くろ
……あったかい
ふわふわと漂う、メイの優しい匂い。
─今俺は、メイの私有物に囲まれている。
くろ
(…しあわせ)
緩いパーカーの下は昨日のおかげで特に何も着ていない。
下着着ればよかった。くすぐったい。
くろ
…ぬいぐるみと
くろ
パーカーと…
くろ
毛布…と枕…
くろ
全部、メイの…
自分でやったのに、何故か顔が熱くなってしまう。
─まあ今あの人向こうでなんかしてるしいいだろう。
そう思って、ぎゅうっと枕を抱きしめ、顔を埋めた。
くろ
…いい匂い
くろ
(好き…)
その後は、昨日したばかりのことについて妄想しながら、
ずっと呼吸を意識していた。
なんだか、いつもの空気じゃないみたいで。
甘くても嫌いじゃない、大好きな匂いがしたんだ。
めい
なっ……
くろ
……んん…
何このラッキースケベ。
何をしていらっしゃるのか1周回って意味がわからないが、
とりあえず目の保養なのはよくわかる。
めい
…ええ
めい
やば…
めい
(…騒いだら起こしちゃうよね)
とりあえず写真を撮ろうか。
すぐさまスマホを取り出し、シャッターを押した。
めい
…待ち受けにしたろ
めい
ふふ、かわいいねえ…
なんだかすごく愛おしくて、
僕はその少し赤い頬にキスをした。
─キスをされた。
その1秒後、目を覚ます。
くろ
…え、
くろ
……メイ、!?
めい
起きた?
めい
朝ごはんできたよ。
めい
…朝から何誘ってんの?
くろ
違う、その、これは……
めい
寂しかったの?
くろ
違う…
くろ
……妄想
俺がぽそりと口にした言葉を、メイは聞き取ってしまった。
メイはにやにやと笑いながらこちらを見てくる。
めい
……へ~???
めい
本人ここにいるのに妄想ですか~?
くろ
いいだろ別に…
くろ
起きたら急にいなくなったメイが悪い
めい
……妬かせてくれるね
腕を掴まれる。
優しく丁寧に、押し倒された。
めい
……昨日は寝ちゃったもんね
めい
続き、する?
くろ
……へ…
くろ
……絶ッ対嫌
めい
え
くろ
…痛い…
めい
ごめん…
fin