ルルちゃんの予定が合わず 何とか予定を調整して 私は放課後に部室として 使っていた教室に ルルちゃんと刹那さんを集めた。
遊
瑠流
刹那
遊
瑠流
遊
瑠流
遊
私は普通の家庭とは 異なる環境で育った。
それは一家全員が 秀才の家庭だったのだ。
母は華道・茶道・書道、 つまり三道で日本を代表する 人物だった。
父は彫刻を専門とする芸術家で 彼の作品はオークションで 数十億円でやり取りされる ことで有名だった。
そして私には姉がおり、 名前を鞠(まり)といった。
彼女は音楽業界を震撼させる 才能の持ち主であらゆる楽器を 初見でも演奏することができた。
そんな場所に産まれた私は 何の才能にも恵まれなかった。
母の三道は全てド下手、 父を真似て彫刻を作るが 上手くいかない。
姉に至っては真似すること 自体が馬鹿らしかったので 何もしなかった。
しかし、母も父も私を 除け者にすることなく 精一杯の愛情を注いでくれた。
しかし、それは長くは 続かなかった。
“あの事件”が 起こってしまったからだ。
それは私が中学1年生の頃に 家族旅行で行った 海水浴での出来事だった。
海水浴場
母親
父親
鞠
この日はいつも忙しい家族が 唯一取れた休暇だった。
久しぶりの一家全員集合、 私達は束の間の休息を 謳歌していた。
父親
母親
父親
父と母が話していると 鞠は彼らにこう言った。
鞠
母親
鞠
父親
鞠
姉は2人が海の家に行くのを 見届けて、私に話しかけた。
鞠
遊
遊
鞠
遊
鞠
遊
私は鞠に引っ張られ 海へ飛び込んだ。
遊
鞠
鞠
私は少ししか泳げなかった。 そのため自分は 浅瀬で待っていた。
その時だった。
鞠
遊
突然、姿が消えたと思ったと 同時に水面でもがき苦しむ 鞠が見えた。
遊
少ししか泳げない私は必死で 周囲に助けを求めたが 誰も私の声に気が付かなかった。
遊
そして私は覚悟を決め溺れている 鞠のもとへと向かった。
姉の元へ向かっている最中に 私は足が攣り、姉同様 溺れてしまった。
大量の海水を飲み私の意識は 少しずつ薄れていった。
そんな中、遠くから ライフジャケットを着た男性 2人組が泳いできたのが見えた。
その2人が何かを言っていた 気がしたが、私の意識は そこで途切れた。
私が目を覚ましたのは 救急隊員の声かけ によるものだった。
起き上がった私は周囲を見回すと 救急車とブルーシートの周りに 泣き崩れる両親の姿だった。
起き上がった私は救急隊員に 貰った毛布を肩にかけ 2人のもとへ向かった。
そして...
母親
父親
遊
ブルーシートの中に 横たわっていたのは 青白い顔をした鞠の姿だった。
遊
遊
遊
中学生の私にも “それ”は分かった。
そして私が鞠に触れようとした時 母が私の手を跳ね除けた。
母親
遊
母親
母親
母親
遊
母親
父親
遊
父親
遊
母親
父親
父親
父親
父親
父親