貴方に出会った日も
叶わない恋だと悟った日も
こんな風に雨が降っていた。
花澤紫乃
花澤紫乃
陽介
花澤紫乃
陽介
花澤紫乃
陽介
花澤紫乃
陽介
陽介
花澤紫乃
花澤紫乃
花澤紫乃
陽介
花澤紫乃
花澤紫乃
花澤紫乃
陽介
花澤紫乃
その男子生徒___上ぐつの色を見るに恐らく1年___はやたら細かいことに口うるさかった。
2年の私に対し敬語こそ使っているが、敬意はあまり見受けられない。
なんか生意気な後輩。 抱いた印象がこれだけだったら、どんなに良かっただろう。
陽介
花澤紫乃
陽介
花澤紫乃
陽介
花澤紫乃
陽介
漢字が壊滅的に駄目なこととか、 その照れ笑いとか、
陽介
陽介
陽介
花澤紫乃
花澤紫乃
変なところで鋭いこととか、 その無邪気な笑顔とか、
とか、 とか、 とか、
日を重ねるごとに知ってしまう、貴方の一面
そんなことで笑うんだ そんな風に笑うんだ って知る度に得した気分になっちゃって。
胸が高鳴っちゃって。
花澤紫乃
陽介
陽介
陽介
花澤紫乃
陽介
また貴方の一面を知っていく。
ほらまた胸が高鳴る。
雨に夢中だから、私が今不自然に顔を赤くしていることを貴方は知らない。
雨音が跳ねた鼓動をかき消すから、貴方は気づかない。
貴方は知らない。
「本当に2人だけになれたら…」と私が一瞬でも本気で思ったことを。
私は知らない。
この気持ちを「恋」以外にどう名付けるのかを。
中庭の紫陽花はピークを迎えていた。
今日も今日とて部室には貴方と私しか居ない____
と思っていた。
結衣
その女性は上ぐつの色から恐らく3年生。
私が名乗る前に、貴方が嬉しそうに それはもう嬉しそうに顔をほころばせた。
陽介
陽介
花澤紫乃
結衣
結衣
陽介
結衣
朗らかな笑み。物腰。偉ぶらない態度。 初対面の私でも抱く確かな好印象。
きっと同じ空間を共にしたら眩しく見えるんだと思う。
結衣
陽介
結衣
陽介
陽介
とても楽しそうな、嬉しそうな
紅に染まった貴方の顔。
察した。
私には充分すぎた。
ああ貴方も
私と同じように恋してるのね。
その顔が、その瞳が 私に向けられることはないのね
もう少し鈍感だったなら。
叶わない恋だと気づかなければ… この気持ちが恋だと気づかなければ…
なにもかも
知らぬが仏
辛すぎる
陽介
花澤紫乃
思いの他素っ気なく、冷たい声が出た。
貴方も一瞬口をつぐんだけど、弁明する気にもならない。
しょうがないでしょ。
屈託のない貴方の笑顔を見たら、泣きそうになるんだもん。
それでも少し声が震えていたのかもしれない。 珍しく貴方が少し心配そうな顔を見せた。
陽介
陽介
花澤紫乃
顔を背けて早口で言った。 ヤケになっていた。
だけど貴方の口から出たのは 気休めにもならないテンプレ通りの慰めではなかった。
陽介
花澤紫乃
陽介
陽介
陽介
陽介
陽介
陽介
陽介
陽介
陽介
今日は小雨。 部室の窓を流れる雫は数えるほどしかない。
それらを眺めて話を聞いていると、私の頬に雫が流れた。
今の話は、フラれたことを再確認させられる。
それでも「ずっと好きでいる」と言う貴方の言葉が頭の中で優しく響いた。
なら 私も…… と開き直ることも間違いじゃない?
暦上では紫陽花の季節はもうすぐ終わり。
だけど雨が降ったら紫陽花はまた綺麗に咲くのだろうか
知らなければ良かったと、本気で思った。
だけど知ったら知ったで それはまぁ……悪くはないかな って感じ。
損だね。また後で辛くなるよ。 だけど好きだから。
天文部は晴れの日は真面目に活動している。
だけど今みたいに雨が降ったら部室に居るのは貴方だけ。 私は催促に向かう。
梅雨は終わったけど
明日も雨が降って欲しい なんて思ってしまう。
コメント
9件
非リア弟さん! コンテストへのご参加ありがとうございます🙌🏻 個人的に知らぬが仏はホラーが多いかなと思っていたこともあって、こんな甘酸っぱい恋愛でご参加いただけたことに感動してしまいました…😭 しかもその使われ方が切なくて…! 鈍感であれたならどんなに良いか、知らぬが仏。心が痛くも本当に素敵です…✨
トテモスキデス( ˇωˇ )