美柚
(皇さん、まだかな……)
華奈子
あ、ミキちゃん!
華奈子
待たせちゃった?
美柚
いえ!そんなことないですよ〜
美柚
(綺麗……)
華奈子
あらそう?じゃあ行きましょうか
美柚
はい!
私たちはお店へ向かってしばらく歩いた。皇さんは仕事の事から私生活のことまで色んな事を話してくれた。
華奈子
……ミキちゃん
美柚
はい?
華奈子
同性のことが好きって言ったら、引く?
美柚
…いや、そんなことないですよ!
美柚
(私もレズだし…)
華奈子
そう…ありがとう。
美柚
いえいえ!…突然どうしたんですか?
華奈子
…昔ね、好きな人がいたの。
美柚
え?
華奈子
…親友に、恋しちゃったの。
美柚
…そうなんですか
華奈子
なかなか告白できなくって…そしたらある日
華奈子
1つ上の先輩が私に告白してきたの。
華奈子
そしたら、私の好きな子、すっごい怒ってね
華奈子
その子が先輩のこと好きだったってあとから知って。
華奈子
その時にはもう絶好状態だったけど。
美柚
…そんなことがあったんですか
華奈子
……ふふ、なんでこんな話してるのかしらね
華奈子
ごめんなさいね?辛気臭い話しちゃって
美柚
いえ全然!…皇さんのこと、もっと知りたいし…
華奈子
…そう?優しいのね
皇さんはそう言って、寂しそうに笑った。
美柚
そろそろお店ですね
華奈子
そうね、今夜も沢山飲みましょう
美柚
…でもやっぱり凄いですね。おひとりであんなに会社を大きくするなんて…
華奈子
元々は父が経営してた小さな会社だったんだけどね。
華奈子
仕事ばっかりしてたらこんなになっちゃった
美柚
天才ですね!
華奈子
でも友達いなくなっちゃったのよね
美柚
そんなぁ…だ、だったら、私と
美柚
お友達になりませんか!
華奈子
…えっ?
美柚
あ、いや、失礼、ですよね!すみません…
ふと目線をあげると、皇さんの目が涙でいっぱいになっていた。
華奈子
嬉しい…!
美柚
へっ…!?
華奈子
是非お願いしたいわ!
華奈子
よろしくね?
美柚
…はっ、はい!
美柚
(これは、合ってるのか…?)
私はどぎまぎしながら、皇さんの綺麗な手を握り返した。