻して!!
私は振り返り布団の並んだ部屋へ戻る
どうにかこの夢を抜け出せないものか
何かないものかと、棚や引き出し、鞄
を荒らすように探しはじめた。
愛海
そこに見つけたのは携帯電話。
もしかすれば現実のだれかと連絡が取れるかも…!!
そして私はおもむろに母親へと電話をかけた。
愛海
愛海
愛海
愛海
愛海
私は甘えっ子なのかもしれない。
泣いてでも、すがってでも
助かりたかったんだ…
愛海
蒸し暑い夏の日だったからかな。
こんな夢を見るなんて…
お昼12時を過ぎたこのくそ蒸し暑い夏
なんで目覚めてこんな悲しい気持ちになるんだろうか…
私はきっと、
戻りたかった。
あの時階段を降りていれば
私は、、
幸せになれていたのかな?