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これは
親族が死んだ日に見る夢の話
と言っても、見たことがあるのはたったの2回だけ。
だから私が気づいたのは2回目の、 私の祖父の死を知らされた後だった。
夢の始まりはいつも一緒
私の家。
正確には前の家だが、その夢を最後に見たのはその家だった。
そしてその家には、 私の父、母、祖父と祖母がいる。 だけど、だけど違う。
それは"本当"じゃなくて、 見てわかるはずなのに、それでも 私は揺らいでいた
その後知らない人達が大勢攻めてきて
私以外の家族を殺した。
その後焦点が変わり、 向こう側に誰かがいることに気づいた
何故だかは分からないけど
私はそいつが憎くてたまらなかった
知らない奴なのに
そいつが私の家族を殺した訳じゃないのに
そもそも
本当に私の家族だったのかも
自分で分かっていないくせに
そいつが私の存在に気づくのは 私がそいつに気づいた後で、
私に気づいたそいつは愛おしそうに 私を見つめる
意味が分からない
そもそも誰かも分からない
一度目、初めてその夢を見たのは
曾祖母が死んだ日だった。
私の住んでいた家は 私が祖父っ子だった為に
祖父の家の近くだった
近所の家や
朝顔の植物プランター
それらがあまりにもリアルで
それなのに夢とわかる
その感じが、小学生の私には どう捉えていいか分からなかった
夢を見ていると、
よく急に場面転換することがある
気づいた時には祖父の家の前にいて
"そいつ"についてこいと いわれたところで目が覚めた。
目が覚めて、
変な気分になりながらも、2階で起きた私の目に映るベランダからの光は
私に朝を告げた
その日は曾祖母のお見舞いだった
会うと必ず手を握る曾祖母
いつも通りだった
その日
私と母が帰った後に
曾祖母は亡くなった
二度目。
二度目は祖父が死んだ時だった。
膵臓癌になってしまった祖父
入院して直ぐは元気に見えたのに
会いに行く回数が増える度
祖父の元気も減っていった
最終日
私は祖父とよく一緒に歌っていた歌を歌った
病院の為大きな声ではないが
その時既に
祖父は殆ど話せない状態で
話すにしても苦しそうだった
それなのに、
私が歌っていたら
目も開けていない祖父が声を出した
母も私もびっくりして、
たった数秒
たった数秒の出来事だったのに
私も母も涙が止まらなかった
もう時間も遅く、
病院には母が付きっきりで残ることになった
なにも言えなかった
私が祖父っ子とはいえ、 母からしたら実の父が危ない状態なのだから
家についたときのことは覚えていない
いつの間にか寝ていた
泣いて
泣いて
夢を見た
またこの夢
悪い予感がした
当たってなければとずっと思って
その夢に入っていった
一度目の終わりから始まった
私はついて行く素振りをして
こいつが背を向けた瞬間に
何故か手に持っていたナイフを向けた
気づいたら私はそいつの腕の中だった
そいつは正面から私を受け止めて
私はそいつを刺して、抱きしめられて
目が覚めた。
目が覚める直前
そいつは笑顔で何か言っていた
どうして笑顔で、何か言っていたと分かるのだろうか
聞こえないのに
見えないのに
忘れた頃にやって来るというもので
目が覚めてほんの少し間をとって
まるでタイミングを合わせたように
家にいた父の
「じぃじ亡くなったって」
という言葉が耳に入った
自分でも恐ろしい程に
動揺はしなかった
泣いたのは、祖父の葬式の際
葬式が終わった後は
恐ろしい程に"普通"だった
母の従兄弟に
「日和ちゃんは思ったより大丈夫そうだね」
そう言われたほどには
私はそれについてなにも言えなかった
祖父がいることが当たり前だったから
今の現状を受け入れられてないから
そして
なんとなくそんな予感がしてたから
まあ、
そんな事言えなかったけど
最初は
親族が死んだら見ると思っていた夢
でも今年
会ったこともないのに親族が死んだ
父方の祖父で、
私達とは縁を切っていたから
葬式で初めて顔を見た
その日
夢は見なかった
夢に出てくるそいつは
背が高くて、真っ黒な格好をしている
帽子をかぶっていて
コートを着ていて
さっきも言ったけど、
顔は
見えなかった
この夢を見た話を、父方の祖父が死んだ後に初めて話した
最初に話したのは
同じクラスの同級生だった
母に
最初に言う勇気がなかったからだ
そして同級生には
「ついて行ってみたらよかったのに」
そう言われた
(確かに)
ついて行ったら、どこにつくんだろう
ついて行ってみたいと
そう思った。
でもそれは
親族の死を望む言葉。
ついて行ったら、
もしかしたら何か変わったのかもしれない
だけどそんなことに気づく程、
私には余裕がなかった
あんなやつ嫌いだ
こんなことを言わせるあいつが
嫌いで、
憎らしくて、
たまらない。
日和
日和
日和
日和
日和
日和
日和
日和