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病室をノックした訪問者から数日後…
わたし
まだ信じられないなぁ
わたし
まさか…推してるグループのSyがわたしの兄だったなんて…
わたし
あまりにも二次創作設定すぎて夢か何かかと思ったんだけど…
わたし
Syさんの話を聞いてると矛盾がないから、そうなんだろうなぁ…
わたし
イテテ…事故で入院してるけど記憶はまだ取り戻せてないみたい
わたし
あと、今日は天気も悪いし特に頭が痛いなぁ
わたし
なんか寒いし…曇り空だから気温も低いんだろうね。
コンコン
わたし
あっ、どうぞー
Sy氏
ウイース
わたし
わっ!Syさん!おおおおはようございます!
Sy氏
なんや、兄さんの顔見るなりお化けでも見たような反応して
Sy氏
少しだけ傷つくやん
わたし
ご、ごめんなさいそんなつもりなくて…
わたし
というか、本当に毎日お見舞いに来てくれるなんて…
Sy氏
別に、バイク転がすついで。
ふわふわのついた紫のジャケットを羽織る彼は普段、 バイクに乗っててジャケットと同じ紫色のヘルメットを 被っているんだけど…
さすがに病院の中では外してる。 ヘルメットに押さえつけられてると思えないくらい ふわっふわの髪質で羨ましい。
わたし
今日、やたら天気悪いですね、バイク寒かったでしょう?
Sy氏
ふつー
カロリーを節約した一本調子の声色から得られる情報はなかった。
彼は窓際に背をつけて座ることはないんだけど
30分くらい、世間話して帰る。
つまらなくないですか、と聞いたことがある
ふつー、と返されてしまった
でも、律儀に毎日来てくれるのは傷の具合を心配してくれてるからだよね、嬉しいような申し訳ないような。
わたし
けほけほっ…あれ?
わたし
なんか、急に喉の調子が…
わたし
さっき飲んだ水が変なとこ入っちゃったかな?
Sy氏
……。
わたし
こほこほっ…す、すみません
Sy氏
どれ
わたし
わわ!
前髪をかきあげたSyさんが急に接近してくるからびっくりした。
Sy氏
暴れると、熱測れんやろ。
わたし
……っ
ギュッと目をつむったから何が起こったか分からないけど、 額にコツンと何かが当たって数秒して離れた。
Sy氏
お前めっちゃ熱あるぞ
わたし
ええっ、風邪かな…
Sy氏
もしくは傷が炎症起こしてたりな、ナース呼んでくる
わたし
あ、りがとうございます…
部屋を出る前にSyさんはこちらを向かずに話しかけた。
Sy氏
みんな、早くお前に帰ってきて欲しいって思っとるぞ…父さんも母さんも、……俺も。養生しろよ。
わたし
!
わたし
は、はい、ありがとうございます。
そのまま彼はナースステーションまで走っていってしまった。
声は相変わらず一本調子だったけど…
分かりやすいなぁと思うと自然に頬が緩んでいた。
おわり