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暗転のステージ
幕が上がると同時に 天音かなたのシルエットが浮く
観客のペンライトが一斉に揺れ 『かなたーーー!!!』という 歓声が有明アリーナに響く
天音かなた
1曲目はテンポのいい明るめの曲で勢いよくスタート
笑顔で、でも少し緊張気味の かなた。だが声は澄み切っていて力強い
天音かなた
かなたは全力で歌声を響かせ 最初の数曲を終えた
かなたがマイクを握って観客に語りかける
天音かなた
へい民が『こんかなた〜』 と返事する!
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
へい民は熱狂した
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
ステージに煙が発射され 煙からシルエットが現れた
その中からAZKiが現れた
AZKi
AZKi
AZKi
AZKi
AZKi
開拓者やへい民は 更に熱くなった
AZKi
天音かなた
AZKiはかなたの耳元に 回り込んで囁いてきた
AZKi
天音かなた
天音かなた
天音かなた
AZKi
二人の小さな会話はファン達には聞こえなかったが その様子を見て てぇてぇと言う人が沢山居た
AZKi
天音かなた
天音かなた
AZKi
AZKi
そう言って、AZKiは少し笑いながら僕に目線を向けた
AZKi
AZKi
天音かなた
天音かなた
イントロの音が会場に 流れ始める
スモークが足元を包み込み 照明が青く染まった
観客から大きな歓声が上がる
AZKi
AZKi
天音かなた
視線を合わせ ほんの一瞬だけ頷き合う
マイクを口元に寄せると 観客の歓声が一気に静まり 曲の音だけが響く
その音に合わせて、二人の声が同時に空へ解き放たれた
天音かなた
AZKi
天音かなた
天音かなた
AZKi
二人は全力で互いの目を 見ながら歌い終えた
最後のロングトーンが 会場の天井へ消えていく
その瞬間観客席から大きな拍手と歓声が嵐のように押し寄せた
ライトが一度だけ瞬き 僕とAZKiの姿を包み込む
AZKi
天音かなた
息がまだ整わないまま 二人で少し笑い合う
僕は目の前の景色を見た
ピンクの光から一気に青色へと変わっていく
天音かなた
AZKi
天音かなた
僕は胸の奥で何かが熱く 広がっていくのを感じた
それは怖さでも不安でもない、ただまっすぐな感謝の熱だった
天音かなた
AZKi
AZKi
AZKi
AZKi
天音かなた
AZKiの背中を見送った
僕は再びマイクを握り直した
僕はその後も歌い続けた
そしてLIVEは中盤を迎えた
天音かなた
天音かなた
イントロの旋律が 夜の海のように静かに広がり 僕の声がそこに溶けていく
1フレーズごとに観客の視線が 重く乗り、胸の奥を震わせた
天音かなた
天音かなた
高音部に差し掛かると 左耳の奥で小さな警鐘のような耳鳴りが鳴る
でも、その音を無理やり押し流すように、息を深く吸い込んだ
スクリーンには僕の横顔が 大きく映し出される
その映像を見た観客から かすかな息を呑む音が 伝わってくる
曲は中盤を越え 感情を爆発させるサビへ
声を張るたびに胸の奥が熱くなり足元のステージが遠く感じた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
照明が真っ白に切り替わり 伴奏が次の高みに向かって 駆け上がる
僕はマイクを握り直し 30秒の挑戦へ身を投じた
僕は肺の奥まで空気を満たし 一気に声を放った
声は鋭く伸び 会場の空気を震わせる
1段階……2段階…… 音を高めながら 張力を限界まで引き絞る
左耳の奥で金属をひっかくような痛みが走った
けれど、足は一歩も引かない
天音かなた
観客席に移動していた ホロメン達は全員が圧倒された
星街すいせい
星街すいせい
白上フブキ
常闇トワ
3段階目 観客のペンライトが 一斉に揺れる
4段階目、頭が少し霞む。 視界の端でライトが滲む
天音かなた
天音かなた
天音かなた
5段階目――
全ての力を込めた声が 真上に突き抜けていった
音が消えた瞬間、会場全体が 一瞬だけ静まり返る
そして
嵐のような歓声と 拍手が爆発した
まるで、何千もの心臓が 一斉に鼓動を打ったみたいだ
星街すいせい
姫森ルーナ
角巻わため
へい民はみんな 『かなたーーー!!!』 『すげえええええ!!!』 などの大歓喜が聴こえる
僕は膝が笑うのを必死でこらえながら、マイクを握り締めた
胸の奥であの光の粒 影が変わったあの存在が そっと寄り添っている気がした
天音かなた(影)
天音かなた(影)
天音かなた
僕は最後の歌詞を 全て歌いきった
unravelを歌い終わった瞬間 ステージにスモークが吹き出た
へい民は『なんだ...?』 と騒いでいる
天音かなた
僕は衣装を着替え終え スモークは晴れていき 僕のシルエットが見え始めた
天音かなた
会場は更に熱狂した
天音かなた
会場は一斉に『おぉー!』 と叫んだ
その後も僕は歌い続けた
そしてLIVEは最後の曲を迎える
天音かなた
天音かなた
天音かなた
観客の歓声を浴びながら 次の曲への演奏が始まる
僕は笑顔を作ろうとしたが その瞬間
左耳の奥で何かが 弾けたような激痛が走った
視界がわずかに傾き 床が遠く感じる
僕は一瞬だけ倒れそうになったが踏ん張った
常闇トワ
AZKi
白上フブキ
ホロメンはみんな心配する
耳鳴りが唸り声のように響き 平衡感覚が崩れていく
足元のライトの色がにじみ 観客席のペンライトが 万華鏡のように揺れた
マイクを落とさないよう握り直し、僕は必死に立ち続けた
僕はその時ステージ裏を 振り向いた
彼女は青い薔薇を持ちながら もう片方の拳を胸に当て 大きく頷く
何も言わない。
けれど
その仕草だけで全て分かった
天音かなた
足元のふらつきは消えない
それでも、声を張るたびに痛みが薄れていく錯覚があった
いや、痛みは消えていない
ただ
声がそれを押し流しているだけ
照明が再び僕を包み込み 観客が息を呑む
持病が何度牙をむこうと今日だけは引くわけにはいかなかった
天音かなた
観客席から割れるような 歓声が返ってくる
僕は再びマイクを構え ラストスパートへ向けて 走り出した
ラスト曲が終わり 会場が暗転する
全身から汗が流れ 肺の奥が火照っていた
息を整えながら 僕は静かにステージ中央に 立ち尽くす
次の瞬間
『かなたー!!!』
無数の声が重なり、アンコールを求める手拍子が鳴り始めた
そのリズムが胸の奥の影だったものを震わせる
影はもう暗くない
あの日からずっと僕の心の底にあった弱さは、今、光となって揺れていた
天音かなた
目の前にココがきた
桐生ココ
桐生ココ
天音かなた
天音かなたのマネージャー
天音かなたのマネージャー
天音かなたのマネージャー
天音かなた
桐生ココ
桐生ココ
天音かなた
天音かなた
天音かなたのマネージャー
桐生ココ
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
桐生ココ
天音かなたのマネージャー
マイクを強く握り直し 笑顔を浮かべる
僕の原点
僕の始まりの曲
あの日から全てが始まった曲
天音かなた
天音かなたのマネージャー
桐生ココ
桐生ココ
天音かなた
天音かなた
桐生ココ
僕はコールを続けてくれてる みんなの元に戻った
ステージの上に再び舞い降りた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
『勿論!』 『何処でもついていくぞ』 みんなの声が聴こえる
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
観客は過去一の熱狂を出した
イントロが流れ出す
観客がサイリウムを 一斉に掲げる
その光景は 青い薔薇の花畑のようだった
僕はその中で、声の限りに歌う
歌詞の一つ一つに 今までのすべてを込めた
笑った日も、泣いた日も 逃げたくなった日も
でも、諦めなかった
最後のサビ、歌詞をアドリブで変えて僕は胸を張って叫んだ
天音かなた
天音かなた
曲が終わり 照明がゆっくりと落ちる
会場の青い光は消えない
その光景が、まるで青い薔薇の群れのようで
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
静かにマイクを置き、一礼
そしてステージから去る瞬間 僕はもう振り返らなかった
なぜなら
あの光は もう心の中に咲いているから
暗くなった会場の中、観客たちはまだ立ち尽くしていた
青いペンライトが、ゆっくりと 揺れ続けている
誰もが声を出すのをためらった この余韻を壊したく なかったからだ
ステージ裏でココは笑った
桐生ココ
ココは一足早く、かなたには 別れを言わずに 会場の出口へと向かった
その背中には、何かを託し終えた静かな満足が漂っていた
観客席ではホロメン達が 騒いでいた
常闇トワ
常闇トワ
常闇トワ
常闇トワ
わためは目を真っ赤にしながら 鼻をすすっている
ルーナは泣きながら 手を叩き続けた
白上フブキ
白上フブキ
星街すいせい
星街すいせい
星街すいせい
AZKiは胸の前で手を合わせ 深く深く息を吐いた
ステージ裏
外からは、まだ観客のざわめきが遠く響いてくる
その音は、まるで波のように 僕を包み 胸の奥で共鳴を起こした
僕はそっと目を閉じ 深呼吸をした
有明アリーナの夜が 静かに幕を下ろす
だけど、僕の心の中の青い薔薇は、これからも咲き続ける
こうして、有明アリーナの夜と、僕の物語は幕を閉じた
僕は最後に心の中で 一言静かに呟く
天音かなた
天音かなた
天音かなた
天音かなた
_________
最終話
【彼方に響く共鳴】
天音かなたの小説
青い薔薇の引き金
【〜完〜】
ここまで読んでくださり 本当にありがとうございました
このお話が投稿された 2025年8/13(水)は
天音かなたのソロライブ 【LOCK ON】のLIVEです
今日の18:30からのLIVE 全力で楽しみましょう!!
それでは次回のお話でまた!
次回
番外編 裏話&LIVEの感想
お楽しみに!