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コンソメパン
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コメント
1件
読み終えました…じわじわくる、怖い話でしたね。 最初の取り立てのシーン、辰三さんが「直接的な脅しを一切言わない」のにじわじわ追い詰める感じが、読んでいて息が詰まるようでした。あの後、ラーメン屋で「同じ境遇」だからと透に優しくするのが、すごく巧妙で…本音なのか計算なのか、読者にも透にも分からなくなる描き方が巧いです。 そして回収された後の「金ちょうだいよ?」の切り替わりのギャップ、ゾッとしましたね…。仲間の前で立場を守るために8万を飲まざるを得ない透の心情が痛いほど伝わってきました。この先どうなるのか、続きが気になります🤍
電話で呼ばれた透は辰三が運転している車の助手席に乗っていた
車内には微かに煙草の匂いが染み付いていた
辰三
鎚水 透
辰三
鎚水 透
辰三
辰三
鎚水 透
辰三
辰三
辰三はハンドルを握りながら、軽い調子で言った
鎚水 透
エンジン音を響かせ、車は昼の道を走り出した
車内は意外なくらい世間話で埋まっていた
そうしていると、車は古びた集合住宅がぽつぽつと建ち並んだ住宅地の奥へと入っていく
辰三
鎚水 透
ギィッ
築何十年か分からない、古い団地の一棟の前に車は停まり、車のドアを開ける
外階段は錆びついていて、踏む度にギシギシと軋む音がする
蒸し暑い空気の中、何処かの部屋からテレビの音が漏れ聞こえてきたり、油の焦げるような匂いがしてくる
辰三
先を歩く辰三に透はついて行った
足元には誰かが放置したままの空き缶が転がっている
透は少し後ろに下がって、辰三の斜め後ろに立った
コンコン
カチャ
ゆっくりとドアが開くと、出てきたのは痩せこけた中年の男だった
無精髭が伸び放題で、頬はこけ、目の下には隈があった
加えて、着古したタンクトップは襟のあたりが黄ばんでいる
男の目が辰三の顔を認識した瞬間・・・
サーッ
中年男
血の気が引くのがはっきりと分かった
ドアノブを握る手が小刻みに震えている
辰三
透は辰三の横顔をじっと見つめた
知っているはずの笑顔なのに、別人の様に見えた
中年男
辰三
そう言いながら、辰三は自然な動きでドアフレームに手をかけた
辰三
中年男
辰三
辰三
中年男
辰三
辰三
辰三
中年男
直接的な脅し文句は一つも出ていないのにもかかわらず、じわじわと首を絞められるような感覚が透にはあった
辰三
辰三
中年男
辰三
辰三
辰三
中年男
中年男
中年男
中年男
辰三
コンコンッ コンッ
奥から誰かが咳き込む声が聞こえた
中年男
男はビクッとして振り返り・・・
そのまま、ドアの隙間から漏れる部屋の奥を庇うように半身になった
鎚水 透
その咳の音が透の耳にやけに生々しく残った
中年男
中年男
辰三
中年男
ガクッ
男がその場に崩れるように膝をついた
辰三
軽い調子でそう言いながら、辰三は男の肩に手を置いた
辰三
不意に辰三が振り返って透を見た
辰三
鎚水 透
鎚水 透
男の視線が初めて透の方に向いた
助けを求めるような、それでいて、もう何も期待していない目を男はしている
鎚水 透
中年男
鎚水 透
辰三
辰三
中年男
バタン
辰三
鎚水 透
辰三
鎚水 透
ブロロロロッ
辰三
辰三は鼻歌交じりにラジオの選局をいじった
窓から見える景色を見つめながら、透は膝の上で拳を握ったり開いたりを繰り返した
ガラガラッ
引き戸を開けて、2人はいつもの調子で店に入っていく
古びた暖簾、蛍光灯の下で少し黄ばんだメニュー表がその店にはあった
カウンターには、長年の油が染み込んだような艶がある
店主
辰三
店主
辰三は慣れた様子でカウンター席に腰を下ろし、透は促されるまま隣に座った
湯気の立つ豚骨ラーメンが目の前に置かれる
辰三
鎚水 透
しばらくの間、無言で麺を啜る音だけが続いた
辰三
鎚水 透
辰三
鎚水 透
鎚水 透
鎚水 透
辰三
辰三は短く相槌を打って、レンゲを置いた
辰三
鎚水 透
辰三
辰三
鎚水 透
辰三
辰三
淡々とした口調でそう言うも、その奥に何か本物の重さがあるように透は感じた
辰三
辰三
辰三
鎚水 透
鎚水 透
鎚水 透
鎚水 透
辰三
辰三
鎚水 透
辰三
鎚水 透
一瞬、脳裏をよぎりかけた恐ろしい光景を透は無意識に振り払った
替え玉の麺が丼に投入される
湯気が透の視界を一瞬曇らせた
あの日からしばらく経った頃
突如、辰三から電話が来たことを透は知る
辰三
辰三
鎚水 透
鎚水 透
透は指定された場所に向かうと辰三は車に寄りかかって待っていた
辰三
透は財布から札を取り出して渡した
鎚水 透
辰三
辰三
鎚水 透
辰三
それから、しばらく経って…
辰三
差し出されたのは、テープでぐるぐる巻きにされた、ずっしりと重みのある紙袋だった
鎚水 透
辰三
辰三
鎚水 透
辰三
辰三
中は見るなよ?
鎚水 透
その夜、透は自分の部屋の隅に、その紙袋を置いた
鎚水 透
鎚水 透
透はじっと袋を見つめた
開けてみようかと気持ちが生じ、何度も手が伸びかけたが、結局開けることは無かった
鎚水 透
4日後、辰三から連絡が来て、袋は回収されていった
仲間1
仲間1
仲間1
鎚水 透
鎚水 透
仲間2
仲間3
鎚水 透
鎚水 透
仲間1
軽い笑い声が起こり、透もそれに合わせてニヤッと笑った
透は内心、少し誇らしかった
キィイイ…
聞いたことのあるエンジン音が聞こえてきた
鎚水 透
仲間2
砂利を踏む音を立てながら、一台の車が駐車スペースの端に停まった
仲間3
鎚水 透
鎚水 透
ガチャ
運転席のドアが開いて、辰三が降りてくる
辰三
鎚水 透
仲間3
鎚水 透
言葉を濁して、透は仲間たちと辰三の間に視線を行き来させた
鎚水 透
辰三
辰三
軽い調子で、辰三は仲間たちに笑いかけた
仲間たちは特に警戒する様子もなく、軽く頷いた
仲間2
鎚水 透
透は辰三の車の傍まで少し歩いた
仲間たちの声が少しずつ遠くなっていくが、それでも視線の届く距離だった
鎚水 透
透には背中に感じる視線がやけに重く感じられた
辰三
辰三の声のトーンがすっと変わる
飄々とした空気が消えて、底冷えするような目に変貌した
辰三
鎚水 透
事実、袋が回収された日から今日に至るまで、辰三からの金銭要求の回数、それに伴う額も立て続けに増えていった
辰三
鎚水 透
辰三
鎚水 透
鎚水 透
鎚水 透
鎚水 透
鎚水 透
鎚水 透
鎚水 透
鎚水 透
鎚水 透
鎚水 透
俺には、もう…それしかねえのに
辰三
鎚水 透
鎚水 透
鎚水 透
辰三
辰三
鎚水 透
辰三
辰三
2人で仲間たちの所へ戻った
辰三
辰三
辰三
軽く笑いながら、辰三は透の肩をポンと叩いた
仲間1
鎚水 透
いつも通りの調子で軽口を返しながら、透は内心、酷く落ち着かなかった
辰三
ブロロロロッ
エンジン音が遠ざかっていくのを透は 無言で見送った
仲間3
鎚水 透
仲間3
鎚水 透
鎚水 透
仲間3
仲間1
鎚水 透
軽く笑って誤魔化しながら、透は自分の声が他人事みたいに聞こえるのを感じた