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ふいね
ふいね
ふいね
あの日から、三年が経った。
王都は今日も平和だった。
結界は強く、魔物も寄りつかない。
国は繁栄し、人々は笑って暮らしている。
誰もが言う。
『守護魔法士まろのおかげだ』と。
王城の地下。
巨大な氷の柱がそこにある。
その中心には、一人の青年が眠っていた。
永遠の封印。
国の礎。
氷の中で、まろは静かに眠っている。
そして――
その氷の前に、一人の青年が立っていた。
ないこだった。
ないこ
静かな声。
地下は冷たく、息が白くなる。
ないこはゆっくりと氷に触れた。
ないこ
ないこ
返事はない。
当たり前だ。
まろは眠ったままだから。
ないこは笑う。
ないこ
ないこ
小さな鉢植えを置く。
白い花。
昔、丘で咲かせた花と同じだった。
ないこ
ないこ
氷の中には、同じ花が閉じ込められている。
三年前のままの形で。
ないこはそれを見つめた。
ないこ
ないこ
声が少し震える。
ないこ
静かな地下に響く。
ないこ
ないこ
ないこは笑う。
でも目は笑っていない。
ないこ
沈黙。
冷たい空気。
ないこはゆっくりと息を吐いた。
そして――
氷を見上げる。
ないこ
ないこ
ないこはポケットから指輪を取り出す。
三年前の婚約指輪。
ないこ
ないこ
『英雄になった』
『国を守った』
そんな言葉。
ないこは全部否定した。
ないこ
ないこ
ないこ
ないこは笑った。
ないこ
三年前の一日。
あのデート。
あの丘。
全部思い出す。
ないこ
ないこ
地下に、ないこの声だけが響く。
ないこは氷に額をつけた。
ないこ
ないこ
静かな言葉。
ないこ
ないこ
しばらく沈黙が続く。
そして――
ないこはゆっくり立ち上がった。
ないこ
ないこ
氷は動かない。
ないこは手を前に出す。
淡い緑の光が、指先に灯る。
植物魔法。
でも――
その魔力は、いつもより遥かに強かった。
地下の空気が揺れる。
床の隙間から芽が出る。
次の瞬間。
無数の蔓が広がった。
王城地下の床を突き破り、巨大な根が伸びる。
魔導士
守衛
魔導士
地下が揺れる。
蔓は氷の柱を取り囲んだ。
ないこは静かに言う。
ないこ
ないこ
ないこ
守衛
魔導士
ないこは振り向かない。
ないこ
氷を見つめる。
ないこ
ないこ
ないこ
魔力がさらに膨れ上がる。
花が咲く。
無数の花。
地下を埋め尽くすほどの花。
魔導士
守衛
ないこは静かに言った。
ないこ
ないこ
蔓が氷に絡みつく。
そして、ゆっくりと締め付ける。
ないこ
ないこ
ないこ
ないこ
ないこ
ないこの目が光る。
蔓が氷を圧迫する。
ひびが入る。
魔導士
魔導士
ないこは静かに続けた。
ないこ
ないこ
ないこ
蔓がさらに締める。
氷が砕け始める。
ないこ
巨大な花が咲く。
鋭い花弁。
まるで刃のような花。
ないこ
ないこ
花の魔力が爆発する
ないこ
花が咲き誇り、魂を解き放つ魔法。
次の瞬間――
花が氷を斬り裂いた。
轟音。
巨大な氷柱が崩れる。
魔導士
地下が震える。
しかし。
崩れない。
結界はまだ存在していた。
魔導士
花の根が、結界の魔法陣に絡んでいた。
ないこが魔力で支えている。
植物魔法で。
国の礎を。
ないこ
氷が砕ける。
中から、人が落ちる。
ないこはその体を抱き止めた。
まろだった。
まろ
まろはゆっくり目を開ける。
まろ
ないこ
まろはぼんやりとないこを見る。
まろ
ないこ
まろ
まろはしばらく黙る。
それから言った。
まろ
ないこ
まろ
ないこはため息をついた。
ないこ
まろ
ないこ
まろは目を逸らす。
まろ
ないこは少し笑った。
ないこ
ないこ
まろ
ないこ
まろは驚いた顔をする。
まろ
ないこ
ないこ
ないこはまろの手を握る。
ないこ
まろ
ないこ
まろは少し笑った。
まろ
ないこ
地下には花が咲き続けている。
結界は、植物魔法によって安定していた。
魔導士たちは呆然としている。
まろはそれを見て言った。
まろ
ないこ
まろ
ないこは笑った。
ないこ
ないこ
ないこ
まろ
ないこは言う。
ないこ
ないこ
ないこ
まろは少し照れたように笑う。
まろ
まろ
ないこ
まろ
ないこ
まろ
まろ
ないこは笑った。
ないこ
二人は手を繋ぐ。
花が舞う。
王都の結界は、今日も守られている。
氷ではなく――
花によって。
そして。
二人によって。
ふいね
ふいね
ふいね
ふいね