ピピピピ ピピピピ ピピピピ
規則的な高い音が聞こえる
何度聞いても好きになれない音だ
篠原優李(シノハラ ユウリ)
目覚まし時計のアラームを止めるため ばしばしと手を動かす
しかし、それでは止めることが できなかったので、仕方なく体を 起き上がらせてから止めた
篠原優李(シノハラ ユウリ)
嫌な思い出ほど頭に残るものである
忘れたくても忘れられない
忘れるな、思い出せと言わんばかりに 悪夢として思い出されることになる
そう、中学生の時の事
僕は本当に屋上から飛び降りたのだ
しかし、 目を覚ましたのは天国ではなく 病院のベッドの上だった
先生
僕の隣には先生が腰掛けていた
先生
…丸一日気を失ってたんだぞ
篠原優李(シノハラ ユウリ)
僕はなんで生きてるんですか
先生
お前を受け止めたんだ、
…だからだよ、よかったな
篠原優李(シノハラ ユウリ)
どうせ、 僕のことなんかどうでもいいのだろう
学校で自殺する人が現れたら 評判が下がるからだろう
先生
先生に話してみなさい
そう、それだって 所詮見せかけの心配だろう
篠原優李(シノハラ ユウリ)
僕は何度聞かれても 沈黙し続けた
しばらく時間が経つと 諦めたようで
先生
安静にしてるんだぞ
篠原優李(シノハラ ユウリ)
そう言うと先生は去っていった
僕は、 もう誰も信じられなくなっていた
人なんて息をするように裏切るのだ
友達だと思っていた人も、 簡単に手の平を返す
枕に顔を押し付け、 涙が溢れてきそうなのを抑える
どうしようもなく苦しい
やっぱり死んじゃった方が いいんじゃないか
シーツをぎゅっと握り締めると コンコン と上品なノックが聞こえた
看護師
面会したいという
人がいらっしゃってますよ
篠原優李(シノハラ ユウリ)
そんな人、 1人も思い浮かばなかった
僕の両親は幼い頃に交通事故で 死んじゃったし、
家に居座らせてくれている 遠い親戚のおばさんも、 僕のことなんていないもの扱いだ
誰なのか不思議に思った、 でも
篠原優李(シノハラ ユウリ)
会わせてください
僕はそう声をかけた
しばらくすると、 弱々しいノックが聞こえた
入ってきたのは、
我妻理央(アズマ リオ)
篠原優李(シノハラ ユウリ)
我妻…くん…?
何故、彼がここにいるのか
彼は静かに僕のベッドの隣の椅子に 腰掛ける
しばらく俯いた後、 決心したように僕の顔を見つめ
我妻理央(アズマ リオ)
彼は真っ直ぐな瞳でそう言った
( 3 ) に続く。