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21gを笑う天使

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21gを笑う天使

48 - 風祭 遊の過去

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2023年01月14日

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ルルちゃんの予定が合わず 何とか予定を調整して 私は放課後に部室として 使っていた教室に ルルちゃんと刹那さんを集めた。

いやー、ようやく集まれたねー

瑠流

本当、時間取ってくれてありがとう

刹那

私も同席してよろしかったのですか?

ええ‼︎死研を解散したとはいえ、一応は部員扱いですから‼︎

瑠流

じゃあ、話してくれる?風祭さん自身のことについて

いいよ。私がこの前、死のうとした理由は私が“死ぬべきだった”からって言ったの覚えてる?

瑠流

覚えてるよ

今日はそれについて詳しく話すよ

私は普通の家庭とは 異なる環境で育った。

それは一家全員が 秀才の家庭だったのだ。

母は華道・茶道・書道、 つまり三道で日本を代表する 人物だった。

父は彫刻を専門とする芸術家で 彼の作品はオークションで 数十億円でやり取りされる ことで有名だった。

そして私には姉がおり、 名前を鞠(まり)といった。

彼女は音楽業界を震撼させる 才能の持ち主であらゆる楽器を 初見でも演奏することができた。

そんな場所に産まれた私は 何の才能にも恵まれなかった。

母の三道は全てド下手、 父を真似て彫刻を作るが 上手くいかない。

姉に至っては真似すること 自体が馬鹿らしかったので 何もしなかった。

しかし、母も父も私を 除け者にすることなく 精一杯の愛情を注いでくれた。

しかし、それは長くは 続かなかった。

“あの事件”が 起こってしまったからだ。

それは私が中学1年生の頃に 家族旅行で行った 海水浴での出来事だった。

海水浴場

母親

あら、綺麗な海ね

父親

いいインスピレーションに繋がるな‼︎

もう、休みの日くらい仕事から離れてよー

この日はいつも忙しい家族が 唯一取れた休暇だった。

久しぶりの一家全員集合、 私達は束の間の休息を 謳歌していた。

父親

おっ‼︎あっちに海の家があるな‼︎行くぞ、母さん‼︎

母親

そんなに、はしゃがないの

父親

焼きそばとかき氷だって‼︎買うしかねーな‼︎

父と母が話していると 鞠は彼らにこう言った。

せっかくの休みなんだし、2人で行ってくれば?私達はここで荷物見てるから

母親

えっ、でも...

いいからいいから‼︎

父親

んじゃ...お言葉に甘えよう‼︎ありがとな鞠‼︎

いいえー‼︎楽しんでー‼︎

姉は2人が海の家に行くのを 見届けて、私に話しかけた。

ねぇ、遊。先に海...入らない?

ダ、ダメだよ‼︎だって車の中でお父さん言ってたじゃん‼︎

海は子どもだけじゃ入ったらいけないって...

大丈夫だよ‼︎だって私、高2だよ?ほぼ大人みたいなもんだって‼︎

で、でも...

ほーら、遊行くよ‼︎

あ‼︎ま、待ってよ‼︎

私は鞠に引っ張られ 海へ飛び込んだ。

っ‼︎しょっぱ‼︎

あっははは‼︎遊ってば、転んでるし‼︎

ねね‼︎もっと奥行こうよ‼︎

私は少ししか泳げなかった。 そのため自分は 浅瀬で待っていた。

その時だった。

わっぷ...

お姉ちゃん‼︎

突然、姿が消えたと思ったと 同時に水面でもがき苦しむ 鞠が見えた。

誰か...誰か助けてください‼︎

少ししか泳げない私は必死で 周囲に助けを求めたが 誰も私の声に気が付かなかった。

...よし

そして私は覚悟を決め溺れている 鞠のもとへと向かった。

姉の元へ向かっている最中に 私は足が攣り、姉同様 溺れてしまった。

大量の海水を飲み私の意識は 少しずつ薄れていった。

そんな中、遠くから ライフジャケットを着た男性 2人組が泳いできたのが見えた。

その2人が何かを言っていた 気がしたが、私の意識は そこで途切れた。

私が目を覚ましたのは 救急隊員の声かけ によるものだった。

起き上がった私は周囲を見回すと 救急車とブルーシートの周りに 泣き崩れる両親の姿だった。

起き上がった私は救急隊員に 貰った毛布を肩にかけ 2人のもとへ向かった。

そして...

母親

何で...どうしてなの...

父親

クソ...がぁッ‼︎

...嘘

ブルーシートの中に 横たわっていたのは 青白い顔をした鞠の姿だった。

何...やってるの...?

起きてよ...ねぇ...

ねぇってばッ‼︎

中学生の私にも “それ”は分かった。

そして私が鞠に触れようとした時 母が私の手を跳ね除けた。

母親

触らないでッ‼︎

えっ...

母親

どうして...ねぇ、どうしてなの...?

母親

母親

どうして...あなたが生きてるの...?

...は?

母親

どうして...“無能”のあなただけが...生き残ったの...?

父親

お前のせいだ...お前が鞠を海に誘ったんだろ‼︎

ち、違うよ...‼︎私は止め

父親

嘘つくなァッ‼︎

ひっ...

母親

あなたなんか産まなきゃよかった...

父親

お前のせいだッ‼︎

父親

お前が死ねばよかったんだッ‼︎

父親

お前が

父親

父親

鞠を殺したんだッ‼︎

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