宏樹
ほんとにこんな山道が近道なのか
達矢
心配するなよ
達矢
俺に任せておけって
宏樹
まあ送り届けてもらえるだけありがたいけどさ笑
達矢
感謝しろよ
達矢
俺の運転も中々だろう
宏樹
ひとまず安全運転で安心した笑
宏樹
こういう夜道を走るのはやっぱり怖いんだろうな
達矢
まー怖いわな
達矢
仕事から帰るときはほぼこんな感じだから少しは慣れてきたがな
宏樹
なにか出てきそうな雰囲気だもんね
達矢
そういうの苦手だろお前笑
宏樹
まあね笑
数分後
達矢
なんだあれ
宏樹
え
達矢
木の枝になにかぶら下がってないか
宏樹
ほんとだ
宏樹
なんだろう
達矢
…ちょっと待ってくれよ
達矢
首吊り自殺じゃないかあれ
宏樹
く、首吊り…
宏樹
人なのか
達矢
分からん
達矢
もう少し近付いてライトで照らしてみよう
達矢
達矢
なんてこった
達矢
ありゃただのマネキンだよ笑
宏樹
マ、マネキン…
達矢
マネキンが首括ってやがる笑
宏樹
人じゃないのか
宏樹
よかった…笑
宏樹
悪質なイタズラをするやつがいるんだなあ
達矢
安心したようながっかりしたような
宏樹
がっかりするなよ
達矢
見ろよあのマネキン
達矢
腕と脚の筋肉はあるのに腹周りはだぶだぶだぜ
達矢
どういう作りしてんだよ笑
宏樹
どうでもいいよ
達矢
けど比較的新品だな
達矢
イタズラされたにしては何処も汚れた様子もない
達矢
それにしてもマジで笑える笑
宏樹
どうでもいいって
宏樹
気味が悪いしさっさと帰ろうよ
達矢
へいへい
翌日
達矢
おい
達矢
わざわざ警察に電話しなくてもいいだろ
宏樹
たちの悪いイタズラに変わりはないし
宏樹
原田の伯父さんが丁度管轄内だから調べてくるって言ってくれたし
宏樹
念の為お願いしておいたんだよ
達矢
そういえばおじさん刑事だったな
達矢
たかがマネキンに大袈裟な気もするがなあ
宏樹
お願いするに越したことはないだろ
宏樹
とにかく一安心だよ
その日の夜
原田
やれやれ
原田
世の中には気持ちの悪いことをするやつがいるもんなんだなあ
宏樹
変なことお願いして御免よ
原田
構わんさ
原田
今じゃ笑い話で収まってるからな笑
宏樹
あのマネキンどうなったの?
原田
ひとまず署で一時的に保管することになった
原田
次のイタズラが起きたときの証拠品としてね
原田
さぞ驚いたろう笑
宏樹
深夜の山道に宙吊り状態で見付けたんだからね
宏樹
人間じゃないと分かったら友達の達矢と笑っちゃったよ笑
原田
笑ったのか
原田
キレたマネキンに笑うとは度胸があるじゃないか笑
宏樹
…え
原田
マネキンをしっかり見たんだろう
原田
だから笑ったんじゃないのか
宏樹
どういう意味だよ
原田
だからマネキンの腹に
原田
「オレヲワラウナ」
原田
そう大きく殴り書きがあったのに笑う余裕があったんだなと言ってるんだよ
2018.02.04 作