ジョングク
…おじゃましまーす
テヒョン
どーぞ入って入って
次の日、身なりを整えて久しぶりに大学に行き、帰りに早速テヒョンさん家に向かった。
ヒョンの居場所が分かったからか心は軽く、久々に生きている心地がした。
ジミン
あ!君、昨日の!
テヒョン
ん、俺の後輩のチョンジョングクね
ジョングク
ど、どうも…
テヒョンさんはヒョンに配慮して、僕の事を後輩だと説明してくれる。
いきなり僕が恋人だと言ったって信じられないだろうし、相手が男だなんてなおさら傷つくだろう。
僕としても、そんなヒョンは見たくなかった。
ジミン
テヒョンの知り合いだったんだね
ジミン
ってことはもしかして、僕が忘れてるだけで会ったことある?
ジョングク
えっ、あ、はい
ジミン
そうだったんだ。ごめんね昨日は分かんなくて…
ヒョンは眉尻を下げて謝ってくれる。
ジョングク
いえっ、ひょ、、じゃなくて、ジミンさんのせいじゃないですから
ジョングク
気になさらないでください
ジミン
んふふㅎㅎ
ジミン
ありがと、優しいんだね、グク君
ジョングク
あ、はは…
嬉しい言葉なのに、心境は複雑で、笑って誤魔化した。
その後は、テヒョンさんに勉強を教えてもらうふりをしながら、その合間合間に、ちょっとずつヒョンとの距離を縮めようとした。
でも、思うように話題も振れず、本当にただの勉強会になりかけた時、
テヒョン
ちょっくら行ってくるわー
と、テヒョンさんが急に席を外した。
ジョングク
え、どこに、
テヒョン
あー、バイト
テヒョン
ってことで、2人とも仲良くな~
ジョングク
ちょ、ちょっと、テヒョンさん?!
止める間もなく家を出て行ってしまう。
ジミン
いってらっしゃーい
ジョングク
(どうしろってんだ…)
……
重苦しい沈黙が流れる。
ヒョンからしたらそんなことないのだと思うけど。
ジョングク
…
ジミン
ねぇねぇグク君
ジョングク
っっ、はいっ?
ジミン
僕らってどんくらい仲良かったの?
ジョングク
へ、、?
ジミン
昨日、相当ショック受けてたから…
ジミン
そんなに親しかったのかなって、
ジョングク
(そういうことか、)
僕が泣いたから、ヒョンなりに気にかけてくれてたんだろう。
ジョングク
…ご飯いったり、遊びに行ったりはしょっちゅう、、。
ジミン
えっ、そんなに?
ジョングク
週2以上は行ってました、ね
ジョングク
ジミンさんとは感性が似てるのか、趣味も好みも合って…
ジョングク
一緒にいて、楽しいんです
そこまで素直に言ってから、はっとする。
ジョングク
(今は知り合いの知り合い、ぐらいのポジだったっけ…)
ジョングク
もっ、もちろんテヒョンさんも居て3人で、ですけどね?
嘘を慌てて付け加えた。
ジョングク
(変なこと言って万が一、気持ち悪がられたら嫌だし。)
ジミン
そんな風に思ってくれてたんだ、ごめんね…。
ジミン
なんでだろ、ほんとに何も思い出せないんだ…
そう言ってヒョンは、頭──恐らく怪我したであろう箇所をさすった。
ジミン
頭打っただけでここまで記憶が飛ぶことって、なかなか無いんだって。
ジミン
お医者さんは、何か大きいストレスが溜まってたんじゃないかって言うんだけど…
ジョングク
スト、レス、、?
ジミン
すっごく忘れたい何かがあったのかな…?
そう聞いてふと、嫌な考えに至る。
もしかしてそれは、
僕のせい?